日本人の友人宅の新入り君、
夢の中のよう。
細いお腹がゆっくりと膨らんで、ゆっくりとしぼんでを繰り返す、
オス(1歳/推定)
名前はコビッド( Covid )
コロナウィルスという意味、
この時期、困った名前です。
友人宅、
すでに三びきいて、
コビッドで四ひき目。
最初は白いスピッツの雑種一匹、そこへフィリピン人の奥さんの家族が、飼いきれなくなって(というか飼うのに飽きた感じ)二匹が引っ越してきます。
コビッドは友人の仕事場、
輸入中古車などの置き場、
約3,000平米の原っぱ、
そこの番犬でした。
敷地内に住み込んでいるフィリピン人(フィリピンでは普通のスタイル)、
彼らが飼い始めたウサギ(食用)にコビッドがちょっかいを出し、と言ってもコビッドはとっても大人しく、
ただ遊び相手がほしいだけです。
そこで住み込みのフィリピン人たち、
「コビッドを食べるダヨ」と。
まぁ、フィリピンで犬を食べるのは、ボクが話したことがある40代男性の、3人に1人は食べたことがあり、
ほとんどが酒のツマミとしてで、中には「滋養がある」という人もいます。
顔をしかめるフィリピン人もいますが、それほど珍しいことではありません。
そこで友人は、
見ず知らずのでもないコビッド、
「食べられるのは、あまりにも可愛そう」と、
手を上げ、引き取って来たわけです。
ここ北緯7度での、
「シンドラーのリスト」
命拾いした、おとなしいコビッド、
静かに眠るコビッドは、
そのことを知っているのでしょうか?
ムーミンのスニフのような細い鼻先をボクは中指と人さし指で、鼻先から眉間へと撫でてやり、
「オマエ、よかったねぇ」と、
その時、
ハッとして、ボクは全てを思い出します、
以前にもコビッドに会っているんです。
約5カ月前、
その置き場を訪れた時、
初めて会ったボクの方へ、
頭を低く下げ、
その痩せたお尻全部を振るように尻尾を振り、ドジョウみたいに全身をクネクネさせて近づいて来る、
コビッドを。
なにがそんなに嬉しいのか、
頭を下げたまま、
ボクの脛に鼻先を押しつけ、
ボクはしゃがんで、
今とまったく同じように、
細い鼻先へ中指と人さし指で、ゆっくり撫でてやります。
垂れた耳がうっすらと、
何かのアレルギーで毛が抜けていて、
それで「コビッド/コロナウィルス」と、
名づけられたのも思い出します。
「そっか、オマエだったのか」、
そうコビッドにささやき声で話しかけ、うす茶色の瞳が、ボクを見つめ返し、
「オマエ、生きててよかったな」、
コビッドはボクのこと、
覚えているのでしょうか、
ボクの顔を、
中指と人さし指で撫でられたことを、
そして、
ボクのニオイを。


