大人の歯列矯正4 ~外科矯正とは?~
外科の先生が診療に来る日がやってきたので、
再び歯科医院へ行ってきました。
外科の先生は若い頃はさぞモテただろうなという感じの、
寡黙な紳士タイプのダンディな先生。
少しテンションが上がると同時に、
「次回はもっとちゃんと化粧してこよう」などと余計なことを思う私。
1.外科手術+矯正の大まかな流れ
さて、肝心の手術の話ですが、
外科治療で矯正すると言っても全部を手術でするわけではなく、
手術の前に通常の矯正で歯列をきちんと並べて、
その上下がかみ合うように手術で顎の位置をずらします。
大体のスケジュールは以下の通り。
右上下の親知らず(埋没歯)の抜歯
↓
矯正時にジャマになる歯の抜歯(上2本、下は抜かないかも)
↓
術前矯正(1年くらい)
↓
外科手術(入院2週間程度)
↓
術後矯正
↓
リテーナー(後戻り防止の取り外し器具をつける。2年くらい?)
手術をする場合、
歯科矯正だけの場合と比べて歯の移動距離が短くてすむため、
術前の矯正期間は1年ほどになる計画だそうです。
ちなみに親知らずの抜歯については、
手術をしないなら下顎の親知らずはしばらく抜かずに置いておき、
手術をするなら上と一緒に抜いてしまうそうです。
なぜなら、抜歯でできた下顎骨の穴がふさがるまで手術ができないから。
私の親知らずは顎の中に埋まってしまっているため、
親知らずを抜歯する際に下顎の骨に穴が開いてしまい、
そのまま手術すると骨が折れてしまうことがあるのだとか。
<手術するときに一緒に抜いてくれたらいいのにって思ってるでしょ?
と、心のうちをまんまと見透かされたのですが、
それも上記と同じ理由で不可能なので、
矯正を始める前に早々に抜いてしまうことになるそうです。
2.手術の方法:下顎枝矢状分割法
手術前の矯正で歯を大体並べたら、
いよいよ外科手術で歯をかみ合わせます。
私のように下顎のサイズが小さく顎が下がってしまっている人は、
下顎枝矢状分割法という手術を受けて、顎を前に出します。
要は、顎の骨の厚みを削ぐように切って下顎を外し、
取った下顎を前にずらしてボルトで留め付ける手術です。
(※画像は神戸市立医療センター中央市民病院HP
よりお借りしました)
これはネット上に公開されているものから分かりやすいものを選んだだけなので、
症例によって微妙に違いはあるかと思うのですが、
大体こんな感じで下顎を前にズラして固定するというわけ。
手術は全身麻酔で行いますが、
口の中を切って手術をするため、
顔の表面に傷跡が残るようなことはないそうです。
3.上顎の手術(未定)
もう一つ、私の場合は鼻の下~前歯の先の距離がやや長く、
矯正で治療するなら前歯を上に押し込むらしいのですが、
それをすると歯根吸収などの問題があるため、
下あごの手術と同時に、上顎の長さを短くする手術をするかもしれないらしい。
前から6番目の両側2本を抜いて、
前歯の部分をコの字型に切って取り外し、
長さを詰めてハメ直す、らしい。
ちなみにこの手術をする場合は、
抜く予定だった前から5番目の2本は抜きません。
それについて矯正医の先生が外科の先生に
専門用語を使いながら相談していましたが、
よく分からないのでぼーっと聞いておきました。
<上顎も切るか、上顎は矯正で直すかは、私が決めるんですか?
と尋ねたところ、
<希望は聞きますが、可能な治療法をこちらで幾つか提示するので、
そのどれにするか選ぶという感じになりますよ。
だそうで、私が勝手に決めていいわけではないらしい(笑)
ちなみに上顎の手術は下顎と違って大きなリスクがほとんどなく、
痛みもどうせ下顎を切っているから変わらないそうです。
手術時間は、下顎のみなら2時間、上顎+下顎なら3時間の予定。
4.矯正+外科手術の場合の移動予測
前回は矯正のみの場合の予測を出してもらったのですが、
今回は矯正+外科手術を行った場合の予測を見せてもらえました。
赤いラインが現在の様子で、
そこから青いラインまで矯正で移動させて、
その後、緑のラインまで下あごを移動させる計画。
これでは上の前歯を矯正で青いラインまで移動させることになっていますが、
外科の先生は、下あごの手術と一緒に上も切れば?と言っているので、
それは相談することになりそう。
5.外科治療+矯正の場合のメリット
保険適用になるので費用が安くなる
前回の記事で、矯正のみの治療をした場合、
費用は90~100万円程度と書きましたが、
外科治療をすると、その前後の矯正も含めて保険適用になるため、
費用が安くなります。
3割負担で計算して、手術にかかる費用が約30万、
矯正にかかる費用が約30万円で、トータル60万円程度。
さらに、これらは「高額療養費制度」の対象となるので、
そのうち幾らかが後から戻ってくることになります。
同じような外科治療を受けたほかの方のブログなんかを見ていると、
手術費用は10万円以下で抑えられることが多いみたい。
根本的な治療ができる
歯だけをとりあえずきれいに並べて治療するだけだと、
