4月23日 火曜日。
ここは、
千葉県にある動物愛護センター。
動物達が悲しい目をしてこちらを見ている。
人間に不信感を持ち、
人間に恐怖心を持ち、
心に大きな傷を持った子達が収容されている場所。
これは、
動物達を処分する為の焼却炉なのだろうか?
外に一つ、ぽつんと置かれていた。
これが、
落ち葉やゴミを燃やす為の焼却炉であると言って欲しい。
館内に入ると、
里親を希望する飼い主様でしょうか、、
女性が獣医師さんとお話していた。
この子は、生まれて間もない子猫。
兄弟2匹でここに居る。
母猫はどうした? 飼い主は? ノラ猫なの?
私達7人は、
ここへ、ボランティアでトリミングをしにきました。
7人のうちの1人は私、
そしてもう1人は当店のスタッフのタバちゃん。
ここ4~5年位でしょうか、
『いつか1人で愛護センターにボランティアに行こう』と決めていました。
しかしタイミング、機会、
そして、何より 『現実の世界に足を踏み入れる勇気』が無かった。
日頃、仲良くしてくれているトリマーのカズさんに誘ってもらい
今回やっと初めて行ってきました。
『愛護センター』 イコール 『動物を殺す場所』
だと思い込んでいた自分。。。
事実、 動物達を処分する場所であることに
間違いはありませんが、
センターにいる多くの方達がボランティアであったり、
自分達の資金でドッグ・ランを作ってあげたり、
1頭でも多くの命を救おうと必死に里親を探している場所でもありました。
館内に、
一体どんな子達が待っているのか、
そして人間に強い不信感を持った犬達が
どんな行動をとるのか、 果たして暴れるのか?噛むのか?
何一つわからないまま、 トリミングの準備をしました。
カズさん
カズさん達の努力の積み重ねにより、
こうして館内の手術室を『トリミング・ルーム』として提供して
もらえている今ですが、
かつては建物の外でトリミングをしていた頃もあったそうです。
ちょうどこの辺りで。。
カズさんのボラトリ(ボランティア・トリミング)の事を
耳にした全国のトリマーさん達が、
お店で使わなくなった道具やボラトリの為に購入してくれた道具を
送ってくださるおかげで私達はトリミングをすることができます。
遠くはアメリカ、サンディエゴで活躍する
超一流トリマーのかおるさんからも強力クレンジング剤が。
こうした動物達の悲しい現状を世に伝えるべく、
私はカメラを、けんさんはビデオをまわして。。
ちょっと、おちゃらけてみたり。
こんな悲しい場所で、
静かにもくもくと作業していたら私達の心まで潰れてしまいます。
みんな笑顔で! 笑顔で!!
にぎやかに楽しく!!
音楽をかけると自然と笑顔になります。
だいぶ緊張の様子のタバちゃん。
この扉の先には、
悲しい目をした子達が収容されています。
…。
これが現実です。
けんさんに対し、うなっているマルチーズ。
警戒心が非常に強いので、安易に触るのは大変危険です。
乱暴に捕まえたりしてはいけません。
心の傷を癒してあげ、人間の優しさやぬくもりをもう一度
教えてあげたい気持ちでここまでやってきたのです。
うなる犬に話しかけ、時間をかけ、
ゆっくりゆっくりと優しく。
この人は大丈夫かもしれないと、
涙しそうな表情のけんさんでした。
こうしてみんなの担当するワンコたちを抱っこするのに成功。
この子は私が担当した柴犬。
気難しい。。
簡単には抱っこさせてくれない。
おやつも警戒して食べない。
抱っこしようとするけんさんにキバを向ける。
けんさんが何とか抱っこに成功。
そして私がその子を預かる。
しかし、触れるだけで『ゾゾゾッ』と背中を震わせる。
足先に私の指がふれただけでも、すごく緊張して足を上げる。
1度もトリミングをしたことがないのか、
すごい量のアンダーコートが飛び出ている。
『怖くないんだよ。 絶対に怖いことや痛いことはしないよ』と、
30分はスキンシップをしました。
(補足: この子は、トリミング直後に新しい行き先がきまりました!!!)
この子は、収容4日目。
収容は5日目まで。。。。。
『触って♪ 触って♪』 と、
檻に体を近づけて催促。
私が担当した柴犬のガタオ(って勝手につけた♪)も、
まるで別犬のように心を開いてくれ、
目がキラキラと輝いていました。
センター手作りのドッグランで遊んだよ。
みんなトリミングが終わって、
キレイになりました!
おやつを要求!
まん丸に太ってるピンシャーちゃん。
太ってるのに、ご飯食べるのがヘタ
みんなでおやつTime♪
…、
ハッピーな時間はここまで。
この子たちを檻に戻さなくてはいけない…。
これが一番辛い。。。
ここは収容4日目部屋。
そう、
あの子を返さなくてはいけない部屋。
そして最期の部屋。
センターの人いわく、
すごく人懐こい等の目立つ特徴があれば可能性はゼロではないが、
収容頭数が多い時には、この段階で飼い主が見つかるのはなかなか
難しいとのこと。。。
つまりは翌日には安楽死が待っている…。
私の顔を見てずっと吠えていたのに、
しばらくしたら部屋の隅で、無言で丸くなっていた。
わかるのか・・・。
この部屋には2頭いた。
奥に居た犬は、立ち上がったまま部屋の隅に顔をうずめ、
一歩も動かずその場で立っていた。
足は、驚くほどの振るえ様だった・・・。
しばらくして、1歩2歩とゆっくり歩きだしたが、
歩き方に違和感があった。
あまりの恐怖心に精神状態を正常に保てないように感じた。
わかるのか・・・。
何もしてやれない自分に無力さを、
そしてここに連れてこられる事になった犬の理由を考えた時に
人間の無責任さを、
強く感じました。
15分くらい立っていた私の背後に
新たに仔犬2頭、
タンボールにガムテープを貼られて捨てられた子猫達、
そして成犬の柴1頭がセンターに運ばれてきた。
マイクロチップの読み取り機に通すが、
1頭もマイクロチップの反応は無し。
ここで「ピー!」 と鳴ってさえくれれば!!
そんなことを思いながら横目で見ていた。。。
こうして、
鳴らなかった子達は収容部屋へ運ばれていきました。
自分が同じ立場だったら、どうでしょうか?
『言葉をしゃべることができない動物達を捕まえて殺す』。。。
人間はなんて恐ろしい生き物なのでしょう。。
動物を飼うのであれば、
ちゃんと責任をもって最期まで一緒に居てあげてください。
『もういらないから手放す』なんて考えは、
絶対にもってはいけないということが、わかるはずです。
人間が人間を殺したら有罪として懲役何年と罰せられるのに、
人間が動物を殺してもいいのでしょうか。罰金で終わりでしょうか?
私には理解できないし納得もできない現実です。
こんなに可愛い顔をしたワンちゃん達を見ていたら、
数日後に殺されていくのが悲しくて悲しくて。
大きくても小さくても、
言葉が喋れても喋れなくても、
同じ命なんだ!!
これからペットを迎えいれようと考えている飼い主様、
愛護センターで命の終わりをせまられているワンちゃんたちにも
是非とも目を向けていただけたらと思います・・・。
宜しくお願い致しますm(_ _)m