高校のころの先輩から、ふと連絡が入る。ギターを引きながら、共に基本的にバカなことばっかりしていた先輩だ。頭もすごく良いのだけれど、不思議な先輩だ。




 「あのさぁー、音楽またやりたいんだよねぇ、なんかないの?」と言われる。先輩は大学でもギターを弾いていたはずだから、趣味でウダウダと続けているだけだった僕に比べれば、もっときちんとやっていたはずであろうに。




 なんか仕事も余裕が出てきたから、ちょっと真面目にやりたいのよね、という話らしい。そりゃあ僕だって、何処かで弾いて歌えるならやりたいけれどもさ。




 まぁただ現実問題として、バンドなわけでもないし、各々個人でアコースティックで弾くわけだから、そういうのってなかなか成立たない。学生の遊びならともかく、社会人になってそういうのをやる場となると、うまくいかない。




 でも確かに歌いたい気持ちはある。どうにかできるもんなら、どうにかしたい。別にたくさんの人に聴いてもらおうとは思わないけれど、何処かそういう場が作れればいいなぁと思う。




 とりあえず近々会おうか、という話に。先輩は全然曲を作ってないらしいけれど。




 それにしても思うのは、やはり若かりし頃に作った曲ってのは、いろんな意味で若いよねぇと思う。無論、そこを通過してきたからこそ、今は自分で好きな感じの曲が作れるわけだけれど。




 延べにすれば120くらいはあったけれど、今満足できるものとなると、半分にも満たない。ほとんどが若すぎて、よろしくない曲ばかりだ。中には今でも好きな曲もあるけれど。




 歌いたい曲は、たくさんあるなぁ、それでも。




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 そんな中、一つ曲をまた作っていて。というよりは、深夜に自転車で兄との待ち合わせで走っていたら、あれまぁという感じに言葉が出てきてしまったから、じゃあなんとかしてあげましょう、という。




 はじめはもう少し明るい歌になるはずだったんだけれど、いつの間にやらちょっと落ち着いた感じになってしまった。でも、悪くないかなぁ。




 でも、タイトルが決まらないのよね。候補はあっても、決定的な何かがない。




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 胸を掠めるのは単純な言葉 遥か空を飛んでいく儚いメロディー


 そのどちらかも欠かすことなく 掴むようにこの手を伸ばす




 愛・夢・希望 大切なもの全部 漠然と形無く抱えていたけれど


 君に出会った ただそれだけで 確かな姿に光が射してきたんだ




 あらゆる世界が美しく見える 溢れる音も心地良く聴こえる


 漂う風は淡い香りを運んで 総てを繋ぐ




 君が優しくはにかむ度に 僕の心は色をつける


 君に捧げる彩かな歌を 僕はいつでも探している


 君を想い生み出した歌を 僕はもっと歌いたい




 目を閉じても感じているのはぬくもり いつか消え行くものかもしれないのに


 でもひたすらに信じられるのは あまりにもそれが素晴らし過ぎるから




 言葉を紡いで物語作る メロディー重ねてリズム奏でる


 叫んだ声は強い想いを運んで 総てを繋ぐ




 君が隣で微笑む度に 僕の心は熱を帯びる


 君に届ける暖かい歌を 僕はいつでも探している


 君を想い生み出した歌を 僕はずっと歌いたい




 あらゆる世界が美しく見える 溢れる音も心地良く聴こえる


 漂う風は声と想いを包んで 総てを繋ぐ




 君が優しくはにかむ度に 僕の心が色をつける


 君に捧げる彩かな歌を 僕はいつでも探している


 君を想い生み出した歌を 僕はもっと歌いたい


 


 僕はずっと歌いたい




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 それっぽいタイトルがつけばいいなぁと思うけれど、なんかピンとこない。




 近く先輩と共に歌を歌う機会が本当に出来たら、これは歌いたいよね、と思う。




 聴いて欲しいなぁと思う人もいる。




 そんな歌は、いろいろあるもんだね。     arlequin