ちょっとここのところ、自分のことにかまけすぎていたのかもしれない。もう少し、見なければならない周りの状況や、人がいたのかもしれない。周りの歯車が、うまく回っていない。
目に見えてギクシャクしていたり、険悪だったら、まだ良い。対処のしようがあるし、それはそれである種の歯車の形だ。
少しずつ少しずつ、優しさが削ぎ取られていって、結果としてそれぞれに距離が出来るのは、絶対によくない。
本来は味方であるべき人が、あるいは味方になろうとしていた人が、その対象に心を痛めてしまっている。もしかしたら、マイナスの考えすら抱いてしまっているのかもしれない。
そういう風になって欲しくない人が、そういうことを口にしてしまっている現状が、正しくない。
僕がもっと、トルクを上げるしかないのかなぁ。
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・「尊敬・嫉妬」
無条件に抱いてしまうものであり、そこに幾つかの不安要素があったとしても、何故か無条件の強さが勝ってしまうものである。理屈を並べようと思えば並べられるとしても、実際には並んだ理屈などよりも、うまく形や言葉に出来ない直感やオーラによって、定まってしまう。
一つの些細な事柄が、それをより深くし、一つの重要な事柄が、それをより複雑にする。
抱いたこと自体を嬉しく感じると同時に、幼く感じてしまう。
信じるべき方向は本当はわかっていて、正しさがどこにあるのかもわかっていたとしても、収まらない何かがある。
いずれも。
・「ボウル」
例えばそこに、ボウルがあるとする。
大きくも小さくもない。いかにもボウルらしいボウルだ。
プラスチックのようであり、でも金属のようでもあり、ともすれば石であるといっても信じられてしまうような。
目の前にあるもの、手の中にあるもの、遠く離れた場所にあるもの、少しおかしなもの、限りなく常識的なもの。
それらを一緒くたにボウルに混ぜ込む。これでもかというくらいに、混ぜ込む。
他にも何かが見つかれば、それらも迷いなく混ぜ込む。
るつぼ?
そういう空気もあるかもしれない。ひたすらに、ボウルに。
出来上がった不思議な構成物を、掬い上げては見つめて。
またボウルに戻し、再び混ぜ続ける。
そういうものかも、しれない。
・「ジレンマ」
「オーバーな表現をするとね、きっとこれはジレンマなんだ。感情的、若しくは具象的板ばさみ」
「何と何に、挟まれているというのかしら。そんな風には、見えないんだけれど?」
「そうだね、本当は挟まれているわけじゃないのかもしれない。そういう意味では、これは仮想ジレンマと言ってもいいかもしれない」
「仮想ジレンマ」
「そう、あくまで想定なんだ。これがこうだったとする、あれがああだったとする。そうしたら僕はどうなるかという、想定」
きっとただの空想とも呼べるシロモノで、そこまですら高尚なものでもなければ、カッコイイものでもない。
「つまり、現実的には、ジレンマじゃないってことよね?」
「そういうことだ。だから君に伝えるのが難しい。僕自身にも、理解することが難しい」
「それって、考える必要がないってことじゃないかしら」
「分からない。必要はないかもしれない。でも世の中には、必要じゃなくてもやらなくてはならないことや時が、たくさんあるように思うんだ。日々追われる雑務のようにね」
「勿論、知っているわ」
「仮想ジレンマっていうのは、まさにそんなもんなのだと思う。けれど、他の誰でもない僕自身には、ほんのわずかかもしれないけれど、意味を持っている気がするんだ」
「私は、踏み込めない」
「うん、踏み込めない。いや、正確に言うなら踏み込むべきじゃないんだ。踏み込むことは君にとって何のプラスも与えないし、マイナスを引き連れてしまうからだ。気味の悪いぐにゃぐにゃした、よく見えない恐ろしいものも一緒になってきてしまうかもしれない」
「それでも、良いと言っても?」
「良いとでも言うつもりなのかい?」
「構わないわ」
どうしてこれほどに迷いなく、言葉を発することが出来ようか。そして、真っ直ぐに目を向けられよう。
「オーケー、じゃあ、そうしよう。でも、今夜は眠ろう。総ては明日だ。明日の朝、始めよう」
「いいわよ、それで。眠りましょう。それはもう、しっかりと。明日からは、きっと忙しくなる」
「よく分かっているね、忙しくなる。たぶん、苦しくもなる、面倒にもなる。ゆっくり眠ろう」
「寝る前に、水を飲むのよ」
「君もそうしたほうがいい。たっぷりと、水を飲むんだ」
「おやすみ」
「おやすみ」
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いっそ、悪者になるのも良いかと思う。たまには、ちょっと憎まれてみてもいいかもしれない。そんな風に思う。誰かのためにということであれば、自分が苦しむのはそう辛くもない。
さてと、どうしようかなぁ。どんな風に、言葉を発すれば良いのだろう。 arlequin