2月23日に、東京都文京区で、「原発事故

被害者の政策要求を後押ししよう」という

市民集会があったのですが、ここで福島の

切実な状況が語られましたので、皆さんにも

知っていただきたいと思い、IWJで中継された

VTRを文字起こししました。


テレビで伝えられない真実が、まさに今、

問題になっています。もし、お金に余裕がある

皆さんがいらっしゃいましたら、ぜひIWJさんも

支援していただきたいと思うのですが・・・。


チダイズム ~毎日セシウムを検査するブログ~-XKS118


まずは、国際環境NGO FoE Japanの

満田夏花さんの報告。「夏花(かんな)」って

カワイイ名前ですね、超どうでもいいですけど。


■ 現在の避難基準は、年20ミリシーベルト。

■ これは非常に歪んだ基準である。


■ 自主避難の賠償は、今まであるのかどうかも

  わからなかったが、あっても雀の涙程度である。


■ 自主避難の賠償は、市民が声を挙げてきた。

■ その結果、ようやく雀の涙ほどの賠償が出た。

■ やっと自主避難が認められた渡利地区は深刻。

■ 通学路の水路(1m)で4.4マイクロシーベルト。

■ 水路の横の道路でも3.7マイクロシーベルト。

■ セシウム濃度は、51万5000ベクレルもある。

■ 雨水枡周辺は、1mで1.8マイクロシーベルト。

■ ただし、1cmでは5.6マイクロシーベルトになる。

■ このような場所を小学生が毎日通学していた。


■ 汚染土を集めたバッグは、広場中央では、

  高さ1mで1.0マイクロシーベルト前後だが、

  1cmでは、最大12.0マイクロシーベルトになる。


■ 除染は現在、3分の1程度しか終わっていない。

■ 渡利地区では、汚染土が裏庭で保管されている。

■ 住宅街のため、汚染土の撤去が進んでいない。

■ 渡利地区の民家の庭は、11万5000ベクレル。

■ その庭の苔は、48万9000ベクレルもあった。

■ 埋立基準の8000ベクレルを軽く超えている。

■ チェルノブイリでは、強制避難区域に相当する。

■ 福島市の人は声を挙げたが、国が認めなかった。

■ 避難の基準に達してしないという判断を下した。

■ 理由は、福島の経済維持、国の経済縮小防止。

■ しかし、「原発事故子ども・被災者支援法」制定。

■ 超党派の議員たちによって、議員立法された。

■ 2012年3月に法案が検討され、6月に制定。


■ この法律には、子どもの健康を未然に防ぐ。

  低線量被曝の影響は不明だが、予防のために

  幅広い人に避難や移住の選択をできるように

  するということが書かれている。


■ 国の原子力政策を反省するとも書かれている。

■ 今までの政府指示エリアより広い地域が対象。

■ 20ミリシーベルト以下でも、支援対象地域。

■ ただし、何ミリシーベルトからが対象かは不明。

■ 市民団体等は、1ミリシーベルトを主張している。

■ このエリアでは、移住や検診の賠償が得られる。

■ 福島市は、全エリアが対象になるだろうと思う。

■ 初期被曝の不明点も考慮に入れる必要がある。


■ ただし、「子ども・被災者支援法」の内容は、

  かなりザックリとしている。


■ 「被曝」という言葉は使わないようにしている。

■ 「保養」という言葉も使わないようにしている。

■ これは、福島県が拒否しているためである。

■ 子供の医療費については、減免される予定。


■ 福島の健康調査は、すべて放射線の影響を

  否定しているのが現状。これは問題である。


■ 放射線との因果関係の証明責任は国が負う。

■ 当初は被害者が負うことだったが、改善された。


■ この法律は制定から8ヶ月が経ったが、何一つ

  動いていない。その理由はいろいろある。


■ あとで細かい部分を規定しようとした。

■ 予算がついていない。(政府がやる気なし。)

