たくさんの励ましのコメント、ありがとうございます。

毎日コンスタントに、面白いネタをお届けするためにも

健康は欠かせないんだなぁって、つくづく実感しました。


今は、スポーツドリンクを片手にブログを書こうと

しているところなんですけど、おなかとアゴが痛すぎて、

まったくネタを書ける雰囲気ではありません。

なので、久しぶりに再放送を・・・。


※2007年6月25日に、「いしともブログ」で

お届けしたネタを、再放送でお送りいたします。



皆さん、お待たせいたしました。

今日の「いしともブログ」は、大好評!

偉大でショボい歴史上の人物シリーズです!


これまで、いくつかの歴史上の人物を取り上げてきた

「いしともブログ」ですが、やっぱり面白いのは、

偉大なんだけど、どこか哀愁漂う、ちょっとショボい人。


ということで、今回は、ショボいことで歴史に名を刻んだ

イギリスの海軍士官、ロバート・スコット さんを

ご紹介したいと思います。


ロバート・スコットさん。1868年6月6日生まれ、ふたご座。

職業は、イギリス海軍士官。趣味は、ペンギンの観察。


お国のため、海軍に所属し、毎日訓練していたスコットさん。

普通に暮らしていれば、間違いなく、世界の教科書なんかに

自分の名前が載ることはなかったでしょう。


しかし、スコットさんには、「男のロマン」と呼ぶにふさわしい

大きな大きな野望があったのです。それは・・・。


「人類で初めて南極点に立つ!」


実はその頃、北極点に行ったことがある人はいても、

南極点に行ったことがある人は、誰もいなかったんです。

つまり、その頃の南極点は、前人未到の地。

南極点に到達するということは、それすなわち、

人類の歴史に自分の名前を残す大チャンスなわけです。


だから、スコットさんは、先輩に相談してみました。

「俺、南極点に行ってみたいっす!」って。

そしたら、先輩・・・。


「行ってくればいいじゃん。」


けっこう、あっさりOKになっちゃいました。

1911年10月、スコットさんは南極点に向かって出発。

海軍だった男は、この日から冒険家になったわけですが、

海軍のコネクションをフル活用し、持っていく装備品は、

すべてハイテクなものになりました。


雪の上を走るための「動力雪上車」に加え、

普通は犬ぞりで行くところを、馬ぞりで行くことに!

さらに、防寒服には、バーバリー社製の牛の皮を

重ねたものを採用。


しかも、行く道の約10分の9は、既に攻略済!

実は、スコットさんよりも前に、南極点到達を目指した

男の人がいて、その人は失敗に終わって引き返して

きてしまったのですが、けっこう惜しいところまで

行っていたので、そこまでのデータをすべてスコットさんに

託すことになったのです。


これさえあれば、無駄に遠回りしたり、

無駄に氷山を登らなくても、安全な道を行くことができる。

最新の装備品、そして過去のデータを持ち、いざ出発!

南極点への到達は、ほぼ確実なものと見られていました。


・・・ところが!


出発から1週間後、まずは動力雪上車が、

そっこうで壊れました。当時の技術を考えたら、

マイナス60度ぐらいの世界で、機械が壊れずに

動き続けるわけがありませんが、スコットさんにとっては、

これが最初の悲劇でした。


そして、2週間後!

今度は馬が次々と死んでしまいました。

寒いところに強いと言われる馬でも、さすがに南極ほど

寒い場所では、犬の方が強かった。おまけに体重が

重いこともあって、一度、氷の穴にハマってしまうと、

抜け出せなくなってそのまま死んじゃったりなんかして。

それに、馬だから速いってわけでもなかったんです。


さらに、一般的にはアザラシの皮などで作る防寒服を、

バーバリー社はオシャレに牛皮で作ってしまったために、

牛皮が汗を吸って、なんなら防寒服に体温を奪われ、

余計に寒い! まったく防寒服としての機能を果たして

いなかったわけです。


結局、開始2週間後には、すべての物資を人間の手で

引っ張っていかなければならないばかりか、ほとんど裸に

近い状態で南極を目指さなければならないという

過酷な状況に追い込まれてしまったスコットさん。


もはや引き返すしかない。

隊員の中には、そう考えた人もいるでしょう。

しかし、スコットさんはロマンを求める男の中の男。

こんなところで引き返すなどという決断は絶対にしません。

諦めず、最後まで南極点到達を目指す。

人類で初めて南極点に立つ男になって、歴史に自分の

名前を刻むこと、これこそがスコットさん最大のドリーム!


