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チカラを抜くことで好転した人生
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夢や目標に向かっている若者に対して、応援したり励ましたりするときに「頑張ってください」と言うことがあります。当然夢を叶えるには、人並み以上に頑張らないといけません。力を振り絞って、全力で取り組むことは必要です。ただ、何事にも一生懸命頑張っているのに、成果に恵まれない方もいます。私自身もそうでした。私の経験を振り返りながらお話しします。
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中学のバスケ部では厳しいコーチの下、ハードな練習に取り組みました。
手を抜くことを知らない私は、断トツの練習量で周りはドン引きしていました。練習では実力を発揮できるものの、試合になると、肩にチカラが入っているとコーチから指摘されました。私は結局、高校卒業まで、試合ではイマイチ実力を発揮できないまま、選手生活を終えてしまいました。
就職後は、全力で仕事に取り組みました。
友人の紹介がきっかけで転職後、営業の仕事もやはり全力で一生懸命やりました。成果が上がらない日々でしたが、絶対に手を抜くことはしませんでした。
ある日、当時の上司から「チカラは入れるものではなく出すものだ」と言われました。表情が固い、優しく共感して相手を褒めよう、チカラを抜いて接しなさい、と。
言われるほど意識してしまい、全くできませんでした。何度練習しても本番になると緊張してチカラが入ってしまいました。
人事異動により、偶然にも社内で一番肩のチカラが抜けた上司の部下になりました。その上司の影響を強く受け、私も肩のチカラを抜くということがわかり、半年後にはトップ営業マンになっていました。一生懸命積み上げてきた基礎が、一気に花開いたのだと感覚的にわかりました。
課長時代。自分で営業の仕事はできても部下が育たず、むしろ多くの部下が辞めました。自分を守るために、彼らの努力不足だと思い込みました。情けないことです。私は、トップ営業マンの自分と同じ努力と成果を部下に求めていたのです。
自分がやってきたハードな練習を当たり前のように要求していたのです。
当時の社長から「新人はお客さんだと思い、出社しただけでも褒めなさい。中堅社員には、少しの成果でも認め、褒めてあげなさい」とアドバイスがあり、目から鱗が落ちました。
人にはそれぞれ事情があり、言動も様々。見えないところで努力をする人もいます。
やっと気づいた私は少しずつ部下を許せるようになり、イキイキした部下に囲まれて働くことができるようになりました。
社長になると、今度は体調を崩すのが気がかりでした。風邪、下痢、尿路結石3回、痔痩。
頑張ってきたしわ寄せに体が悲嗚をあげようとも、これは体質だと思い込みました。縄文ストレッチの倉富和子先生に出会い「体調不良は体質ではなく、生活習慣が悪い」と教わりました。
手帳が予定で埋まっていないと不安でした。仕事のない辛さを知っていたからです。倉富先生からは「頭を休めないと腎臓が休まらない。休息を軽視すると内臓を何か所も手術することになる」などアドバイスをいただきました。
心を入れ替えて、休息やボーっとする時間を重視したことで、体調不良は解消され、ここ10年は体調も気分も良い日が多いです。
バスケ部、営業マン時代、課長時代と、肩にチカラが入っていたと思います。基礎を積み重ねるために頑張るべきときもありますが、チカラを抜くことで出る成果もあります。頑張り屋の方はこのコラムを参考にして、時には少し肩のチカラを抜いてみてください。
ここぞという時にフルパワーを出せる人を目指していきましょう。