「紹介される秘訣」
お陰様で、キャリアコンサルティングは今年、創立15周年を迎える。いまでは、就活支援を求める学生の登録が、年間約5千名にものぼる。また、リーダーシップの基礎教育を学びに常時1,000名を超える若者が集まっている。ほとんどが友人や先輩、後輩からの紹介である。今回は「紹介」に関して話をしてみたい。
経営者になりたての頃、人脈をつくるため、様々なビジネス交流会に足を運んだ。交流会は多くの方と名刺交換をするのが目的だったため、30秒程のやりとりをしたら「今後ともよろしくお願いします」と言ってその場が終わる。次の日、約20人からメールが来る。営業やセールスの内容ばかりで、ほとんどが定型文である。お互いを知る時間も少なかったし、ビジネスにつながる交流が目的なのだから当たり前かと思った。心に響くようなメールは無かったが、律儀に返信をしていると時間ばかりが過ぎていった。
名刺が1,000枚を超えるのに時間はかからなかったが、何かしらの付き合いが始まることはほとんど無かった。自分に実力や魅力が無かったのもあるのだが、闇雲に接点を増やしていっても意味がないのだと感じ、次第にビジネス交流会への参加は減った。逆に、知り合いに紹介されて出会った人とは、ビジネス上でも長いお付き合いになることが多いと感じ、機会を増やしていった。
会社設立5年目のころ、売り上げ偏重だった会社目標を撤廃し「日本を良くする」という会社のテーマの浸透をさらに進めていった。目指すものが変わり、自分たちの心が変わると周りも変わっていった。会社全体の魅力も上がっていったのだろう。それまでは少なかった「紹介したい」という人がドンドン増えてきたのである。紹介されるにふさわしい企業に磨き上げていこうと決意した。
学生の就活支援は、内定がもらえずに卒業したとしても、本人が諦めない限り支援を続けていく。就職が決まるまで心を寄せて支援することを10年間続けていくと、社員の手が回らないくらい、学生が友人や後輩を紹介してくれるようになっていった。前向きでやる気のある学生を企業に紹介していると、知り合いの企業を紹介いただいて新たな取引が始まることも多くなってきた。嬉しいことに、大学や専門学校からのコンサルティングの依頼もある。
しがくセミナーにて講演いただいた講師の先生から「良い人がいますよ。しがくセミナーで講演してもらったらどうですか」と素敵な講師を紹介いただくことも多い。セミナーが終わり、紹介いただいた先生にお礼の連絡をすると、こんな言葉をいただいた。「(知人の)講演が終わった後に、連絡をくれる人は意外に少ないんだよね。ご丁寧にありがとうね」と。紹介してくださった人に感謝することは当然のことだと思っていたので少し驚いた。
しかし、そう言われて思い返してみると、私も様々な主催者に講師を紹介してきたが、主催者から終わった後に連絡をいただくことは確かに少なかったことに気がついた。
紹介されるには、まずは魅力、実力があることが必要だが、その魅力をわかりやすい言葉で表してもらえることが大切だ。そして、あの人なら紹介しても大丈夫だという安心感、人間性も必要だ。普段からの言動で、信頼を得られているかどうかである。最後に、紹介していただいたことへの感謝である。人は紹介したり、紹介されたり、人と人との繋がりのなかで生きていく。感謝を忘れず人間性を磨いていきたい。
今月のコラムから感じたこと
生きていく上で、人との繋がりは欠かせない。
自分は紹介していただける人間なのか、そうではないのか。
それは、その人の魅力、実力、人間性、安心感、信頼が大切になってくる。
そして、紹介される際に重要なことは、いかにその魅力をわかりやすい言葉で表してもらえるかであり、多くの人に紹介される人とは、そこに感謝がある人である。
人と人との繋がりの中で生きてく上で、紹介してもらえるような自分になれるよう、
精進していきたい。