はい、どーもー。ANNYでございます。


前作からしばらく経ちましたが、やっとラフスケッチ状態のものが自分の中でまとまりました。

少しずつ形にしておりますので、来週あたりからポツポツ発表していこうと思っております。


ちなみにタイトルは…


Bar「TOKO-YO」へようこそ(仮)


今回はちょっと長編な雰囲気です。

老人の願いで世界一の大富豪となった男性は、自分のやりたいことを次々と行いました。高級車を買い、豪邸に住まい、世界旅行など頻繁に行いました。やりたいことをやりつくしてもまだ残っているお金に今度は執着をするようになりました。それまで親しくていた友人がすべて自分のお金を盗もうと狙っているように見えました。


変ってしまった男性に友人や親族は愛想を尽かし、離れていってしまいました。

すると今度は世の中の人、すべてが自分のお金を狙っているように思えました。


『このお金は自分のものだ!誰にもやるものか!!』


そう思った男性はとうとう自分のお金と豪邸に火を付けました。

部屋の中でこれで誰にも取られることがないと安心した男性は、ふと我に返り、大変なことをしてしまったことに気づきました。しかし気づいた時にはすでに手遅れでした。


轟々と燃え盛る炎の中で男性はこう思いました。


「自分はお金に執着しすぎてしまった。自分に合わないお金を持ってしまったばっかりに…こんなことなら、こんなにお金持ちになるんじゃなかった」



老人の願いで世界一企業の社長になった男は、それまでに考えていたことを次々と発表しました。その考えは大したものではなかったのですが、その地位が後ろ盾して世の中でどんどん取り入れていかれました。


しかし、最初は賛同していた人たちもどんどん離れていきました。男は焦りました。

さらに人望があったわけで社長になったわけではないため、会社の中で次の社長になろうとする人が次々と現れるようになりました。男は自分の地位を守るために優秀な部下を次々と辞めさせていきました。


そしてとうとう会社には男一人しか残らず、会社は倒産してしまいました。男は地位や名誉を得るためには、自分の知識や経験、人格が不足していることにその時はじめて気づきました。そしてこう思いました。


「俺は高望みをしすぎてしまった…準備もせずにやりたい放題やってしまった。こんなことならコツコツと頑張っていればよかった」



老人の願いで世界一の健康体となった若い男性は、ある女性を好きになりました。女性もその若い男性が好きになり、やがて結婚しました。子供にも恵まれ、やがてその子供たちも結婚していきました。さらにその子供たちにも子供ができました。若い男性にとっては孫ができたのです。幸せそのものでした。これまで一度も病気にかからず、どんなに年をとっても体力は老人と会った時のままでした。


しばらくすると、若い男性の奥さんが亡くなってしまいました。若い男性は泣きながら奥さんを見送りました。次に子供たちも次々と亡くなっていきました。若い男性はまた泣きながら子供たちを見送っていきました。さらに孫たちも次々と亡くなっていきました。若い男性は激しく泣きながら見送っていきました。奥さんも、子供たちも、孫たちもすべて病気で亡くなったのではなく、高齢になったために亡くなったのでした。しかし若い男性はどんなに高齢になっても健康のままでした。最愛の家族の最後を次々と見送りながら、若い男性はこう思いました。


「人は病気をすることで、健康であることの大切さを知ることができる。人生とは終わりがあることで輝いていこうと思える。俺はその両方を感じることができない。俺はただ自分のためだけの人生を…これから一人で送っていかなければならない。俺はなんて高望みしてしまったんだろう。」



