ヤバいです。とってもヤバいです。

先日、「チダイズム」で、映画『恋空』のレビューをお届けし、

過去最高のアクセス数を記録したばかりなんですが、

またしても、ヤバすぎる映画に出会ってしまいました。


映画『恋空』も、なかなかハイクオリティーだったんですが、

この映画もまた、けっこうクオリティーの高い映画でした。

もちろん、ここで言うところの「ハイクオリティー」とは、

あくまでチダイズム的な話であり、これを一般的な言葉に

言い換えるなら、おそらくこうなります。


完全にやっちまった映画。


興行収入的なコケっぷりから見ても、やっちまったのは

今さら言うまでもないかもしれないんですが、ある番組の

会議で、とっても偉いプロデューサーさんが、この映画を

「史上最悪の駄作」と評していたのを聞いて、これは絶対に

観に行かなければいけないと確信したんです。


これからお届けするのは、映画『少林少女』のストーリー。

どんな話だったのかを、たっぷりと語ってみたいと思います。

完全にネタバレとなりますので、もし万が一、このキチガイ全開の

ストーリーを劇場で楽しみたい方は、ここまででお願いします。

それでは、映画『少林少女』のレビュー、スタートです。



柴咲コウさんが演じる主人公の凛ちゃんは、幼い頃から

9年間にわたって、中国の少林寺道場で修業していた女のコ。

この映画は、そんな凛ちゃんが、本場・中国での修業を終え、

日本の修善寺に帰ってくるところから始まります。


電車を降り、ホームに出ると、テンションが上がったのか、

突然、バック宙を始め出す少林寺マスターの凛ちゃん。

「日本に少林寺を広める」と言って、本場・中国の道場を

卒業したのに、人口の多い東京じゃなく、修善寺なんかに

来ちゃった時点で、なんとなく痛っぽいニオイはしていましたが、

バック宙を始めた瞬間、それが確信に変わりました。


凛ちゃん、絶対に痛い子!


すると、凛ちゃん。実家の道場に帰る途中、ランドセルを

いっぱい持たされている小学生の男の子と、明らかに

その小学生をイジメているワルガキ3人に出会うんですが、

「何をしてるんだ!」みたいなことを言うのかと思ったら、

「ねぇ、キミたち、一緒に少林拳しない?」と言い出しました。


しょっぱなから、少林拳より大事なものを見失う凛ちゃん。

言っておきますが、そんな凛ちゃんの少林ポリシーは、

「少林拳は攻撃するものではなく、守るものだ!」です。


だったら本来守るべきものは、今、目の前でイジメられている

男の子ではないかと思うんですが、「やらねぇよー!」と言って

逃げる小学生を、凛ちゃんは「待ってぇー!」と言いながら

追いかけていきました。もちろん、ランドセルを持たされている

男の子は置き去りです。


すると、そんなこんなありながら、実家の道場に

帰ってきた凛ちゃん。しかし、9年ぶりに見た道場は、

「たった9年で、ここまでボロボロになるか?」と思うほど

信じられないぐらいの廃墟と化していて、凛ちゃんは

とっても悲しみます。それにしても、このボロボロ感は、

30年以上経っててもおかしくないほど、ちょっとやりすぎ。


どうしてこんなことになったのか。その謎を解くため、

凛ちゃんは近所にある中華料理屋へと向かうんですが、

ここで働いているのが、凛ちゃんの兄弟子にあたる江口洋介。

しかし、江口洋介は凛ちゃんがいくら質問しても、なぜこんなに

ボロボロになったのかは教えてくれません。


すると、この中華料理屋で働いているウェイトレスの

中国人の女が、いきなり「一緒にラクロスしよう」などと

言い出すのですが、あまりに強引すぎる展開に、

断るのかと思いきや、凛ちゃんは「その代わりに、

その中国人の女も少林拳をやるんだったらやってもいい」と

言い出して、突然、交渉成立となりました。


そして、ビックリするような展開は、ここから始まります。

次の日、中国人の女に連れて行かれたのは、なんと、

大学のラクロス部。社会人ラクロス部だったらともかく、

凛ちゃんは大学生じゃないので、大学のラクロス部なんて

入れるわけがありません。


ところが、少林パワーによって、ラクロスのボールを

校舎の裏まで飛ばす怪力を見せる凛ちゃんの姿を見て、

テンションが最高潮に達したラクロス部の女性たち。


凛ちゃんの怪力で校舎の裏に飛ばしたボールを拾い、

グラウンドにやってきた用務係のオジサン(岡村隆史)に

「大学に入学させてあげてください!」と頼むと、なんと、

凛ちゃんはあっさり大学生になりました。


この大学、誰でも入れるんじゃね?


