大阪教育新聞10月号「子どもと絵本をむすぶ」VOL.162で、『くれよんのくろくん』を紹介させていただきました。私が絵本を好きになるきっかけとなった一冊です。
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『くれよんのくろくん』
作・絵 なかや みわ
童心社
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(以下、掲載文です。)
十色のクレヨンたちの
いろどりと物語に惹かれて
十色のクレヨンたちが新品のまま使われることなく、退屈していました。ある日、きいろくんは箱を飛び出して、画用紙にクルクルクルっとチョウを描きます。きいろくんは最高の描き心地で大喜び。他の色のクレヨンたちも集まってきて絵を描いています。しかし、くろくんだけはきれいに描いた絵をくろくされたらたまらないと仲間に入れてもらえません。そこにシャープペンのお兄さんがくろくんを元気づけにやってきて、こっそり教えてくれたことは……。
今夏は三年ぶりになにわ淀川花火大会が開催されました。私は三密を回避するために自宅の涼しい部屋で、テレビ中継を見ました。部屋の明かりを消すと、ドローン技術で撮影された映像も相まってさらに迫力満点。一発一発の花火の音とイメージ楽曲の協奏が全身に響き、色鮮やかな花火の美しさに感動しました。様々なことが変わっていった世の中ですが、三年ぶりの〝夏のイベント〟に元気づけられました。
私と本書との出会いは、祖父が生前に連れて行ってくれた百貨店での絵本の催事です。たくさんの絵本が並ぶ中で購入してもらう一冊を決めるのに、迷いに迷いました。幼いころから色とりどりのものが好きな私は、色鉛筆や絵具、クレヨン、折り紙などを、今もいつでも取り出せる場所に置いています。十色のクレヨンたちのいろどりと物語に惹かれて本書を選びました。私が今も絵本が好きなのは、本書と、「絵本の催事にどうしても連れてきたかった」と言って絵本と出会う機会を与えてくれた祖父のおかげです。
なかやみわさん作・絵の「くれよんのくろくん」シリーズは現在五冊出版されていて長く愛されているシリーズです。可愛いイラストで、読むと図画工作の授業を思い出して絵を描きたくなります。本書はシリーズの一冊目で、誰かを仲間はずれにするのではなく一人ひとりが大切であること、発想の転換で個性を最大限に活かせるということを伝えてくれる一冊です。さて、くろくんは本書でどんな個性を発揮したのでしょうか。
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