老人が消えてしまった後、少女は不思議な気持ちで家に戻りました。もちろん紙袋を抱え込んで。


少女が家の扉を開けました。


「ただいまぁ」少女はいつも部屋のベッドで寝ているお母さんに聞こえるように大きな声であいさつをします。いつもならお母さんの返事はないのですが…


「おかえり」


部屋の扉の向こうでお母さんの返事がありました。少女はびっくりしていそいで部屋に飛び込んでいきました。


少女のお母さんはベッドに上半身を起こした状態で優しく笑いかけていました。


「お母さん!元気になったの!?」


少女はベッドに駆け寄りました。


するとお母さんはこう言いました。


「不思議な夢を見たの。旅をしているおじいさんがやってきて『お前の望みはなんだ』って聞いてきたの。お母さんはこう答えたわ。『私には娘がいます。私のために一生懸命やってくれています。私の願いは早く元気になって、あの娘を抱きしめてあげることです』って。するとおじいさんはにっこり笑って『お前の願いで儂の存在の意味が終わる。難しい顔をするな。きっとお前にはわからん。しかし、自分のためではなく他の人のために願う気持ち、忘れるなよ』。そういうと消えちゃったの…そこで夢から目が覚めたわ。するとね、不思議なことにきつかった体が急に軽くなってね。久しぶりに気持ちのいい風を楽しんでいたところよ。」


お母さんは両腕を大きく広げて少女を迎え入れました。少女は今までで一番素敵な笑顔を見せてお母さんの胸に飛び込んでいきました。お母さんと少女は優しく、しかし固く抱き合いました。少女の鼻からお母さんの優しい香りが体の中に入ってきたとき、二人は同時にこう思いました。


「あぁ、なんて幸せなんだろう」と。

老人はさらに旅を続けました。老人は大変疲れていました。そこで見かけた家で水を一杯もらおうとしました。


「…大変申し訳ないのですが、水を一杯いただけないでしょうか。」


すると家の中から声がしました。


「おい!じいさん、大丈夫かい?そこの水よりもこっちのミネラルウォーターの方が体にいいぜ!」


中から現れたのは若い男性でした。手にはミネラルウォーターのペットボトルを持っていました。


老人はペットボトルの1/3ほど口にした後、若い男性に向かってこういいました。


「ありがとう。この水のお礼に何か願いをかなえて進ぜたいのだが」


「願い?じいさんがかい?」


若い男性はちょっと考えた後にこう言いました。


「そりゃ、健康だろう!元気だったらなんだってできるぜ。」


「そうか、了解した。」


と、一言そういうと振り返らずに去っていきました。


「おいじいさん!願い事はどうした!」


若い男性は笑いながら声をかけました。しかし本人は気づいていませんでしたが、世界一健康な体になっていました。

老人は旅を続けていましたが、もう一歩も歩けなくなりました。老人はこう思いました。


『次が最後の仕事になりそうじゃ…な…』


そう思った時に、一人の少女が近づいてきました。


「おじいさん、どうしちゃったの?」


「…旅をしているんだが…疲れてしまって…。しばらく休んでおるんじゃよ。」


話を聞いた少女は、手に持っていた紙袋の中から水と果物を老人に差しだしました。


「疲れたときは果物がいいんだよ。飲み物は水しかないけど…」


老人はありがたく果物と水をもらい、ゆっくりと口に運びました。


食べ終わった後に老人は少女に言いました。


「ありがとう。おかげで元気が出たよ。このお礼に何か願いをかなえてあげよう。」


「ムリだよ…」


少女はうつむきながら言いました。


「私の願いはお母さんが元気になること。でもお医者さんがいっぱい元気になる薬をくれるけどなかなか病気がよくならなくって…。お父さんはお医者さんに払うためのお金をもらうために遠いところで一生懸命働いているの。…さみしくないよ!ときどき帰ってきて遊んでくれるの。…本当は疲れているのに、私のために…」


少女がまだ何か言おうとした口を遮り、老人は言いました。


「よかろう。(儂の最後の務めとなろう)」


その時突然、強い風が吹きました。


少女は目を強く閉じ、身をかがめました。ゆっくり目を開けると…そこに老人はいませんでした。老人がいたところには、食べたはずの果物が置いてありました。