被災地へ物資輸送6
その3人に方が乗る車に、誘導され、奥さんが工場の片づけをしているところに向かう。
車を止め、奥さんに会う
かける言葉がなく、
抱き合う。
「もう、流す涙は無くなりました。とりあえず今できることをやるしかありません。いつから再開できるのか
そして再開するのか今は何もわかりません。」と
周りには、陸上にあるはずのない漁船が横たわっている。そんな状況の中、そらそうや。
「こんなことしかできませんが、受け取って下さい。」と私。
そして周りには、従業員さんたちもいた。
その中に、いつも私を「おっ 東京のプリンス来たか。おばちゃんが珈琲いれたるわ」といつも孫のように
戯れてくれたおばんちゃんもそばにいた。
「遠いとこ、よう来てくれたね。ありがとう」とおばちゃん。
こんなときにでも、自分のことより、我々のことを心配してくれる奥ゆかき心。
その後、原発の話や、風評被害のことなど、いろいろ話をする。
「奥さん、また電話するね。がんばってね。」と私。
それぐらいの言葉しかでない。そして、原釜を後にする。
次は、小名浜や。が、ガソリンが足りない。くそ~。どうしようもない。
午後2時、東京に向かう。後ろに一杯あった、物資は、今の惨状からいうと、微々たるもんだが、社員を始めとした、みんなの愛が詰まったもんは、空っぽになった。
ただ、一つだけ、物資として買っていった、赤いドンベイだけを一つ持ち帰る。
亡き、お世話になった八巻社長のご冥福を祈りながら、兄の仏壇に置きたくなった。なんでかわからんけど。