無人の静けさは 僕に悩みかける

感覚も無い手が 泣き顔を誘って


ICE MY LIFE

開きかけた手の平に 貴方を受け止めてたい

ICE MY LIFE

まだ冷たい手の平に 貴方を受け止めてたい

ICE MY LIFE

開きかけた手の平に 貴方を受け止めてたい

ICE MY LIFE

まだ冷たい手の平に 貴方を受け止められたら


「ICE MY LIFE」


「ICE MY LIFE」って、イメージ的に黒夢のシングルの中では

かなり目立たない存在なのですが、

サビのメロディーが凄くキャッチーな曲で、

何気に結構いい佳作なんですよね。


この曲を初めて聴いたのは1995年、中学3年の頃で、

当時次のアルバム「feminism」がチャートNo.1を記録し、

いよいよ黒夢が勢いに乗ってきたところ。

黒夢を「feminism」で知って、ハマってしまった私は、

さかのぼる様に「Cruel」、そして「迷える百合達」と聴いていきました。

この「ICE MY LIFE」はその中でも、カナリ耳に残るポップな曲で、

存在自体はそこまで大きいものではなかったのですが、

キャッチーなサビが、どうも耳から離れず、凄い気になる曲になっていました。

シングルバージョンは、Bメロでアルペジオが展開され、

アルバムバージョンでは、「ジャッ、ジャー」っていうようなギターが展開されています。

個人的にはアルバムバージョンの方が好きです。

冷たい態度をする「僕」に、涙する「貴方」。

その「貴方」を愛したいのだけど、その気持ちと裏腹な「僕」の態度のギャップが、

やるせなさ、寂しさを感じて、切ない気持ちになる歌詞。


その「ICE MY LIFE」が収録された黒夢2枚目となるアルバム。

ミニアルバムの「Cruel」を今回は書きたいと思います。

これで、メジャーデビュー後の黒夢のアルバムは全て書きました。


前作「迷える百合達」リリースから僅か5ヶ月でリリースされたこのミニアルバム。

その短い期間の間に、ゴテゴテのビジュアル系の風貌はびっくりするほど薄くなり、

清春も長い金髪を切って、茶メッシュの黒髪短髪へと変わってしまっています。

服も黒服からファッショナブルなものや、カラフルなスーツになり、

きっと、この変わり方にはもの凄く衝撃を受けたファンも多いんだろうな、って思います。

そして、変化は風貌だけでなく、楽曲にも大きく表れていました。


Oh I've been waitin' for you

still I can't sex the shadow of you

playing me, psycho-escape

「You are chandler」 help me , please,


chandler chandler chandler 「burst」

chandler chandler chandler


「CHANDLER」


一曲目の冒頭からけたたましく鳴り響くギターとベース。

そして、サビで激しく狂おしい清春の勢いあるシャウトが冴える。

こんな曲は、当時までの黒夢には間違いなくない。

インディーズ時代の「親愛なるDEATHMASK」とは全く違った、

激しいビート感と疾走感、ハードコアにも通ずるような重圧感のあるサウンド。

どこからどう聴いてもカッコいいです。


頭をめぐる 彼女の声よ静かに

塞いだ耳が次から次へ笑うsick for me


「Sick」


「CHANDLER」の勢いのまま、

重いギター音と、激しいベース音が絡まりながら突入するのは「Sick」。

一気にスタートダッシュを掛けるかの如く、速いテンポで進んでいきます。

そんなハードな中にもややポップで聞きやすいサビの入り方が、

違和感なく感じ、大好きな曲の一つです。

3年後、2人になってパンクロック路線へと変わった彼らが、

シングル「NITE&DAY」のカップリングで「burst version」として、

新しい血が注がれて、更に素晴らしく生まれ変わります。

この曲は、晩年でも黒夢で歌われ続け、ファンからも愛される一曲です。


Her name is sister 貴女の前 飲み込めてたの ときめきを

Her name is sister 続けるため 飲み込めてたの ときめきを


「『sister』」


重圧感あるスタートの2曲から一転、ドラマの場面が変わるかのごとく、

軽快なギターのリズムが流れる。

歯切れのいい、裏打ちのリズムのギター、巧みなベースサウンド。

この「おや?」って思える展開は個人的に気持ちがいいです。

「『sister』」は非常に上手い曲の作り方、展開の仕方で、

これは間違いなく彼らの才能だよな、って思えます。

サビでの清春の歌声と、

コーラスの「MY ONLY LOVE, SISTER MY ONLY LOVE...」

の絡みも、もの凄く耳に残る逸品。

こんな曲も当時の黒夢には無かったタイプのもので、

このような余りに意外性を感じそうな曲は個人的に大好きです。

で、ラストシングル「MARIA」の中に『sister』という書き方の言葉が出てきますが、

これは何か関係あるのか、と今でも疑問に思っています。


あやふやな耳なりに 割り切れず信じてた

君からは伝えたい 僕だけの真実を


初めから解ってた なり切れぬ善人と

それならば 生涯に 揺るがない足跡を


「意志薄弱」


ギターの綺麗なアルペジオから入るイントロと、

ミディアムテンポに流れるメロディー。

雰囲気を出して、世界を表現つつ、冴える清春のボーカル。

見事なまでに絡まり、壮大な曲に仕上がってますが、

歌詞の何ともいえぬ寂しげな世界と、どこか深い上記の歌詞。

アルバムタイトルの「Cruel」=「冷酷な、残酷な」にぴったり合った、

この歌詞の世界、そして次に続く「ICE MY LIFE」。

初めて聴いた時は余り好きになれなかったのですが、

これこそ隠れた名曲ではないでしょうか。

この曲はちなみに今年の2月のソロライブReplayで復活し、

セルフカバーバージョンが配布されました。

是非、そのバージョンも聴いてみたいものです。


そして、最後を飾るのは、

ファーストアルバム「迷える百合達」に収録されていた、

「寡黙をくれた君と苦悩に満ちた僕」のFull Acostic Version。

アコースティックギターの跳ねるリズムのメロディーはまた新鮮。

この曲は、アルバムの歌詞カードにはクレジットされていますが、

裏ジャケットの曲目にはクレジットされていません。

でも、この曲があって、このアルバムの世界は、

更に完成度を増すように感じます。


そんな、その後の黒夢の変貌のスタートを予感させる、

全てが全て新鮮な曲が収録された「Cruel」。

全ての曲が「Cruel」というタイトルの元、

コンセプトのイメージどおりに「冷たさ」を感じられるアルバム。

黒夢のアルバムを全て聴いてから、

このアルバムを落ち着いて聴きなおしてみると、

また新しい、気付かなかった部分が見えてきて、

非常に面白いと思います。


また、「Theater Of Cruel」という「ICE MY LIFE」までの5曲のPVを収めた、

映像音源もリリースされていますので、

これもまた面白く、楽曲の世界が広がると思います。


Cruel / 黒夢 (94.08.31)


1.CHANDLER

2.Sick

3.『sister』

4.意志薄弱

5.ICE MY LIFE~Album Mix~

6.寡黙をくれた君と苦悩に満ちた僕~Full Acostic Version~


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