ものすっごくユルユルな感じで大学生になった凛ちゃん。

ラクロス部の女子たちに、少林寺の心得を教えながら、

少林サッカーならぬ、少林ラクロスを始めるわけですが、

ここで、さっきまで中華料理屋の店長だった江口洋介が

突然やってきて、ラクロス部のコーチになると言い出します。


ラクロス部は、もちろん、女子大生のみで構成されて

いるわけですから、常識的に考えて、突然やってきて

「俺、ラクロス部のコーチになる!」なんて言い出した日にゃ

120%不審者でしかないと思うんですが、江口洋介に対する

女子たちのリアクションは、「101回目のプロポーズ」の

時代からまったく変わらず、「キャー! こんなカッコイイ人が

コーチだったら大歓迎!」みたいなことになります。


いやさぁ、確かに江口洋介さんはカッコイイですよ。

そこを否定するつもりはないんだけど、カッコよかったら

何でもアリなんですか? 彼氏から受ける暴力を相談に来て、

「それでも、彼が好きだから」などと言っているスイーティーな

女と何一つ変わらないと思うのは、僕だけでしょうか?


しょうもない女子大生たちです。で、凛ちゃんがユルユルで

大学生になれるぐらいの大学なんで、もちろん、江口洋介も

あっさりとラクロス部のコーチになりました。


そして、練習試合当日。江口洋介は、この部のエースである

凛ちゃんに対し、「オマエは試合に出るな」と言い出し、

ベンチスタートを命じます。その理由は、「オマエが出ても

チームの足を引っ張るだけだ」。あんな怪力を持っていれば、

間違いなく、キーパーを吹っ飛ばし、大量得点を得られると

思うんですけれども、「足を引っ張る」と言い張ってきかない

江口洋介。しかし、その答えは、この後、明らかになります。


最初は凛ちゃん抜きでも順調に進められていた試合。

ところが、チームメイトの1人が前半でケガをすると、

「私を出してください!」と直訴した凛ちゃんに対し、

江口洋介は「勝手にしろ!」みたいなテンションになります。

そして、後半からラクロスの試合に出場した凛ちゃん。

すると、ここで凛ちゃんの意外な欠点が明らかに!


シュートが全然入りません。


このシュートの入らなさと言ったら、柳沢敦と鈴木隆行が

先発だった時のジーコ・ジャパンぐらいの決定力の無さ。

いつの時代から、少林拳にそんなパワーが宿るように

なったのか知りませんが、地面をメリメリメリッと掘るような

「キャプテン翼」ばりのシュートをたくさん繰り出すのに、

1点も入らない始末。それどころか、繰り出したシュートが

ゴールポストに当たって、跳ね返った球がオウンゴールに

なるというコントのような展開になってしまいました。


この練習試合により、チームは完全に空中分解。

だったら、チームメイトもチームメイトで、凛ちゃんに

パスしなきゃいいだろうって思うんですが、試合終了後、

凛ちゃんに対し、徹底的に罵声を浴びせたかと思うと、

今後は凛ちゃんのことをシカトすることに決定。


恐るべし、女子大生のイジメ。

みんなが集団で帰っていく中、凛ちゃんだけは一人、

なぜか別方向に帰るという現象が起こりました。



さて、ここまで語ったのは、まだまだ「少林少女」の

前半に過ぎないんですが、後半は、ますます衝撃的で、

誰も手がつけられない、ド変態な展開になっていきます。


この変態っぷりを言葉で言い表すのは非常に難しいですが、

あえて言うなら、「ドラゴンボールのような展開」になります。

クライマックスは、完全に「元気玉」です。


「元気玉って、どんな技だったっけ?」っていう人のために

簡単に説明しますと、悟空が「地球のみんな、オラにチカラを

分けてくれ!」と言い出し、でっかい気の玉を作り出す、あの技。

ドラゴンボールが、いつの時代からか、気のチカラによって

空が飛べるようになったように、この「少林少女」もまた、

後半は、気のチカラによって空を飛べるようになります。


しかし、すべてを語ると、あまりに長い文章になってしまうため、

後半は、また明日、じっくりとお送りしたいと思いました。

「ワクワクして、オラ、眠れねぇぞ!」という悟空のような

気持ちで、明日の午前0時頃を、ぜひお待ち下さい。