寝たきりやボケのように、老いに伴う身体・精神的な機能の衰えは、何らかの疾病に引き続いて起こるというよりも、高齢者をめぐる在宅での生活そのものから生じやすいと言えます。


たとえば脳出血になり、いったん入院して、急性の病気は治って退院したとします。私達は病気に対する恐れからかついつい安静を促してしまったり、着替えを手伝ったり、食べ物を持っていって食べさせてあげます。


必要な援助はもちろん必要なのですが、つい援助をしすぎてしまうような家族の善意と思いやりに基づく行動が、実は高齢者の身体的・精神的機能の回復と維持の妨げになっていることも少なくありません。


寝たきり防止やボケ予防のためには、できるだけ小まめに体を動かし、手先をよく動かすことが大切です。特に興味を持ちつつ、生活にハリを持たせることも重要です。さらに、まめに日記や手紙を書いたり、パソコンを使ったりすることも大切ですね。


運動することは間接的・直接的に脳循環を高めて、また精神的安定を維持する作用があります。また、家庭の中では役割意識を持たせることによって家族の一員としての自覚と自尊心を保持させるようにすることも必要です。