皆さんは、こんな話を聞いたことありませんか?
どこかの若者が、半袖半ズボンで、水や食糧も
ほとんど持たずに富士山に登り、遭難しかけた。
あるいは、川の真ん中でキャンプをしていたら、
急激に水かさが増し、取り残されてしまった・・・。
いずれも、富士山に手ぶらで登るヤツがバカだし、
川の真ん中でキャンプするヤツがバカなんですが、
「どうしてそんなバカなことをしたのか」の話には
あまり触れられません。
前者は、下から見上げた時の富士山は、頂上まで
晴れているように思えるし、登山経験がなければ、
これほど無駄に過酷な山だとは思わないはずで、
まるでアスレチックのように、簡単に登れるような
気がしてしまうから。
後者は、そんなに水かさが増すように思えないし、
もしも水かさが増してきたら、早めに避難すれば
間に合うんじゃないかと思うから。
自然はいつも罠を仕掛けてくる。
もしかすると、津波の被害だって、自然の仕掛けた
罠にハマってしまっただけなのかもしれません。
「津波が来たのに逃げなかったのが悪い!」と
言う人がいますが、スーパー堤防を軽く超えるような
津波が来るとは、誰も想像できなかったと思います。
でも、今回は、そんな難しい話をしようってんじゃ
ありません。実は、僕もついさっきまで、自然が
仕掛けた罠にハマり、見る人が見れば「バカ」の
一言で片づけられてしまうかもしれないんですが、
うっかりすると死ぬくらいの経験をしちゃったので、
ブログに書かないわけにはいかないと思ったんです。
このブログと言うと、今では「放射能」なんていう
イメージがあるかもしれませんが、ご存知の方は
ご存知のように、僕は津波の被災地にも足を運び、
被災地の現状を本にまとめようと思っているんです。
なので、僕は原発の問題だけでなく、津波による
被災地の問題も深刻だと考えているんですけど、
その取材費はもちろん、僕の自腹なんです。
このブログを書くのも、自腹だったりするもんで、
どれだけお金を使うんだっていう話になるんですが、
その資金になるのは、当然、放送作家のギャラです。
しかし、僕はちっとも「売れっ子」じゃありませんし、
もともとギャラが安いもんで、実力とギャラがピッタリ
合っちゃっているんですが、働けど働けど、いっつも
お金がないんですね。
そうなると、そう何度も車や新幹線で被災地には
行けませんし、行った先でホテルに泊まるとかいう
豪勢な取材だってできません。そこで考えたのが、
往復は夜行バス、現地は原付で移動しながら、
宿泊は激安の民宿か、健康ランド。
今どき、「政治家になりたい」みたいな野心溢れる
若者ですら、こんな泥臭いことはしないでしょうけど、
仕方がないんです。だって、お金がないんだもの!
なので、本にする予定ということもあり、ブログには
あまり書いていませんけど、僕はたびたび被災地に
足を運んでは、原付でいろんな所を取材するという、
売れてない放送作家だからこそできる、ちっとも
喜べない生活をしていたわけなんですけれども・・・。
季節は変わり、12月になりまして、もうそろそろ
被災地を原付で移動するのは、寒いこともあるし、
雪が降ったりしても困るので、「厳しいなぁ」と思い、
そろそろ原付を戻しに行こうと思ったんです。
これから4か月近く、原付をほったらかしにしたら、
冬の寒さでエンジンがかからなくなってしまうかも
しれないですし、盗まれたり、イタズラをされても
イヤじゃないですか。何よりも、こちらでの生活に
原付がないのが不便だったこともあったんですが。
だから、なけなしの2万円を払って、トラックを
レンタルしまして、八戸に向け、出発したんです。
いつもやらないようなことをやっちゃった時点で、
既にフラグが立っていると思ってもいいんですが、
一番大きなフラグは、僕が「トラックをレンタル
しようかな」と思い始めるところから立ってました。
12月の寒い季節に、トラックで八戸に行っちゃう。
この時点で、僕のことをよく知る人に言わせれば、
イヤな予感しかしません。だって、普通に行って、
普通に原付が取って、普通に帰れるはずがない!
わざわざ8時間近くかけて、はるばる八戸まで
行ってきたのに、「原付がない」、または、「原付は
あったんだけど、家に鍵を忘れた」ぐらいのことは
起こるかもしれない! それが僕の人生!
なので、「原付がパクられてました!」の時には、
ただヘコんで帰ってくるだけじゃ悔しいので、せめて
ネタにするぐらいして、「こんな平常モードを僕を
皆さんに笑ってもらおう」と思い、今日もブログを
書いているわけなんですけれども・・・。
最近、放射能関連の話でアクセス数が急上昇し、
ネタブログの神様が、ちょいと腕をまくったんだと
思うんですけどね。
まさかの「プレミアムモード」。
思えば、どのレンタカー屋さんに電話をかけても、
スタッドレス仕様のトラックが1台も存在しない。
ここから神様が用意した物語は始まっていました。
「おい、まさか12月だというのに、夏タイヤの
トラックで八戸に行ったんじゃあるまいな?」
もしかすると、皆さんの脳裏に、「それはただ
オマエがバカだっただけでは?」という疑問が
うっすらと、よぎっているんじゃないかと思うんで、
これだけは言わせてもらおうと思うんですけどね。
なぜ「YES」になったのかには、理由がある!
