生きて生きたい。



先日11月1日、東京音大芸術祭でのミュージカル公演が終わりました。


お客様があたたかかった。笑いも涙もたくさん起きて、全体的に満足していただけたようで


ほっとしました。


たった一回公演。始まってしまえばあっという間です。


反省しても、後悔しても、もう次のステージはない。あれが一回きりの、私達の本番でした。


私は、主役の二人がとてもよかったと思う。特に本番、裏から聞くことしかできなかったけれど、よかった。


今までで一番よかったんじゃないかな。



あたしはこの公演、どうだったんだろう。


初めてちゃんとダンスをやりました。歌いながら踊って演技した。


ミュージカルだからそれは当たり前なんだけれど、私はダンスは未開拓というか超苦手分野で・・


自分の劇団だとなかなかやりません。というか、やらせてもらえません笑。


ほぼアンサンブルのような形だったので、3役くらいやりましたね。



簡潔に表すと、自分はダメだった。


自虐でもなんでもなく、冷静にそう思う。


だけど、矛盾した言い方だけど、本当にダメなのかというと、そうも思っていない。


私は自分の劇団の公演には、150%くらいのものを費やしていると思います。


生活の全てがその公演で、プライベートな時間がなくてもまぁ平気。


寝なくても朝早くても風邪をひいても、気力でのりきれる。


授業も平気で切るし、観劇もいかない。バイトもほとんどしない。


聴く音楽は全部公演の音楽。読むものは脚本。


それが今までの私の、劇団公演への取り組み方だったんです。


今回の公演でそういう取り組み方をしなかったから、自分はそれと比べてはダメだと思う。


だけど、別に良かったのではないかとも思うのです。


毎回150%の取り組み方なんてしていたら、ちゃんと生活なんて出来ない。


それでもいいんだけど、ぼろぼろになりかけた自分を舞台でみせるのが果たしていいことなのかって最近思ってね。


必死になっている姿、に感動してくださるお客様もいるでしょう。


だけど、あたしたちがこれから見せていかなくてはいけないのは、役者としての姿なのよね。


一日3回公演で疲れて、一回でもダメな公演を見せるとか、そんなことはしちゃいけない。



という考えで、今回は普通の生活と舞台との共存を試みようと思って取り組んでみました。


その結果が舞台に対して失礼な結果になったのではないか、それだけが心配。


舞台は神聖なものだとおもう。ほんとにそう思う。


それは色んな人の力と時間が集まって出来ているから、とか、お客様がお金と時間を費やしてみてくださるから、とか、期待やら楽しみやら努力やら。色々な理由から。


神聖な舞台にあがってよい自分だったのかどうか。




試みたのはそれだけじゃない。


演技や歌の歌い方も色々試みてみた。


「演じる」ということが、いまいち私にはまだ分かっていない。


演じるというか「表現者になること」かな。


入り込むだけが演技じゃない。冷静な自分もいなきゃいけない。


だけどそのバランスがとても難しくて、自分でまだコントロールできない。


今回の自分は、ずっと冷静な自分が多すぎたかな。と思います。


今までは入り込むだけを目標にしてやってきたから、冷静な自分を増やすということはとても不安だった。


自分が演技してないんじゃないか、素の自分なんじゃないかって思うともう入り込めなくなって。


次回の自分の劇団の公演では、もうちょっと感情を自然に動かすほうに力を入れようと思います。


その上で冷静な自分を保つ。


難しいけれど。




つよくただしくまっすぐに。


他人につよい優しさをもって、お天道さまに恥のないただしい生き方をして、自分に嘘をつかないまっすぐさをもって、生きていく。


生きていこう とこんなにもつよく思ったのは、久しぶり


というか初めてかもしれない。



昨日、TipTapの前回公演「Oh!Myお葬式」を見てくださっていた方が今回のオーケストラに参加してくださっていて、


「前回、あなたのことがとても印象に残りました。今回も歌声がすごく素敵でした。

あなたは将来何になりたいの?」


と言ってくださって。


私は「女優です」


とすかさず答えていました。


今までだったらそうは答えなかったんじゃないかしら。


その人は「女優はたくさんいるからね。」と言うので


「面白い女優になりたいんです」と言ったら


「舞台を見て、なにか独特な印象を受けたから、いいとおもうよ」


って言ってくださった。


嬉しい



このひとをいい意味で裏切るような舞台に、次もしたいと思った。