キーを押す指がいつも以上に重たく感じて、紡ぎ出される言葉がいつもとは違う空気感を纏って、ただただそこで音が鳴り、言葉が染み込むのを待ってしまう。
現代は凄いなぁ、と思う。けれどそれと同時に、ある意味では残酷だ、と思う。
人間の欲望という側面を出来る限り形にしながらも、そこに本来は生じるべき重さや深さや尊さを、やはり出来る限り軽く浅く薄いものにしている。それが、現代の姿のように思える。
幸せに繋がる手段を明確化し、誰もがその手段を得られるようにしているという考え方も出来る。しかしながら、その中や裏にある残酷さを、多くの場合僕らは見て見ぬフリをしている気がする。
あんなものやこんなもの、現代で文明の利器と呼ばれるものが幾つか無ければ、それはそれで幸せなのかもしれない。
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大層な前置きを描いていながら、やはり機械の面白さに心惹かれる、ろくでなし。中学生のころはMIDIに憧れ、高校生ではMTRに憧れ、大学生ではDTMに憧れた日々。社会人になった今は、こんなものに憧れる。

画像がどうにもアレだけれど。ヤマハから発売されているTENORI-ON(テノリオン)。コレが最高に面白そうで面白そうで、どうしようもない。
盤面にある16×16のボタンと、左右にある10のキーでもたらされる、光と音のサーカス。いろんなパターンの音と、構成と、リズムが楽しめる。それこそ打ち込み的なリズムトラックや、ちょっと真面目なテクノっぽい音まで、ごく単純な操作で楽しめる。
勿論、ウェブで公開されているような、まとまりのある構成の音にするのには、慣れや練習が必要なのだろうけれど、たぶんチャッチャと触っただけでもメチャクチャ楽しめるはず。広がり続ける音に、圧倒されるはず。
ヤマハはこういう面白いモノが本当に巧いなぁ、と思う。QY100にしたって今でこそアレだけれど、その当時はすごく面白いモノだったし。企画する人が楽しい人なのだろうなぁ、きっと。
ただこのテノリオン、やたらめったら高いのですよね。まぁそうか、素人が遊ぶためというよりも、きちんと音楽やってる人に向けたツールなのでしょうからね。まさか10を超えるとは思いませんでしたが。
欲しいなぁ、とっても。でもコレ買うならその前に新しいギターが欲しいってほうが、強いか。
んー、ねっとりしつつパリっとした音のでるギターが欲しい。
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時間は案外早く過ぎる。まだ時間はたっぷりあると思っていても、実はそれは大した時間ではなかったりする。いつの間にかもう、6月も終りに近づいている。その前に、今日も終りに近づいている。明日は、笑えるだろうか。来月は笑えるだろうか。来年は笑えるだろうか。そして、未来は笑っているだろうか。
けれどどうかなぁ。
今の時を笑っていられないのに、未来に笑っていられるものなのか。
もっと、もっと、心を広くゆるやかに、たゆたうように持たなきゃいけない。
そんなことを考えながら、今日もまたクラムボンを聴く。
良い音楽だ。 arlequin