もみじのような白く小さな手の隙間を
錆色の枯葉がするりとくぐり抜けて落ちていくことを
俺の子供は喜んでいる。
落ちてしまった枯葉を踏みつけながら
ただただ落ちてくる枯葉を掴まえられないことを喜ぶ。
斜陽が眩しくて、ちょっとくらくらする。
空が恐ろしいほど高い。
俺の子供は、まだ言葉を知らない。
多分、自分が言葉を知らないことさえ、知らない。
振り返って、俺の顔を見て、上を指差し、にっこりと笑う。
俺も、娘に笑いかける。
そしてまた、落ちる枯葉を掴まえない。
何故枯葉を掴まえられないことが面白いのかはわからない。
俺も、何故笑ったのかは多分、
厳密に言えば、わからない。