大阪教育新聞3月号「子どもと絵本を結ぶ」VOL.171で『世界がもし100人の村だったら』を紹介させていただきました。
世界の情勢は日々変化しています。未来を生きる子どもたちが笑顔ですごせるような、持続可能な社会とはなにか。今一度見つめ直したいです。🌏
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『世界がもし100人の村だったら』
池田香代子 再話
C.ダグラス・ラミス 対訳
マガジンハウス
「世界市民」として生きるヒント
世界にいる六十三億人の人を、もし百人の村に縮めるとどうなるでしょうか。
世界の人種・経済・政治・宗教の差異に関する比率を百人の村にたとえて説明しているエッセイがチェーンメールで世界中を駆け巡った二〇〇一年。「ある学級通信」として著された日本版ネット・ロア(グローバル時代の民話)が絵本仕立てになった一冊。巻末に再話著者・池田香代子氏の解説と平和のメッセージが収録されています。
当時小学生だった私は、本書の色とりどりのイラストと題名に惹かれて、近所の書店で父に買ってもらったことを鮮明に覚えています。ちょうど学校の社会科の授業で、世界情勢や環境問題を学んでいた頃です。世界の現状が凝縮された一冊に、驚きとショックが混じりあった衝撃を受けました。そして、この村と人を「愛」したいと強く想いました。二十年近く経った今も、本棚から私を見守ってくれています。
巻末の解説に掲載されている、小文を初めて日本語に訳した中野裕弓氏の訳文中の一文がぐっと心に響き、私にとって、世界を知るための原動力となり今に至ります。「もしこのように縮小された全体図からわたしたちの世界を見るなら、相手をあるがままに受け容れること、自分と違う人を理解すること、そして、そういう事実を知るための教育がいかに必要かは火を見るより明らかです」。中野氏は後に自著で、この部分を意識して自分のオリジナルの発想で訳したと書いています。
環境学者ドネラ・メドウズ氏が一九九〇年に著した小文『村の現状報告』(もし世界が1000人の村だったら)が元となり、様々な人の手が加わり、百人の村人になりました。以後、シリーズ化されています。世界の人口は二〇二三年には初めて約八十億人を超え、各種の統計は変化していますが、込められたメッセージは幾年たっても色あせることなく、持続可能な社会の実現に向けて、“わたし・たち”に「世界市民」として生きるためのヒントを投げかけてくれる一冊です。
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