火事だ火事だぁぁ

面会時間がすぎ、少し静かになった20時半頃

私たちは、洗面やら就寝前の準備に取りかかっていた

隣りのベッドのTちゃんは、下剤を内服したので、トイレにレッツゴースタンバイSTYLEであった

そんなとき

ジリジリジリーーー
火事です！
火事です！
3階○病棟で火事デス！

と、火災報知器？
院内に爆音で放送が流れ出した

私はオシッコの管をぶら下げたまま、慌てて病室から飛び出した

職場で、災害対策チームリーダーとして役割を持っていた私

患者さん、助けないと
えーっと！
ここの非常口どこだっけ
どれだけの人が動けないんやろ？
トイレに入ってる人、不安だろう
声かけなきゃ
Tちゃん、万が一トイレに走っても、私は置いて行かないからね

そんな色んなことを考えながら
オシッコの管入って自由に動けないくせに、やる気満々
間違いなく己が患者であることを忘れている

勤務中のナース達は、院内電話で連絡をとりながら、走り回っている
『これ、訓練ですか？』
絶対にそれはないやろと、ツッコミたかった

火事です放送は、爆音で鳴り続けている

時間が経つごとに、動ける患者さんたちが廊下に出てきて、どこへ避難するのかナースの指示を待っている。

私も手伝わなくちゃ


いや、だからちがうって。
あんたは、患者

数分後、
『誤報でした。ご心配かけました。』
と、ナース達

よかったぁぁ

『私、長年働いてこんなこと始めてです。』と担当ナース

やはり私の入院中には何かとネタが出てくる

この話、旦那さんにすると

『妻が癌で、火事で死にました。』
なんて、言われへんやん
皆、頭ん中、こんがらがるで

おぃおぃ、人を死なすな

火事であろうと、絶対に生きてやるぅ





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