「この時代信じられるのは自分だけ」
電車のつり広告にふと目が留まる
何でもビジネス実務法務の資格試験の宣伝の様だが、これを見て何とも言えないむなしさを抱えてしまうのは私だけだろうか?
就職難が続くと、とかく人は資格資格と言って騒ぎ立てる
あげくの果てにあの人もこの人も急に公務員を目指し出すから不思議だ(笑)
私は思わず尋ねてしまう
「何のためにその資格をとるの?」
「前から公務員になりたかったっけ?」
私のこの素朴すぎる疑問に答えらえる人は意外に少ない
いや皆無と言っていいだろう
以前とある専門学校で就職指導をしていた
大学との差別化をはかるにあたり専門学校が売りとするのはやはり就職率といえるだろう
そこで必ずついて回るのが資格の取得だ
その学校もご多分にもれず資格の取得を執拗なまでに推奨していた
学生たちは朝から晩まで勉強
でもどう見ても取得すること自体がゴールであるかのような姿勢が感じられ、その異様なまでの光景は私にはある種病的にうつった
そんな環境だからだろうか?
ある日廊下で学生が泣いていた 理由を尋ねたところ彼女はこう答えた
「○○ちゃんはすでに○○の資格を持っている
でも私はだめだった 彼女は勝ち組 私は負け組」と
おいおいちょっと待ってよ たかが(あえてたかがと言わせてもらいます)一つの資格試験に落ちてしまったら負け組で受かったら勝ち組?
こんな狭い世界でそんな小さな事にこだわるなんてもったいない そもそも人生ってそんな単純なものでもないだろうし・・・
とはいえ私は考える
そもそも彼女を初めとし学生達にこんな考え方を植え付けてしまっているのは実は私達大人なのではないだろうか、と
それでは一体資格の取得とはどれほど重要なものなのだろうか?
以前私のクラスにホテルでアルバイトをしている学生がいた
彼女曰くアルバイト先に光際立つ大学4年生がおり、彼はこの就職難に誰もが知る名高い大手6社に内定したとのこと
彼は松田聖子のディナーショーの担当を任される唯一のアルバイト生らしく、ホテル側からもすでに一目置かれる存在だった様だ
この就職難に大手6社内定!!!私は自身の勉強と今後の指導の意味も兼ね彼女に無理を言ってお願いし噂のその彼が企業へ提出したエントリーシートを一枚見せてもらう事にした
そこで見た文面の面白さと言ったら・・・!!
私は大爆笑しながら気づけば完全に彼の世界へと引き込まれていた
テーマは、大きな空欄に「自由に自己PRをして下さい」という単純極まりないものだったが、これが実は簡単そうで最も難しい
この「空欄」と「自由に」がクセモノで、その人のセンスや感性が問われるという意味では面接という段階に進む前にその人の人となりや思想も掴め近年企業が好むパターンの一つとも言える
彼はその空欄を新聞に見立て、自分がインタビュアーとなり自分をインタビューするという正に一人二役の設定で自身を客観的にPRしていたのだ
その斬新すぎる発想に感心しながら私はふと隣にある資格の欄に目を移す
そこには堂々と一行
普通自動車免許!!とだけあった(笑)
なるほどね、やっぱりこういう事だよね 私は一人大きくうなづく
勉強とは何も机上のものだけを指すのではない
寄り道回り道にこそ生きるヒントがあり一見無駄と思われる出来事にこそ実は多くの学びがあふれているのだ 彼は恐らく大学四年間の数々の経験を通して人とは違った視点で多くの物事を観て感じ捉えてきたのだろう そこで培ったエネルギーこそが社会を生き抜く力として大いに発揮されるはずだ
資格を取得する事を否定するつもりはさらさらない
ただそれは取得する事で安心するものではなく、ひけらかすものではなく、就職難の最終兵器として身につけるものでもないはずだ
私のスタンスはあくまでこうである
「資格は努力のライセンス」