根本的な原因(=下顎が人より小さいこと)は治らないので、
歯列の後戻りがあったり、矯正できる範囲も小さくなります。
でも、外科手術と歯列矯正を併用すると、
当然ながら顎のサイズそのものを平均に近づけることができるので、
私が最も気にしている「横顔のモッサリ感」は大きく改善できる予測。
歯根吸収の心配がほとんどなくなる
前回、「上の前歯を上に押し込む矯正をすると、歯根が短くなる」と書きましたが、
外科治療を併用する場合、この動かし方はしないことになるので、
歯根吸収の心配はほとんどなくなるそうです。
前回も書いたとおり、
歯根が短くなると歯自体の健康にはあまりよろしくないので、
歳をとったときのことを考えると、
外科治療のほうがいいのかなあと思いました。
顎関節の異常に伴う症状が治ることもある
これはいわゆる「オマケ」なので絶対とは言い切れないらしいのですが、
私の場合は上下の顎の大きさのバランスが悪いため、
額関節に負担がかかってしまい、顎関節症があります。
定期的に悪くなっては口が開けられなくなり、
しばらくするとだんだん治るというのを繰り返しているのですが、
今回の外科手術でそれが治る可能性もあるようです。
それから、中学生ぐらいからずっとお付き合いをしている偏頭痛も、
かみ合わせがきちんとなっていないことから来るものであれば、
手術によってそれが改善されることもあるらしい。
5.外科手術+矯正の場合のデメリット
舌側矯正ができなくなる
外科手術をした後、しばらくは上下の顎を固定しておく必要があるのですが、
その際、上下の矯正器具にゴムを引っかけるため、
矯正器具は舌側でなく表側につけなければいけません。
もちろんあのギラッとした銀色の装置ではなく、
歯にくっついている部分は白っぽいものにしてもらえるようですが、
ゴムを引っかけるためのフックが銀色なので、普通にギラっと目立ちます。
舌側矯正を強く希望していた私にとって、
これはしっかり考えなくてはいけない部分。
下顎と下唇にしびれが残る(3カ月~半年)
下顎の外科手術に伴う最大のリスクとして、
下顎を通る太い神経に全く触れずに手術を行うことができないため、
手術の後、下顎と下唇にしびれが残ったり、
抜歯の麻酔後のように感覚がなくなるのだそうです。
これに関しては、通常3カ月~半年かけてゆっくり戻るそうですが、
1%未満の確率で、しびれがずっと残ったり、
感覚の麻痺がずっと残ってしまうこともあるそうです。
外科手術は痛い
何を当たり前のことを・・・と思うかもしれませんが、
当然ながら手術すれば痛いのです。
顔は腫れるし、手術後しばらくは食事もできません。
入院期間は2週間ほどだそうですが、
痛みが強いのは最初の3日間くらいで、悶絶級らしい。
その間は当然、鎮痛剤を使ってもらえます。
その後も痛み止めを出したりはしてもらえるだろうけど、
前に親知らずを抜歯したとき、
痛み止めを飲んでも痛いものは痛かった。
顎関節に痛みが出ることがある
顎を前に出す手術をした場合、
当然ながら皮膚が引っ張られます。
そうすると、顎に対してうしろに引っ張る力がっかるので、
顎関節に痛みが出てしまうことがあるそうです。
<それを防ぐためには、手術前に顎の皮膚をよく伸ばしておいてください。
顎の皮膚を・・・・伸ばす・・・・?
怪訝な顔をしている私を見て先生がやってみせてくれたのですが、
下あごを前にずらし、顎を上に向けると、
皮膚が引っ張られたような感じがします。
<手術を決めたら、ヒマさえあればこれをやってください。
冗談だろと思いましたが、先生はニコリともしませんので、
恐らく本気なのでしょう。
先生曰く「これをするとしないでは、全然違いますからね」とのことなので、
そんなことで痛みが軽減されるなら、仕事中ずっとやってたっていいよ!
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
いろいろ細かいことは聞いたけれど、
外科手術+矯正にするか、歯列矯正のみにするか、
それぞれメリットとデメリットがあるし、迷う。
<手術を強く勧めるようなタイプの症例ですか。
と外科の先生に聞いてみたところ、
別に歯並びが悪くたって口元がモッサリしてたって死ぬわけじゃないし、
口元がコンプレックスすぎて自殺寸前ってわけでもありませんから、
それは正直「どちらでも好きな方を」としか言えないそうです。
そりゃそうだ。
<矯正だけでも、顎の骨が少しは移動します。
少しだけなら、矯正だけで下顎が前に出た症例はありますよ。
でも、いろいろ含めて根本的に治したいなら、外科が確実ではあります。
要は、「自分でよく考えて決めなさい」ということなのでしょう。
幸いなことに、最近同じ手術を受けた人が身近にいるので、
診察の後、痛みや腫れの程度などについて相談に乗ってもらいました。
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