皆さんもご存知の通り、僕は放射能に対しても、
これだけ慎重な男ですから、無防備に夏タイヤで
八戸に乗り込もうなんて気は全然ありませんし、
どこに聞いても、夏タイヤのトラックしかないって
言うんですから、他に選択肢がなかったんです。
なので、雪が降っている時には行きませんし、
路面の凍結も考え、なるべく気温の高い昼間に
八戸に着くように、ちゃんと時間も考えました。
さらに、それでも万が一のことが起こるのが
僕という男ですから、そんな時のために備えて、
値段は少し高いけど、あえて大手レンタカー屋で
トラックを借り、もしも途中で雪が降った時には、
東北地方の営業所に行って、スタッドレス仕様の
トラックに乗り換えたいという話もしておきました。
ちょっとぐらい手数料がかかったとしても、
事故って死ぬぐらいなら、少しぐらい値段が
高くなっちゃっても、それは仕方ないと思える!
ですから、インターネットで常に天気をチェックし、
少ないながらも仕事もあるので、できる範囲で、
万全の天気、万全の気温の日に、バックアップの
乗り換えトラックも手配して出発したわけです。
ところが!!
ちょいと気合いを入れ、腕をまくってしまった
ネタブログの神様には、全然太刀打ちできない。
改めて、「プレミアムモード」の恐ろしさを
痛感することになったのです。
その日は、八戸の気温が5度で、天気は曇り。
このタイミングを逃せば、どんどん雪の日が多く
なってしまい、二度とタイミングが合わないかも
しれないと思い、前の日からケータイも充電し、
ケータイの予備バッテリーも充電し、ポケットに
原付のカギも入れて、その日に備えました。
そして、レンタカー屋さんに予約の電話をかけ、
朝の9時に出発。休憩も含め、7時間もあれば、
八戸に着くと予想し、原付をピックアップしたら、
八戸でラーメンでも食ってから帰ろう。
八戸を観光するところまではできないまでも、
少しは旅行気分を満喫できるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら、レンタカー屋に
トラックを取りに行ったのですが・・・。
まず、用意された
トラックがポンコツ!
どれくらいポンコツかと言うと、エアコン部分が
まったく掃除された形跡がなく、暖房をつけると、
3分で喉をヤっちまうほど、ホコリが酷い!
だから、喉が痛めないように、水をたくさん
飲むしかないんです。のちに、詳しい理由を
語りますけど、実は今回、帰りは津波で被災した
地域を一つ一つ見てまわるかのような道を辿る
ことになってしまったのですが、水をたくさん
飲んでしまっているので、トイレが近くなる!
しかし、津波で被災した地域にはコンビニも
多くありませんし、トイレに行ける所が少ない。
だったら、男なんだから、立ちションしちゃえば
いいじゃないかと思うかもしれないんですけど、
もしかしたら、その立ちションしちゃった場所で、
ご遺体が見つかってるかもしれないじゃない?
立ちションできなくね?
生理現象ですし、わざと小便するわけじゃ
ないんですけど、気分的に立ちションは無理。
小便を我慢するとソワソワしちゃうんですけど、
これさえも、ネタブログの神様が用意した
プレミアムモードの一部だったのです!
小さなイヤなことが、死ぬほど連発して起こる
伊集院光さんの「イタゴラスイッチ 」のデカい
バージョンにハメられたみたいな。
しかも、喉が痛くなるので、エアコンのスイッチを
切ろうとすると、運転席の密閉性がまったく確保
できていないらしく、3分もすると寒くなってしまう。
確かに、豚小屋の前を通ると、ウ●コのニオイで
満たされるし、野焼きをしている所を通った時は、
その煙が運転席まで入ってきました。
「あれ? もしかして、福島の高線量スポットを
走るというのに、これではセシウムを無防備に
取り込みまくることになってしまうのでは?」
僕は、コーヒーを飲む時ですら、ミルクを入れず、
無駄にブラックコーヒーを飲むくらい、内部被曝を
気を付けているのに、車に穴が開いているからって、
セシウムがいっぱい入ってくるなんて、もう最悪!
なので、途中のサービスエリアに立ち寄って、
お土産コーナーでマスクを買おうと試みたのですが、
そもそも車で高速道路を走っている途中でマスクを
買おうとする人がいるはずもなく、サービスエリアの
コンビニのラインナップには、そもそもマスクがない。
仕方なく、内部被曝しながら
郡山、二本松、福島を通過!
せっかく今まで、いろんなものを我慢しながら
被曝を少なくしてきたのに、こんなことを理由に
プラスマイナスゼロになってしまうなんて・・・と、
ヘコみながら運転するも、そのトラックは80kmも
スピードを出すと、エンジンがウワンウワンうなり、
ちっともスピードが出ず、当然、到着予定時刻は、
どんどん遅くなっていきました。
そして、予想以上にスピードが出ず、到着時刻が
遅くなったことで、死ぬんじゃないかと思うような
体験をさせられたのも、壮大な仕掛けの一部!
ネタブログの神様は、僕にとんでもなく大がかりな
仕掛けを用意していたのでした。しかし、この話は
ちょっと長くなりそうなので、この続きは、また明日
お届けいたします。