前人未到の地を踏む。なんかカッコイイじゃないですか。

誰も行ったことのない場所を、自分が最初に踏める。

足跡を残せる。これって素敵なことじゃないですか。


なんと、ロバート・スコットさん、この極めて過酷な

状況を乗り越えて、見事、南極点到達に成功しました!

幾多の困難を乗り越えてこそ、感動は大きくなるもの。

そして、スコットさんは、南極の中心で叫びました。


「うっそーん!」


えっ? スコットさん、何ですか、そのリアクション!

ここは確かに南極点ですよ? 間違ってなんかいません。

ちゃんと南極点に着いたじゃないですか。なのに、なぜ?


「いやぁ、ものすっごテンション下がるわー。」

「超意味ねぇー。なんか帰る気なくすわー。」


他の隊員の皆さんも、そんなリアクションですか?

もうちょっと喜びましょうよ。偉業を成し遂げたんですから。


「・・・誰か来たっぽくね?」


えっ? そ、そんなわけ・・・・・・、あっ!!


旗立ってる。「来ました」みたいになってる。

ってことは、もしかしてスコットさん、人類で2番目に

南極点に到達した人ってことじゃないですか?

この状況、どう考えても、1番じゃないっすもん。


そうなんです。実は、スコットさん出発の4日ほど前、

まだ誰も攻略したことのないクジラ湾から南極大陸に

上陸し、南極点到達を目指した男がいたのでした。

その男の名は、ロアール・アムンゼン。


この人物こそ、人類で最初に南極点に到達した

偉大なる冒険家。グリーンランドの横断をはじめ、

冒険家として数々の偉業を成し遂げてきたこの男は、

1911年10月20日に冒険を始めると、

わずか2ヶ月足らずで、あっという間に南極点到達を

成し遂げてしまったのでした。


アムンゼンがスコットより先に到達できた

最大の理由は、やはり犬ぞりを使ったこと。

食糧難になった際には、犬を食糧にすることもでき、

極寒の地では「犬そり」が最も有効な

移動手段だったのです。


何はともあれ、歴史に名を残すどころか、

ただ普通に南極点に来ちゃっただけの人になった

スコットさん。そりゃあもう、テンションはガン下がりです。


「うわー、生きて帰る自信ないわー。」


テンションが下がりきったスコットさん一行。

「帰ったどー!」って叫んだところで、このままでは

誰にも見向きもされません。


隊員もテントから「ちょっと外にでも言ってくるわー」と

言ったまま、そのまま帰らなかったりなんかして。(マジ話)。

だいたい、コンビニがあるわけでもなし、ちょっとテントの外に

行ってくる=死んでくるって言っているようなものですからね。


次々と、「ちょっと外!」って言う隊員たち。

それを見たスコットさんも決意しました。


「帰るの、やめとくか。」


ボソッと言ったスコットさん。スコットさんが南極の地で、

その後、どうなったのかっていうのは、あえて言いません。

これがドラクエだったとしたら、パーティーが全滅した時の

悲しい音楽が流れ、ある街の教会から再びスタートです。

残念なのは、RPGではないので、教会でスタートするのは、

彼らの葬式なんですけどね。


南極点到達という、男の夢は果たしたものの、

世界で2番目の男になってしまったために、テンション下がって

死んでしまったスコットさん。世界初の「テンション下がり死に」で

亡くなった人として、歴史にではなく、「いしともブログ」に

その名が刻まれることになりました。


チーン。


さてさて、本来であれば、ここでこの話は終わりなんですが、

世界で初めて南極点到達を達成したロアール・アムンゼンが、

どのような最期を遂げたのかを、皆さんはご存知でしょうか?


南極に行ったんだから、次に行くのは北極だと、

世界で初めて、南極にも北極にも行ったことがある人に

なろうと試みた、果てなき夢を追い続けるアムンゼン。


1928年、飛行機で、ついに念願の北極に向かう途中で、

イタリアの飛行船に乗った探検隊が遭難したことを受け、

彼はある重大な決断をします。


「イタリアの飛行船を、助けてあげよう!」


自らの夢を放り出してまで、救助に向かったアムンゼン。

同じように氷山に閉ざされた海で遭難し、近くにいた船に

ことごとく無視されたタイタニック号の悲劇は、もし、

彼のような勇敢な男がいたら、変わっていたかもしれません。


しかし、北極行きの夢を断念してまで捜索に向かった

アムンゼンは、その後、誰の前にも姿を現すことは

ありませんでした。捜索に赴いたまま、行方不明に。

彼の勇敢な死は、今でも語り継がれています。


なお、21世紀の現在、南極点まで100mほどの距離には

スコットさんとアムンゼンさんを讃え、さらなる南極の研究を

進めるための、「アムンゼン・スコット基地 」という名の施設が

建てられています。