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日本からの段ボール箱二つを載せた、
空港のアルミカートを押し、
ダバオ空港到着ドアを通り、
タクシー乗り場へ向かいます。
コンクリ舗装の折り返しスロープを通り、
そのまま進むと乗り場、
すでに3人ほど並んでいて、その後ろへつき、
カートのハンドルに両肘をつき、
「あと、もうちょっとだなぁ」と、ひとり言。
そこへ中年の太った夫婦がわきから来て、
入って来たタクシーに乗り込み、
ボクの眉間にシワがよります。
フィリピン名物「割り込み」、
まぁ、ここではサリサリストア、
チェーン店のパン屋、信号の無い交差点であっても、
「早い者勝ち」で割り込まれ、
適当なタイミングでそれをブロックし、
自身の身体を肩や膝からねじ込み、
「次はボクの番ですよ」と示すことも必要です。
そういう幼稚園児みたいなこと、
もちろん、したくはありませんが、
「郷に入っては郷に従え」です。
交通整理を兼ねてガードマンはいますが、
こういう些細なことには、
あまり気を払う様子もありません。
次に、
金髪に染めた、これまた太った中年女性が、
ボクの前へと割り込もうとして、
ボクはカートをスッと押してブロック、
女性は何気ないそぶりでボクを見てから、
最後尾へ向かいます。
ボクは入って来たタクシー、
古い白のビオス(カローラみたいな感じ)、
トランクを開けてもらい段ボールを入れ、
後部ドアから乗り込み、
「トリルまでいくら?」と訊き、
大柄で無愛想なドライバー、
「たぶん、500(ペソ)くらいかな、
メーターで行くから」と。
まぁ、だいたいそんな金額で、
(日々つけているノートを見ると昨年440ペソ)、
そのままドアを閉め発進。
ボクは今まで6回タクシーに乗り、
4回は乗り込む前に「多めの定額料金」を言われ、
タクシードライバーを信用しません、
他のアメリカ、イギリス人と話した際も、
同じように「多めの定額料金」を言われたそうです。
ハイウェイに面した空港ゲートで、
空港のガードマンから手渡されたこれ、

ガードマンがタクシー会社名と車番を書込み、
ボクへと手渡す「苦情シート」、
不満があれば、これで乗ったタクシーを特定でき、
クレームを言うための紙ですが、
ボク個人的には、
「タクシードライバーの悪さの予防」、
そんな気がします。
昨年はゲートでこの紙ではなく、
ガードマンがボクに名字を訊き、
ノートへ記入していました。
多くは、まともなドライバーではありますが、
「こういうモノが必要なんだ」、
といういは忘れてはいけません。
ゆるいアップダウンが続く空港前のハイウェイ、
昨夜のスコールが、
所々チョコレート色の深い水たまりを残し、
低い所を正直におしえてくれます。
タクシーの4本のタイヤがボートのように、
チョコレート色の水を切り分け進み、
ドライバーは反対車線のガソリンスタンドへ、
タクシーを乗り入れて、
「(タイヤの)空気をチェックする」、
それだけ言い外へ出て、エアーホースを手に、
左の後ろタイヤへ空気を入れます、
メーターは止めずに。
こういうこと、割と普通にあり、
ボクは次にガソリンを入れ出したら、
メーターを止めるよう言おう、と。
無愛想なドライバー、
多少のことを言って、もっと無愛想になったら、
そっちの方が、
ボクの気分がさらに悪くなり、損ですから。
ガソリンは入れず、そのままハイウェイへ戻り、
渋滞も無くトリルへ近づき、
ボク「次の交差点を右に曲がって下さい」、
ドライバーは返事も頷きもせず、
ボクはその態度にカチンときて、
怒りも沸き起こり、
「そこへ停めて、降りるから」と、
語気も荒くなります。
運賃411ペソ、
100ペソ札4枚、20ペソ札1枚を渡し、
タクシーを降り、
その歩道沿いに停まっていた、
トライシクルに段ボール二箱を積み、
黒いビニール張りのベンチシートへ、
お尻をドカっと落とし、
背もたれによりかかり、
鼻から長く大きなため息が出ます。
そして、やっと、

「ただいま」