■ 議員立法なので、政府を強引に説き伏せた。

■ 複数の省庁が関係し、仕事の押し付け合う。

■ 「自分たちが頑張ろう」という省庁がない。

■ エリアが広くなると、賠償金が無限にかかる。

■ お金がかかるので、どうにかやらない方向に。

■ 福島の子供の健康被害は「闇の中」である。


■ 最大10人の甲状腺がんも放射線との

  因果関係は、早くも否定してしまっている。


■ しかし、甲状腺検査は急ぐべきである。


■ 甲状腺より、調査されていない他の病気が

  深刻であり、何も検査されていないのが現状。


■ 子供の健康を全体的に見ることが大切だ。

■ このままでは、甲状腺以外は隠されてしまう。

■ 甲状腺がんばかりに衝撃を受けてはいけない。

■ 免疫低下等の病気については放置されている。

■ 普通の病気には、「頑張りましょう」だけである。


■ 原子力規制委員会は、福島の医師会が中心の

  健康管理検討チームの話を完全に無視された

  報告書が出されようとしている。


■ それどころか、甲状腺がんの対象を狭めようと

  するような動きさえ見える。これは許されない。


■ 原子力規制委員会を、もっと傍聴しに行くべき。

■ 国も原子力規制委員会をヨイショする動きだ。

■ 「福島ぽかぽかプロジェクト」を現在も実施中。

■ 子供たちを土湯温泉で保養させている。

■ 放射線量の高い地域で暮らす人々は切実。


■ 被災者支援法には、被災者の声を聞かなければ

  ならないという法律があるが、守られていない。


■ 公聴会をしなければならないという法律もあるが、

  これも守られていないので、厳守させるべきだ。


■ チェルノブイリ法の方が圧倒的に充実している。

■ 1991年制定で、責任や権利が明記されている。

■ 日本では責任や権利が書かれていない。

■ チェルノブイリではリクビダートルが英雄となった。

■ リクビダートルが議会に送られ、勝ち取った法律。

■ 日本では原発作業員が英雄視されていない。


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続いては、いわき市議会議員の佐藤和良さん。

いわき市は、どのようになっているのでしょうか。


■ 国は福島の棄民政策を取っている。

■ この2年間、福島県民を「留置」している。

■ 国民の力で押し返さなければならない。


■ 年間20ミリシーベルトという高い基準が、

  差別や分断を生み出していると言える。


■ 被曝労働者の方も、いわき市に住んでいる。

■ いわき市の人口は36万人くらいになっている。

■ 車の渋滞、医療、ゴミ、教育などが問題化した。

■ いわき市は今、ざらついた雰囲気になっている。

■ 仮設住宅に住んでいる人の車が襲われた。

■ 被災者は地元に帰れという落書きをされた。

■ 同じ被災者なのに、心の痛む現状がある。

■ 双葉郡の人々には、毎月10万円の補償。

■ いわき市の人々には、8ヶ月で4万円である。

■ この値段の差が妬みを生み出しているのだ。

■ こうした、うまい分断支配が作られている。

■ 大熊町では、除染すれば住めると言い出した。

■ 現実的に、富岡、大熊、双葉、浪江は住めない。

■ 国は除染したところで住めないことを認めるべき。

■ 故郷を失われた人たちに、しっかり補償するべき。

■ いわき市の人たちですら、心が折れそうである。

■ 免疫力の低下というのは、誰もが認めるところ。

■ 子供の鼻血を心配する人もたくさんいる。

■ いわき市では自主検査で甲状腺異常が多数。

■ 健康被害をきっちりと検査をするべきである。

■ 健康被害の潜在的な高まりを注視すべきだ。

■ 東京電力や国は、1円でも値切ろうとしている。

■ そのため、賠償の問題もほとんど進んでいない。

■ だから、「子ども支援法」は、頼みの綱である。

■ 被災者手帳を配り、健康診断を毎年するべき。

■ 働けなくなっても、生活保障をしっかりするべき。

