「PRECIOUS...」の一節です。
LUNA SEAのインディーズ時代からの名曲の一つで、
晩年もこの歌はライブで歌われ続け、
去年の復活ライブ「One Night Dejavu」でも歌われました。
また、解散時にリリースされたベスト盤「PERIOD」にも再録バージョンが入っています。
勿論、ライブでこの曲を歌われるのは非常に嬉しいことなのですが、
個人的に、この歌はこの時期のバージョンの方が好きです。
晩年のRYUICHIの甘ったるい安定した声よりも、
初期の荒削りで幼く、不安定な声で歌った方が、
非常に形になる、というか、似合っているというか。
この曲はこういう一つの形で一つの完成形が出来上がっていて、
他のバンドは勿論、遥かに上達したRYUICHIの歌声でも、
この曲においては超えることが出来ないのではないのかな?と思ってしまいます。
最後のオリジナルアルバムが「LUNACY」と言うタイトルで、
この名前は「LUNA SEA」という名前になる前のバンド名。
原点回帰を意味したのかな、と思っていました。
(実際、どんな意味を込められていたのかは分かりませんが)
そんなイメージのまま、解散を迎え、
上記のベスト「PERIOD」を聴いて、この歌詞が重く私に圧し掛かりました。
夢から覚めてすべての事が、もとに戻れば。
届きはしない記憶の中、鍵を探している。
あの時には戻れない 誤ちさえ戻せない
あの時には帰れない 誤ちさえ帰せない
あの言葉を伝えたい
「PRECIOUS...」
「あの時には戻れない」という言葉です。
再録でこの曲を聴いて、まるで「LUNACY」での、
原点回帰というイメージを否定するかのように、聴こえてしまい。
そして、初期の「PRECIOUS...」とのイメージの違いに困惑した記憶があります。
このLUNA SEAって思うのですが、
晩年のライブでも初期の曲を演奏してくれて、
それをDVDを見て涙したこともあるのですが、
気持ちとしては非常に嬉しくて、懐かしくてたまらないのですが、
初期の曲は初期のLUNA SEA、後期は後期のLUNA SEAと、
それぞれの時代で、それぞれの曲が完成形になっていて、
後期で初期の楽曲をCDやDVDで視聴しても、
全く違ったイメージの楽曲になってしまっているのです。
まるで別のバンドがカバーしているかのように。
間違いなくその一番の原因が、RYUICHIの声質の大きな上達でしょう。
歴史に「たられば」は禁句ですが、
後期のLUNA SEAの曲を初期のLUNA SEAが歌っても、
それはそれでもの凄く違和感を感じるでしょう。
きっとメンバーとしての楽曲への想いは変わらなくても、
それが余りに残念でたまりません。
前置きは長くなりましたが、
今回は1曲でLUNA SEAに対する想いがコレだけ書けてしまう、
「PRECIOUS...」が収録された「LUNA SEA」について書こうと思います。
前述どおり、RYUICHIの幼く、荒削りな声質が非常に楽曲にマッチしていて、
コレによって1曲1曲が、そしてアルバム一枚が完成している逸品。
今は、 ラララ 狂って痛い。
ラララ 神も、止められない。
貴方が造った跡を辿って臆病者になるより
私が選ぶ閉ざされた中で消えてしまう方がいい
「FATE」
歯切れのいいギター音と、「FATE!」のコーラス、
そして何よりも、RYUICHIのまだ未熟なボーカルが何ともマッチしていて
それが何とも非常に良い短い曲。
去年の「One Night Dejavu」でも演奏され、それもいいのですが、
やはり、この頃のボーカルスタイルではないと、この曲は。
思い出せないアダムとイブの誤ちが、
歴史のフィルム終わらせていた
「TIME IS DEAD」
「アダムとイブ」と言ったら、
イコール初期LUNA SEAって言うくらいの言葉。
この曲も晩年のLUNA SEAで、
「TIME IS DEAD, WORLD IS DEAD」
とコーラスが加えられ演奏されていたが、
改めてこのアルバムで聴くと、イメージはもう別物。
それぞれの時代に違った味があって、
初期の楽曲の荒々しさの篭った元のバージョンは、これで素晴らしい完成形。
晩年ライブで演奏されていたバージョンも、あれで素晴らしい完成形。
「BRANCH ROAD」はエロイ。
「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」は、
村上龍の「限りなく透明に近いブルー」という小説からインスパイアした楽曲。
疾走感あふれるヴィジュアル系としては王道のメロディー。
RYUICHIの喉を絞ったような声が聴け、コレがまた良い。
きっと、今のRYUICHIには大幅に上達した甘い歌唱力と引き換えに、
この曲をこのイメージ通りには完全には歌いこなせなくなったに違いない。
白い灰が空から静かに積もり
人の姿なく風だけが流れ
そんな風景の好きな女神さえ 「死ねば。」
「CHESS」
この「死ねば。」というシャウトが何ともこの曲の醍醐味(笑)
というか、このフレーズは、初めて見た際何とも驚かされた記憶があります。
「死ねば。」・・・って・・・、みたいな(笑)
歌声は届かない貴方までは
閉ざされた手の平に私は居るの?
「MOON」
これまたLUNA SEAの名曲バラード。
非常に彼ららしいきれいで幻想的なバラードで、
RYUICHIが頑張って歌いこなしています。
きっとこの曲は晩年の方がいい味をだしているんじゃないか?
と言う感じがします。
メジャー1stアルバム「IMAGE」にも収録されています。
そして、最後はその綺麗で幻想的なバラードのイメージを破壊するかの如く、
大名曲「PRECIOUS...」で、アルバムを締める。
冒頭で多く語りすぎたので、ここでは多く語りませんが、
この曲は、やっぱいつ聴いても非常にいい。
そんな、LUNA SEAの若く、荒削りで、「猪突猛進」と言う言葉が似合うくらいに、
もの凄い勢いを感じられ、それが非常に心地いい、インディーズ盤「LUNA SEA」。
勢いという点ならば、LUNA SEAが今まで出した音源の中で一番じゃないか、と思う。
流石、「『無敵』と書いて『EXTACY』と読む」位に、圧倒されます。
こういう時代が国民的アーティストにもあったんだ、と再認識する上で、
J-POP界に必要不可欠な一枚だと思います。
LUNA SEA / LUNA SEA (91.04.21)
1.FATE
2.TIME IS DEAD
3.SANDY TIME
4.BLANCH ROAD
5.SHADE
6.BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー
7.THE SLAIN
8.CHESS
9.MOON
10.PRECIOUS...
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