つい先日、全日本空輸(ANA)が客室乗務員の雇用形態を契約社員から正社員に切り替える旨を発表した
航空業界は今、LCC(格安航空会社)の台頭により競争が激化している
そんな中、客室乗務員の正社員化を進める事で、より優秀な人材を確保し、サービスの向上やライバル会社との差別化を図ろうという思惑がこの背景にある様だ

そもそも現在の仕組みはいつから取り入れられたのだろう・・・
それは忘れもしないバブル経済崩壊後の1995年
契約社員として採用された後、3年経過後に本人の希望と勤務実績を踏まえた上、会社が正社員として登用するか否かを判断するという雇用形態がスタートした

当時は「アルバイトスチュワーデス」などと言う言葉が横行し、保安要員としての役割が最重要視される筈の客室乗務員がアルバイト扱いでいいのか、又同じ勤務をしながら賃金に差があるのはおかしい、更にはこういった施策が女性労働力の使い捨てと非難される、そんな時代の幕開けでもあった

「全くバカにしている 客室乗務員を本気で目指す人は、今こそ勇気を持って受験をやめるべきだ」

当時私の母がそんな事を言っていたのを思い出す 

ただ当の私はと言うと・・・・雇用形態が変わったからといってこの仕事に対する想いが変わるはずもなく、又入社した会社がアメリカに本社を置く外資系航空会社であった事から「契約社員」という雇用形態に特に違和感を覚える事なく、むしろすんなりと受け入れる事が出来た
(※外資系航空会社の客室乗務員の雇用形態は元来、契約社員が主流である)

むしろ私が「雇用形態」というものに初めて本気で向き合い、苦悩したのは、セカンドキャリアである専門学校のエアラインコースで教員をしていた時だ

今回ANAが正社員化を進める事により、まず一番に期待できる事は、社員の「意識統一」ではないだろうか?
何故なら、私は、雇用形態のばらつきが、働く者一人一人の意欲・意識をも分裂させるという現実を、嫌という程専門学校時代に目の当たりにしてきたからだ

正社員、契約社員、パート、アルバイトが混在する職場で、皆が同じベクトルで、ある一つの方向性へ向かう・・・・そんな事は奇跡に等しいと言っても過言ではない
ましてやそれ(雇用形態の差)が「実力」の差ではなく「時代」の差だとするならば・・・
それは受け入れがたい現実として働く者にのしかかる

そんな折、私はバレリーナ草刈民代さんの著書「バレエ漬け」と出逢う

道に迷った時、自分の歩みに自信が持てない時、私は何かを「極めた」方の人生にそのヒントを探す
表紙に大きく堂々と「中卒・バレエ一筋・40歳」と書かれたその本に、私は筆者の潔さを感じ益々心惹かれた

ダンサーが一つの職業として認知され、当然のごとくバレエ団から給料が支払われる欧米とは異なり、「観客の前で表現する」という責任感や重圧は同じくして、待遇に大きな差が生じる世界がここにも存在するとは・・・

「芸術」という言葉そのものが存在しなかった日本という国で、文化の差、環境の差はここにも大きな「意識の差」と苦悩を生んだ

しかし、そんな環境の中で試行錯誤を繰り返しながら筆者はある一つの答えに自分なりの納得を見い出す それとは・・・
「踊りに対する欲求に素直になれる自分を目指す事  踊れる事に対して感謝をし責任を持つ事」

これは大好きな「教える」という仕事に対して納得のいかない雇用形態の中で暗中模索を繰り返していた自分に対しての一筋の明かりでもあった

経営者の集まりである人がこう言った

「今の時代誰もが明日の事すらわからない 組織に属していても、会社を経営していてもそれは皆同じ だったら自分に正直に自分の好きな事をやるべきだ」と

航空業界には珍しく明るいニュースに心沸き立った瞬間だった
ただ、それすらこの先どうなるかは誰にもわからない

そう、明日の事は誰にもわからないからこそ、過去を悔やまず、未来に怯えず、「今目の前にある事」に尽力する事
これからはそんな生き方が大切と言えそうだ


クラウドナインHP

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