■ 「被災者支援法」を考えてくれない議員もいる。

■ この法案の管轄は復興庁ということになっている。

■ 野田内閣の解散などもあり、どんどん遅れている。

■ 避難した人も避難しなかった人も支援するべき。

■ 福島は、福島全域を補償エリアにしてほしい。

■ 1ミリシーベルト以上になる所は補償すべきだ。

■ こうした声を全国的な声にすることが必要だ。

■ 福島県内でも、この支援法を知る人は少ない。

■ 「命を守る」ということを第一の課題にしたい。


■ 山下俊一や鈴木真一の「デマ」が科学の真実に

  なりつつある。これではダメだという意見もある。


■ 健康管理調査は疫学調査で、モルモットだ。


■ 疫学調査ではなく、子どもの健康を守る検査を

  きちんと要求することが、近々の課題だろうと思う。


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続いて、福島県中通りの事情に詳しい方から

報告がありました。報告の内容は、以下のとおり。


■ 郡山市の線量の高い場所は区画整理をして

  土地の販売が始まっている。


■ 線量の高い地域に若い夫婦がやってくる。

■ かつてないほど飛ぶように売れているという。

■ 何も学んでいない人が安いから買ってしまう。

■ こうなったのは科学者らによる洗脳が原因だ。

■ 安全だという人は大量の時間と資金を使える。

■ 大半は放射能は気にしているが、諦めている。

■ 署名をしても、何も変わらないだろうと言われる。

■ 福島は除染し、2020年までに帰還させるという。

■ 今、避難している若いお母さんも帰還させる予定。

■ 福島第一原発で何かあった時に、どうするのか。

■ 避難経路やヨウ素剤の配布なども決まってない。

■ 東京電力の賠償金を女性は貯金しようという。

■ 男性は賠償金で暮らしていけばいいという。

■ こういったところでも、男女で考え方が違う。


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ここで、会場から出た意見などもまとめましょう。

大部分は、いわき市議会議員の佐藤和良さんが

答えた内容でございます。


■ 「被災者支援法」も、結局は分断政策の一つ。

■ 分断を乗り越えるには、丁寧な対話が必要。

■ 広島・長崎の原爆、水俣病などからも教訓を。

■ 国の除染と住民の気持ちの間にギャップあり。

■ 「除染したから帰れ」というのは乱暴である。

■ 双葉郡や浪江町の人は帰りたくない人も多い。

■ 帰りたくない人たちにも選択できる権利が必要。

■ 伝統家屋に住んでいる人は固定資産ゼロだ。

■ 一律6000万円賠償などにしないと難しい。

■ 分断政策に翻弄されないようにするべきだ。

■ 福島の人は、いろんな地域の人と話すべきだ。

■ 「被害者救済責任法」という名前がふさわしい。

■ この問題は、戦争責任と同じで、国家責任だ。

■ 福島県知事は、なぜ告訴しないのか疑問だ。

■ 福島県民にとって、佐藤雄平知事は戦犯だ。

■ SPEEDIの公開をしなかった責任も大きい。

■ データを消した職員の責任にすべきではない。

■ いわき市は、放射性ヨウ素131の被曝エリア。


■ 山下俊一は、SPEEDIの結果を見た後で、

  いわき市に一番最初に「安全宣言」をした。

  3月20日から安全行脚が始まっている。


■ いわき市は、簡易甲状腺検査を実施している。

■ 簡易甲状腺検査は3か所、1132人実施した。

■ いわき市、川俣町、飯舘村だけ簡易検査した。

■ これはSPEEDIの検査を見てからやっている。

■ いわき市の4歳の女の子が最大の被曝をした。


■ 福島では賠償問題ばかりが注目されている。

■ もっと広い視野で見なければならない。

■ 東京電力の賠償は、いつか必ず終わるもの。

■ 賠償が終わると、必ず生活困窮者が出る。

■ そうなる前に、住宅や家の修繕などが必要。

■ 場合によっては、生活費の補償も必要になる。

