皆さん、痴漢を捕まえたことはありますか?

 

『チダイズム』も9周年を迎えまして、
毎日ちゃんと更新していきたいと思って
いたのですが、そんな矢先、とんでもない
事件に遭遇してしまいました。

 

ちだい、生まれて初めて痴漢を捕まえる!

 

一応、「捕まった」のではなく、
「捕まえた」であることを確認した上で、
話を進めたいと思うんですけれども・・・。

 

絵に描いたような典型的な「社畜」として
働いている僕なので、その日は、会社での
仕事を終え、自宅で作業をしようかと思って
少し早めの電車に乗りました。

 

電車では座って原稿を書きたい派なので、
地下鉄で東京駅を経由し、京浜東北線か
山手線で上野に行き、そこから常磐線で
柏に行くのが、帰りのルートなんですが、
毎回、東京-上野間の電車は混雑します。

 

混雑する電車に乗る時、僕がなるべく
心がけているのは、両手を上に挙げること。
最低でも手は心臓より上と決めております。

 

なにしろ、僕は変態が顔に滲み出ている
タイプの人間なのです。この顔面で電車に
乗ることは、テロを警戒しているような所で
「イスラム国」と書かれたTシャツを着て、
黒い何かを振り回すようなもの。

 

射殺されかねない!

 

僕はあくまで清く正しい合法的な変態。
けっして「法」の一線を踏み越えることは
ないのですが、顔面だけで誤解されぬよう、
両手は常に心臓より上に挙げるのがルール!

 

息子の徴兵を送り出す時の日本人のごとく
美しいフォームのバンザイを見せつけながら
痴漢ではないことをアピールしての華麗なる
平和的乗車! これぞニッポンの伝統芸!

 

しかし、そんな両手を挙げている僕の背後で
あってはならない女性の声が聞こえたのです。

 

「この人、痴漢です!助けてください!」

 

一瞬、僕の人生が終わったのかと思いました。
両手を挙げることさえ、無駄なのではないか。
後ろを振り返ると、男の手をギュッと掴んだ
かわいいお姉さんが立っていました。
ザワザワする車内。

 

「この人、痴漢です!助けてください!」
「この人、痴漢です!助けてください!」

 

同じ言葉を何度も連呼しますが、誰も助ける
様子がありません。が、少し離れた所にいた
僕なのですが、かわいいお姉さんのピンチを
見て見ぬフリをする男ではありません!

 

「とりあえず電車を降りましょうか。」

 

近くにいたサラリーマンが言いましたが、
犯人の男を掴んだ被害者のお姉さんと一緒に
電車を降りたのは、ひょろりとした痩せ形の
弱そうなサラリーマンと僕だけ。

 

これだけ大人がいるのに、誰も助けない!

 

政治にも無関心だけど、今、目の前にいる
かわいいお姉さんが困っていることにさえ
無関心なんて、どこが美しい国なんだよ!

 

ひょろいサラリーマンの男に見張りを
任せるのは心細かったですが、とりあえず
僕が駅員を呼びに行き、お姉さんと犯人は
ひょろい奴に託すことにしました。

 

改札口の窓口まで駅員を呼びに行く僕。
階段を駆け下りながら、僕が見張り役を
やらなくてよかったと心の中で思いました。

 

というのも、犯人の男は20代後半くらい。
丸顔の優しそうな男で、リュックタイプの
カバンを背負ったスーツ姿のサラリーマン。
どちらかと言えば、真面目そうな奴でした。

 

そんな奴を、見るからに変態顔をしている
僕のような男が見張り役をやった日には、
駆けつけた駅員が真っ先に逮捕するのが
僕になると思います。

 

見た目だけで言えば、どう考えても
僕の方が痴漢をやりそうに見える始末。

 

とりあえず、駅員さんを引き連れ、現場に
戻ったのですが、相変わらずキレカワ系の
お姉さんは犯人の手をギュッと掴んだまま。
逃げる様子もなく、おとなしく立ち尽くす
真面目そうなサラリーマンの犯人。

 

すると、無線で痴漢の一方を受けた
駅員や警備員が徐々に集まってきました。
これでもう大丈夫・・・と思ったあたりで、
僕の中に淡い期待が生まれ始めました。

 

世の中には「電車男」という物語があり、
モテない童貞の男が痴漢を助けたことから
「エルメス」という美しい女性を恋をする。

 

その女性は、まさに「エルメス」という
名前が似合うような美人。2ちゃんねるは
やりませんが、それ以外は「完全に一致」。
こんな美人のお姉さんと恋が始まるのなら、
全然悪くない!

 

というか、こんな美人お姉さんのお尻を
触るとは、なんてけしからん野郎なんだ!
美人お姉さんがここまで号泣するんだから、
ちょっとお尻を撫でたぐらいじゃないな!

 

おもいっきりグーで殴ってよし!

 

普段は変態な顔をしている僕なんですが、
考え事をした時に他人から言われるのは、
「人を殺しそうな目をしている」なので、
僕の表情から殺意を感じたんでしょうね。

 

犯人が「お忙しい所、すみません!」
なぜか僕に気を遣ってきやがりました。
「オマエが謝るべきは俺じゃねぇぞ!」
ますます殺意が芽生えたため、思わず

説教しそうになりました。

 

「ぶち殺すぞ、ワレ! そんなに痴漢を
したかったら、風俗に行けよ、ボケカス!
痴漢プレイできるイメクラ紹介したろか!
痴漢されて気持ちいいとかヌカす女なんぞ
AVの世界にしかいないんじゃ、ボケ!」

 

しかし、こんな説教をぶちかました日には
隣で泣いている美人お姉さんがもっと泣く
可能性があったので、人殺しのような目で
犯人を睨み続けただけになりました。

 

気づけば、ジジィの警備員に囲まれており、
そのうちの1人のジジィに「ご協力いただき
ありがとうございました!」
と敬礼をされ、
助けた僕たちは「解散」みたいなムードに。

 

いやいやいや! 助けた僕の連絡先を
美人お姉さんに教えないと何も始まらない!
エルメス! せめてLINEのIDだけでも
教えてもらえないものでしょうか!

 

事情聴取に応じる用意はありましたが、
まったく必要とされるニオイがしないので、
女性の駅員さんに抱きしめられて号泣する
美人お姉さんを見ながら、次の電車に乗り、

再び両手を挙げながら家に帰ったのでした。

 

ということで、もし山手線で痴漢に遭い、
神田駅で犯人を降ろした美人お姉さんが
このブログを目にすることがありましたら、
あの時に助けたのは僕です!

 

大切なことなので、郷ひろみのテンションで
もう一度言いますが、「ボクでぇ~す!」。

 

いつかエルメスの食器が届く日が来るのを
お待ちしております。オタクではないので、
電車男よりは付き合いやすいかと思います。
どうもありがとうございました。