「何て言えば、正解ですか?」
しがく・NEXUSには良い若者が集まってきています。若者たちと接する中で、よく耳にする言葉があります。「ここで何て言えば正解ですか」「どれが正しい情報ですか」「何を信じればいいんですか」「何をやればベストですか」。今回は若者が大好きな「正解」について考えてみます。
スピーチや対話など、コミュニケーションにおいて、そのとき何と言うのか、どういうリアクションをするのか、若者は正解を求めますが、残念ながら正解はありません。笑う、怒る、悲しむ。うなずく、知らないふりをする。自分では納得した対応でも、相手から見たらどうでしょう。年下から同年代、諸先輩など年齢の違いや、生きてきた背景も人それぞれで違います。受けとり方も千差万別です。
だからといって、失点を恐れて無難に、いわゆる「置きにいった」対応では、なんとも面白みがありません。世の中には偉人、諸先輩方の武勇伝や人物伝の小説、マンガ、映画など、参考になる話が山のようにあります。突拍子もない大胆な行動、勇気ある発言など、本当に参考になります。それらを積極的に吸収すれば、知性が高まり、センスも磨かれていきます。
スピーチや交流会などでは、今ある等身大の自分で勝負するのが良いでしょう。特に社会人経験が豊富な方、面接官などは、対面して3秒ほどで人物像が掴めると言います。わかる気がします。歩き方や姿勢、服装、顔つきなど、話さずとも気づける点は多くあります。さらに話せば、声質、声量、良くも悪くも緊張の度合いから、一所懸命でない、オーバーに話している、自信が有る・無いなどもわかります。どんなに飾ったとしても、見抜かれているのですから等身大がいいのです。その場では失敗したとしても、貴重な経験になります。
最近、印象に残った弊社メンバーの自己紹介を紹介します。甲子園や春高バレーに出場、Jリーグユースで活躍、吹奏楽日本一、チアリーディング日本一、東京大学在学、有名企業勤務、モデル、アナウンサーやキャビンアテンダント内定、大学のミス・ミスターなど、輝かしい成績を話す方は、当然輝いています。
また、本人としては大したことないと思っていても、印象深いものもあります。「計測器無しで、サクランボを仕分けることができます」という山形出身で実家の手伝いをしていた方。「山菜が好きで近くの山によく採りに行きます。23種類の山菜を様々な料理にすることができます。お蔭で健康です」と話す方。「映画研究会で映画を週3本観ています」と話す大学生には、リーダーシップの勉強になる映画を3本紹介していただきました。他にも「チロルチョコのラベルを1000枚集めた」「浦和レッズの試合は全て観に行きました」「北海道の実家で牛飼いをしていた」「巫女のバイト」「メイド喫茶バイト」などなど。
私も、昔のことを思い出し、もっとこう話せばより伝わったのではないか、反応が違ったのではないかと、振り返ることがあります。
誰が聞いても無難な話は、誰の記憶にも残りません。一部から高評価を貰う話は、一部からは反論も出ます。
周りからの批判を恐れて、空気ばかり読み、「正解」探しに人生の大切な時間を使うのではなく、等身大の自分をさらけ出し、逆に周りをふるいに掛けるくらい元気に頑張ってほしいものです。
さて、コラムはこれで正解ですか?(笑)。