『彼女を守る51の方法』全5巻
作:古屋兎丸

地震で崩壊した東京の景色がとにかくリアル。
読んだあとに街を歩くと、
「漫画内で大変なことになってたとこだ…」
と景色が重なって見える。

地震による混乱と、
人の脆さ、強さ。
決してフィクションとは言い切れない、
日常のすぐうらがわにある「もし」を描いた良い作品。

巻末には、非常時のお役立ち知識がびっしり書いてあって、ほんとにすごい。


東京でもし、首都直下型地震が起きたら、
とあう想定の元に進む漫画。
主人公の男が、就活中に高校の同級生とお台場で再会、旧交を暖める所からスタートし、
地震が起きる。
建物の崩壊と液状化現象、直面する多くの死。


その時主人公は、かつて彼女がいじめにあっていたのを救えなかったことを思い出し、今度こそ彼女を守ることを誓い、お台場を後にする。


途中で出会ったバンドマンと橋を渡ったり
(死を受け入れられない描写が凄まじい)
橋の上での集団パニックとその対処法など
(しゃがむ)
実際に起こりそうなシチュエーションが怖い。
途中で出会った女性とも行動を共にしたり、
命を救えなかった主人公が重責に倒れるエピソード、
そこから発生してしまう六本木でのレイプ事件など、
人の脆さがまざまざと描かれる。


渋谷に到達した一行は離ればなれになり、
ここでもレイプが横行。
109は女性が避難し身を固める場所に。
主人公は宗教団体につけこまれ使い物にならなくなったり、
勘違いから発生した小さな亀裂が、
109襲撃へと繋がったり。
その騒動の中、人々が冷静さを取り戻すきっかけには救いがあったりする。
渋谷から新宿への移動。
暴力団が治安を維持する姿、
人々の活力でお祭りのような雰囲気の新宿に泣かされる。