■ 「原発被災者生活補償法」を作ってもらいたい。

■ 断固として、年間1ミリシーベルトにこだわる。

■ 被災者も疲れて、判断能力がなくなっている。

■ 議員は、自民党の圧勝の後、態度が急変した。


■ 復興庁は、いまだに1ミリシーベルトにすると、

  風評被害が出て農産物が売れないからと言って、

  対応しない。これでは被災者支援が間に合わない。


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続きまして、被ばく労働を考えるネットワークの

中村光男さんの話です。福島原発の収束作業、

除染作業などに従事している方々の健康問題を

考えている方です。もともとはご自身も日雇いの

労働者として働いてきたという経緯がございます。


■ 原発の収束作業員の6割が福島県民である。

■ 福島県民として被曝し、労働でも被曝している。

■ 今までは山谷や尼崎も仕事がなかった。

■ そのため、ホームレスが路上で死んでいった。

■ 福島避難民への東京都はボランティアを拒否。


■ 仕方がないので、福島からの自主避難民に

  ホームレス方式の炊き出しをすることになった。


■ 温かいのは「2週間ぶりだ」という声も挙がった。

■ チョコレートを配ったら、子供に初めて笑顔に。

■ 子供の笑顔に、親や老人も笑顔になっていった。

■ 東京都の職員は、上から被災者を眺めていた。

■ 石原都政では、「勝手に避難しやがって!」と。

■ ホームレス同じように、生存権を奪われていた。

■ 東京電力の賠償問題は、地元では大きな問題。

■ 月10万円もらうということに、やはり妬みがある。

■ 国にどう責任を取らせるかという観点が実はない。

■ 仮設住宅は、実はあと1年しか期限がない。

■ 東京電力の復興住宅は、全然進んでいない。

■ 山谷の発想だと、公的な住宅を国が作るべきだ。

■ 分断をさせず、生存を守ることには住宅が大切。

■ お金ではなく、実物で作らせないとダメである。

■ 仮設住宅の中でも賠償の話は話題にならない。

■ それぞれが賠償の金額が違うので黙ってしまう。

■ いわき湯本の旅館街が異様な雰囲気だった。

■ 約3000人の原発労働者が、そこで暮らすから。

■ いわき市は民間のアパートは1軒もないほど活況。

■ 労働者のための宿泊施設が続々借り上げられる。

■ 今、被曝労働者から100人前後の相談がある。

■ 原発労働者の仕事がなく、除染労働に来ている。

■ 大飯原発しか動いていないので、仕事がない。

■ 原発ジプシーに契約書は存在せず、口頭で契約。

■ 国からの1万円の給付は、2次下請けで2000円。

■ 3次下請けになると、それが100円になってしまう。

■ 1日1万円もらうところが100円ということで相談に。

■ 除染の2次下請けには、東京電力の子会社がある。

■ 被曝労働者も「被災者」として支援するべきである。

■ 被曝労働者問題は、20年、30年、40年の問題だ。

■ 福島第一原発の2次下請けの人が月14万だった。


■ これを官庁に訴えても、民間企業との契約に

  口を挟まないと言って、相手にしてもらえない。


■ 雇用は上向きだが、賃金は下向きになっている。

■ 被曝労働者が訴える最大の問題は「生存権」だ。

■ 原発システムそのものを撃っていかないとダメだ。



いかがでしたでしょうか?

今回も、貴重な話がたくさんあったように思います。

福島の現状を知る方々が中心となっての報告会は、

まさにリアルな声です。どこぞのオッサンのTwitterを

まとめたものを読んでドヤ顔するのではなく、現地の

勉強会の動画も見るべきでしょう。


もし、お時間があるようなら、約2時間40分という

ロングな動画ですが、ぜひ見ていただきたいです。

箇条書きで読むより、よっぽど空気を感じられます。

皆さんには、ぜひ福島の未来、日本の未来について、

真剣に考えていただきたいと思います。

ありがとうございました。