貴方に向けた刃は私からの夢よ
私に刺さる刃は貴方無関係よ
見つめられる 想い、混ぜ合って 悩める
見つめ返す迄に、何と何を失くせる
「aimed blade at you」
非常に綺麗な旋律と、もの悲しい歌詞。
ギターソロで響き渡るアコースティックギターの音色。
清春の時々裏返るクセ、そしてまだ成長過程の歌声。
綺麗にまとまっていて、非常にいいカンジ。
私が初期黒夢で大好きな曲の一つ、「aimed blade at you」です。
このアコースティックギターがたまらなく好きで、
何度もアコースティックギターを引っ張り出しては練習します。
今回も、バンドつながりで書きます。
この「aimed blade at you」が収録されてた、
黒夢の「迷える百合達-Romance of Scarlet-」です。
普段、比較的聴かないのですが、時々ふと聴きたくなるアルバム。
この頃の黒夢は、メンバー全員が濃いメイクを施し、
ゴテゴテの「ビジュアル系」という言葉がふさわしい時代。
楽曲も、愛や悲しみ、死が中心になっていて、
また、一人称が「私」、二人称が「貴方」と言う表現が多く、
ただただ、「こんな時代もあったんだな」と懐かしく思ったりします。
楽曲も、ダークなものから、ビジュアル系王道のメロディーまで様々。
綺麗にメイクを施されたメンバーの姿がとても妖艶で、
ふと見て「何かいいな」なんて思ったりします。
昨今のビジュアル系バンドには、「清春チルドレン」と呼ばれるバンドが多く、
この時代のフォロアーが多いようで、何とも納得できます。
久々に聴くと、結構「お?」と思える曲が多く、
また、黒夢後期やソロになってから歌われる名曲も多く、
(冒頭の「aimed blade at you」も今年の2月のライブで演奏されました。)
今改めて聴いても非常に楽しめるアルバムです。
Oh 棘を失くし 微かに 繰り返す 瞬きを
気付かぬ内 貴方は 不透明なの Un Deux Trois
「棘」
一曲目のもの悲しげなピアノの曲から始まり、それが終わると急に展開が変わる。
印象的なイントロと響くベース音。
メロディーはただひたすら「カッコイイ」。
後期のパンクロック路線に走ってからも、この曲は演奏されました。
ライブでのこの曲の盛り上がりも非常によい。
For Dear 音もなく 濡れる顔を見たあの時
For Dear 貴方が 止まる
For Dear 瞬間に冷める僕がいた あの時
For Dear 貴方はとまどう
忘れられない 遠ざかる香り
無情な場面 秒刻み響け
「for dear」
黒夢の記念すべきデビューシングルで名曲・・・と言いたいところですが、
晩年の黒夢では、この楽曲はお蔵入りとなってしまい、
正規のベスト盤「BEST or WORST」にも収録されていません。
でも、今年の2月のライブReplayでは解禁になったようですが、
今後はどうなんでしょうか。
PVでは、清春が黒いタンバリンを持って、歌っているのが非常に印象的。
非常にカッコいい曲ではあるが、個人的には「棘」の方が好きかな、と。
誰のせいで壊れたのか ほら聞こえてくる Organ
マゾヒストをくすぐるのか まだ鳴り止まない Organ
「masochist organ」
ベース音から始まる、ダークながらもこれまたカッコイイ曲。
清春ソロライブの「第三の扉」でも演奏されました。
忘れじの My Darlin' 出来る限り あの場所へ行かないで
例えればMy Heaven 僕の為に これ位そばに居て
「寡黙をくれた君と苦悩に満ちた僕」
非常に長いタイトル。
跳ねるような、しかしどこか悲しいメロディーと、
タイトルからも分かるような、もの悲しい歌詞が、
当時の黒夢の中で(というかコレ以降もそうかもしれませんが)異色な感じで、
それ故にアルバムの中でも浮いていて目立つ曲。
華々しい容姿 問われ バラバラに貴方は壊れ
花びらから歪められた 快感へ喜びあまり
華々しい容姿 問われ バラバラに貴方は壊れ
絡み合わぬ性と理性 ギリギリの吐息溜め息?
「neo nude」
これまたギターのイントロが印象的な、カッコいい曲。
清春のシャウトが冴えて、これまた非常にいいカンジ。
Slow motion, Nervous... Ache
僕に話は通じない
In autism In autism... I miss I miss future...
「autism-自閉症-」
コレも、「棘」と同じく、晩年のライブで演奏され非常に盛り上がった一曲。
非常にハードで、ダークでカッコいい曲なのですが、
ただ、「自閉症」という言葉の取り違えのため、音源が発売中止へと追いやられた、
といういわくつきの一曲。
インディーズ時代に発売を取り下げたビデオが流通した、というショックから、
酷く落ち込んだ時の心境を綴ったという、リアルなエピソードも。
PVが「Theater Of Cruel」に収録されていたのですが(現在回収済み)、
この映像もカナリ印象的で、スゴイの一言。
この音源の新品での購入は不可能かと思いますが、
中古では結構出回っていると思います。
リアルさに 壊れた幻想は 死のBed 隣にUtopia
リアルさに 途絶えた安楽は 死のBed 背中にUtopia
「utopia」
歯切れのいい臣のギターが非常に印象的で、
非常に耳に残る、カッコイイ一曲。
最後の「Utopia Utopia...」のあと、急に最後のピアノのインストに移る部分も、
かなり印象的で、個人的に好き。
そんな感じで、今回はいつも以上に長くなりましたが、
まぁそれだけ思い入れのある曲が多い、ということです。
途中脱退した臣のギターや人時のベースの上手さも味わえるし、
今となっては「こんな時代もあったんだな」、と懐かしめ、
清春のメジャーでのスタート地点を感じることの出来る、そんな一枚です。
ビジュアル系嫌いには、恐らく好かれないでしょうが、
さらっと聴いても、「あ~カッコイイな」って思える一枚です。
ブックレットの作りも凝っていて、
各曲の歌詞には散文がついていて、
また、写真も古代遺跡を載せるあるのですが、
これが不気味に感じる、非常にアルバムの世界を視覚的にも感じられる、
そんな構成になっています。
コレを見るのも個人的には面白いと思います。
迷える百合達-Romance of Scarlet-/黒夢 (94.03.09)
1.開化の響
2.棘
3.for dear[album version]
4.masochist organ
5.aimed blade at you
6.百合の花束
7.寡黙をくれた君と苦悩に満ちた僕
8.neo nude
9.autism-自閉症-
10.romancia
11.utopia
12.開化の響[reprise]
※どうやらamazonでは扱っていないようです。
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