その中の一人は何かとよく会っている奴で、
昔から苦楽を共にした仲です。
彼は酒が入ると饒舌になります。
饒舌になりすぎて、空回りすることも多々あります。
でも《いつもの事》です。
そしてこの間も彼が饒舌になり過ぎたところに遭遇しました。
だいぶお酒も進み、
まったりし始めた頃、
突然隣で
『はぁ！？』
と、喧嘩腰の声。
いつの間にかもう一人の友人と言い合いが始まりました。
熱弁を奮う友人二人。
この景色もよく見る風景なのであまり気にせずにいました。
《いつもの事》なので。
そしてこんな時は必殺のスルーです。
話に混ざろうかと思う時もあるんですが
二人の話がさらにややこしくなると大変なので
深くまでは突っ込みません。
これが《いつもの事》でお互いのポジショニングです。
でも今回は今までと様子が違い、なかなか収束の方向に行きません。
明らかに会話は平行線を辿ったままで、
交わりそうな要素を見いだせそうにありませんでした。
《いつもの事》だったら時間が経つと
勝手に笑い話に変わっているはずなんですが…。
『お前はどう思うよ！？』いきなりのフリ。
…スルー。
すると突然、
『オレ帰るわ』
と友人が代行に電話しています。
『まぁまぁ
』と割って入れる空気ではありませんでした…。
今までにない展開。
ピンと張り詰める空気。
全員無言ですが、
明らかにお互いがお互いを牽制しています。
まさかこの歳になって
こんな気まずい雰囲気を味わうとは思ってもみませんでした。
そして気まずい空気が拭えないまま
代行が迎えに来てしまい、
友人は帰って行きました。
自分もその友人を見届けた後、帰宅しました。
そして次の日。
代行で帰ってしまった友人から電話が。
『昨日って何であんな言い合いになったんかね？』
…めちゃくちゃ他人事でした。
何事もなかったかのようなハツラツとした声。
忘れていましたが
次の日にこんな電話がかかって来るのも
《いつもの事》でした…。
30になっても40になってもこの《いつもの事》は続くことでしょう…。