先日私がエアラインスクールの学生だった頃、使用していた教科書を読み返していると、本の隙間からポロっと何かがこぼれ落ちた
よく見ると、作文の宿題
タイトルは「良いサービスについて」
時代がどれだけ移ろうとも、「サービス」に関しての質問はエアライン業界での必須項目
面接ではもちろんの事、グループディスカッションや作文のテーマになったりと様々な形式でそれに関する自身の考えを問われる
そこで幼かった私が当時書いた作文を勇気を持ってここに載せてみる事にする
「良いサービスと聞いて私が思い浮かべるのは上辺だけの優しさやビジネススマイルだけではなく、相手(お客様)に対してどれだけ「自分」を残せるかです。
印象を残すという事は、すなわち忘れられない事、人の心を掴む事であって、又その中で「あの人がいるからこそあの店へ行きたい、あの会社を利用したい」そう思わせる事が出来て初めて、良いサービスへとつながるのではないでしょうか?
私が通っていたカナダのカレッジでは、ランチタイムには学生がそれぞれ好みの店へ出かけてはランチをとっていました
周りには沢山のお店がありその数は目移りする程でした。
カナダという国はマルチカルチャーで多国籍な人々が共存する社会なので食文化は非常に充実しています。
そんな恵まれた環境の中、私をお寿司や天ぷらから遠ざけている人がいました。
それがボブです。ボブというと、どこかカナディアンな響きがありますが、彼は生粋のコリアンで、ご家族と共にカナダに移民して来られまだ10年も経っておらず、かなりご年配の為、英語を学ぶ事も又異文化へ溶け込む事も並大抵の努力ではなかったと思います。
でも彼はとても明るく笑顔が本当に素敵でお客様一人一人に心から声をかけコミュニケーションを図る事を自ら楽しんでいる様でした。
そんな上辺だけではないボブのサービスを一番象徴しているのが彼の記憶力です
初めて私が学校の裏にあるその古ぼけたお店を訪ねた時、彼は私に名前を尋ねてきました。
私はChiakiという日本人にしては少し覚えにくい名前を告げた後、まさか彼が私の名前を覚えるはずはないとたかをくくっていました。
その後約1週間経って私達はふと思い出したかの様にボブの店を訪ねました。
その時私を驚かせた一言は言う迄もありません。 ドアを開けるなり「Hi Chiaki!」の一言。
そしてその後に続くアンドリューとロジャーという私の親友たちの名前も彼は決して忘れてはいませんでした。
驚きと感動に包まれて以来、その後意識してこの店で時を過ごすと、いやはやもっと驚いた事に、彼は何百人というお客様の名前を(相手が何人であろうが)全て記憶し、必ず相手の名前をHi やThank you の後につけその人の置かれている立場、例えば来週テストの私達に対しては「テスト勉強進んでる?」や仕事で忙しい人に対しては労いの言葉等、正にその人の立場にたってお客様に溶け込んでサービスをされている事に気付きました。
彼の姿に真のサービスとは何かを、又異文化での自分の在り方というものを考えさせられました。
又笑顔というものは世界共通の言葉であり、これこそが又素晴らしいサービスにも通ずると思いました。 ボブがいるからこそあのお店はいつも活気に満ち溢れ、又多国籍の人がひとつとなれる不思議な空間だと感じました。」
思わず読み終わった後泣きそうになった
文章自体は幼すぎてお恥ずかしい限りだが、この時代があって今の私がある、改めてそう感じた
日系エアラインを目指す方はもちろんの事、外資系を目指す方は特に日本と海外でのサービスの違いをあげてみるのも良いかも知れない
その根底には単一民族国家に近い日本にはない異文化理解が必要であるという事、そしてそれがどれほど大切な事なのか、世界の空を舞台とするエアライン業界を志す方にはぜひ学んで頂きたい姿勢だ
クラウドナインHP