これじゃいけないと分かっていても、うまく出来ないことがある。
こうするべきだと分かっていても、うまく出来ないことがある。
どうしたら良いか分からないから、空を見上げる。
右手で宙に大きく円を描く。
左手でその先を掴み取る。
少し、落ち着く。
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年を取るということ。本を読んでいて、「あぁ、自分も年を取ったのだ」と感じる。それは読むペースであり、ページの繰り方であり、感じ取り方でもある。

吉田さんの『78』、クラフト・エヴィング商会の『ないもの、あります』。2日でこの2冊。といっても、ないものありますは小説ではなくて、短いエッセイの連続のようなもんだから、実質は1冊半と言ってもいい。
合計で4時間くらいは掛かってしまっているように思う。遅い。別に早く読めば良いってもんじゃないけれど、年を取ったなぁと思う。
昔はこの程度の量なら、2時間で読めた。そして残りの2時間で何かを考え、何かを創りだせた。
ある意味では、読んでいる最中の思考が成熟してきたから、とも言えるかもしれない。なるほど、その通りだ。読んでいる最中に既に多くの思考を凝らし、様々な観点に飛ばしてもいる。
それでも。
「若い頃に、もっと本を読んでおくべきだった」と思うには、理由がある。一つはもちろん、今はそれほど時間が本には避けないからだ。
そしてまた、読むスピードやレスポンスが遅くなるからだ。若い頃なら、もっとがむしゃらに本と付き合えた。
と、こんな風に若い頃を思い返しても仕方が無い。今出来るペースとリズムで本とは付き合うしかないのだ。
吉田さんの本を読んでいると、特定の感覚になっていることに気がつく。
「何も気にしない」というか無意識の状態に近い。人に話しかけられても「え……あぁ、……うん……別に」というように戸惑ってしまう。あるいは周りで何かが起こっても「ん……そう、……まぁ……別に」というように。
良いコトではないな、コレ。でも読み終わると、妙に心地良いのが不思議だ。
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あー、ギターが弾きたい。 arlequin