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“ 暑くて、やってられねぇ〜 ”


  トリル


  ニワトリのエサ屋、店主ノエル(男性40代)の相棒、

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  チビ(♂3ヶ月くらいかな)、

  最近ちょろちょろするようになって、

  前の通りに出て行ってしまうので、

  紐でつながれてます。


  遊んでくれそうな人を見ると、

  ダンボな耳をパタパタさせながら突進して行き、

  その「遊んでくれる人リスト」には、

  ボクも入っているようで、

  柔らかくポッコシしたお腹を上にして、

  「撫でて、撫でて」とリクエスト (笑

  じゃあ、ということで手のひらで、

  できるだけ乱暴に、ゴシゴシと撫で撫で、

  お次は、爪をポッコシしたお腹に立てて、

  コリコリ、コリコリと攻撃、

  チビは「もう、ダメぇ~」って感じに、

  後ろ脚を小刻みにバタつかせ、首をそらせます。


  ボクはここへ、冷えたビールを飲みに来たわけで、

  ですが、チビにはそういうことはカンケーなく、

  ただ「遊んで、遊んで、遊んでぇ~」と、

  なかなか、なかなか、シツコイんです。

  そんなボクも、子どもの頃はきっと、

  チビ以上にしつこかったんだろうなぁ (笑








  小さなドラッグストア前に停められたトライシクル、
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  ここでは皆さん、

  「1センチだって余計には歩かないぞ!」、

  そんな意気込みから、店先ギリギリまで乗り付けます。

  
  パステルアイボリーのシャツを着たお母さん、

  「どっこいしょ」とトライシクルから降り、

  そのお尻から解放された車体は、

  ニュートンの法則通り元の高さに戻ります。


  ビーチサンダル履きのつま先を広げて、

  力士のように、のっしのっしと歩き出すと、

  連れて来たシロ(勝手に命名)がそのお尻を追い、

  お母さん、即、ウインナーのような人差し指で、

  トライシクルを指してシロを制します。


  
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  大好きなお母さんの言いつけを守るシロ、

  バーに顎をあずけて、お母さんをじっと待っています。

  
  フィリピンのほとんどの家には番犬がいて、

  シロのように飼い主に素直に従います。


  ずっとずっと昔にオオカミが人間へ歩み寄り、

  あるいは、人間が少しずつ手なずけてきたのか、

  これほどまでに忠義を尽くす動物は他にはないでしょう。


  この忠義はいったいどこから来るのか、

  エサをもらえるから、

  もちろんそれもありますが、

  それだけではない気がします。


  シロたちと人間の暮らし方、

  考え方の違いはありますが、

  飼い主がどんな人であろうと、

  シロたちは気にせず、

  ただただ従い、寄り添って、

  それが「心がある」、ということなのか。



  心とは、なかなか捉えどころのないモノ、

  その人の気持ち、性格なのか、

  それとも、もっと他の何かなのか。


  どうやら、シロの行動に、

  そのヒントがありそうです。



  「優しい、思いやりがある」、

  そういう言葉で飾られてない、

  ほんとうの心を知るヒントが。