昨日は、小倉貴久子先生の《フォルテピアノの世界》第3回
タンゲンテンフリューゲルとジルバーマンによる《ゴールドベルク変奏曲》を聴きに行きました。
場所は新宿の一駅先の初台にあります、オペラシテイ内の近江楽堂。
ああ、先生の演奏をこの近江楽堂で聴くのはいつ以来だろう?…嬉しくてウキウキしながら参りました。
J.S.バッハ:アリアと種々の変奏《ゴールドベルク変奏曲》BWV988[クラヴィーア練習曲集第4巻]
小倉先生は、ジルバーマンとタンゲンテンフリューゲルの二台の楽器を弾き分けて演奏してくださるとのこと。
先生のことだから、きっと素晴らしいひらめきとアイデアで、私たちが聴いたこともない「ゴールドベルク」を披露してくださるに違いない!
先生はいつも、演奏の前や間に解説や素敵なお話を織り交ぜてくださるのですが、今回は諸事情(コロナ禍)で事前に録音されたお声をアレクサみたいな形のスピーカーで流されました。先生の笑顔がチャーミングでした♡
先生はいつも可愛いです(…失礼かもですが(^_^;)、私は先生を大尊敬していますが、私はただの一ファンでもあるので)。
久保田さんのお話も、フォルテピアノアカデミーで拝見した発音の仕組みの模型とともに聞けました。これはこれでとても面白かったです。
いつもは文字で埋まっているプログラムノートですが、なんと今回はこんな図が!
先生が最近ハマっているという、ボードゲームのデザインみたいだなあと思っていたら、なんと娘さんのデザインだそう!とっても素敵なデザイン!
(娘さんはボードゲームが大好きで、先生と塚田さん(旦那さま)と一緒に楽しんでいるそうです。)
中央にアリアが、その周りに30の変奏が取り囲んでいます。3曲ずつのまとまりで10角形を成しています。その並びを見ていると何やら規則性があるようです。先生の分析がまた興味深い。これは保存版です。額に入れて教室に飾ろうと思います。
もうね、この超絶難しい曲を…先生は昼公演(私が行った回)と夜公演の二回演奏されたのです。
遊び心満載の、きっとバッハもビックリの公演でした!楽しかった。本当に胸躍る演奏が聴けてうれしかった。なんと流麗でしなやかな指の動き。そこから紡ぎ出される歌、歌、歌。
この2台、椅子が凄く近く設置されていたのでさて先生はどう動くのかな?とドキドキしました。
果たして演奏が始まって、なんと先生は一つの変奏の中でリピート部分で行ったり来たりしながらアクロバティックな技で(でもなんと自然な動き!)、弾き分けていました。もちろん一つの変奏丸ごとこの楽器、今度はこっち、と言う風にも弾かれていましたが。
その弾き分け方は意図的なのですが、それを感じさせない流れで、躍動感ある芸術的な演奏でした。
私は昼公演に行ったのですが、満席で入れないとわかっていながら夜公演も聴きたい、もう一回味わいたい!と感じました。
それほど惹きつけられた、魅力的な演奏でした。
先生…このゴールドベルク、CDかDVDになりませんか?…いやまて、でもこの絶妙かつ微妙なニュアンスは生演奏で近江楽堂という親密な空間だからこそ味わえるんだからそれはダメだ…などど、一人心の中でつぶやきながら最後の拍手を送りました。
観客も声を出せませんので、みんな大拍手!!!!!
この感動がもう終わってしまう残念さと、心に残った多彩な音色を大切に持ち帰ろうという気持ちと。
小倉先生のゴールドベルク変奏曲は、これまで感じたことのない新鮮さと斬新さに溢れ、いつまででもその音に埋もれていたい幸福感で満ちていました。
アンコール曲は、
プロイセン国王フリードリヒ2世の与えた主題をJ.S.バッハが即興演奏したのですが、その時の作品を。
その際使用されたのがジルバーマン作のフォルテピアノだったそうです。
この即興演奏を基に、『音楽の捧げもの BWV1079』が生まれました。
その基となった3声の作品を、小倉先生はアンコール演奏されました。
…嗚呼、感動はいつまでも心にあって、今日のブログも一言くらいしか書けない(←感動で)と思っていましたのに、気が付けばこんない語ってしまいました。先生、本当になんと表現したらいいのかわかりませんが今回も素晴らしい演奏をありがとうございました。
さて、最後に楽器のことを少し。
(右)タンゲンテンフリューゲル Tangentenflügel
Ch.G.Schröter(シュレーター)考案のアクションによる復元楽器 久保田彰製作 2017年
(左)ジルバーマン Gottfried Sibermann
Freiberg 1746年 復元楽器 久保田彰製作 2020年
タンゲンテンフリューゲル(タンジェントピアノ)はオルガン製作者のシュレーターの設計図から、チェンバロ工房の久保田彰さんが製作しました。チェンバロに近い音色だなぁと私は感じます。でも強弱が付けられる不思議。キーの後方に乗った木片を飛ばして弦を鳴らすことで音が出ます。タッチや、(オルガンで言う)ストップによって強弱、微妙なニュアンスを付けることが可能。
オルガン製作者のG.ジルバーマンは、イタリアのクリストーフォリが発明したフォルテピアノの図面を基にフォルテピアノを製作。
J.S.バッハにこの楽器について意見を求めたところ、試奏したバッハから『高音域が貧弱、タッチが重い』と指摘されてジルバーマンはへそを曲げたとか。しかしその後更なる改良を重ねて作られたフォルテピアノはバッハから好評を得ました。
今回のジルバーマンのピアノはタンゲンテンフリューゲルと同じく、久保田彰さんが昨年製作したものです。
オルガンのような重厚な響きを持っていると感じましたが、やはりストップによってダンパーが上がった状態になってよりぶわ~んと音が広がったり、牛骨(とおっしゃったと思います)を弦に触れさせることでチェンバロのようなパリパリした音に変わったりして、非常に興味深かったです。
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