全州韓屋村から北西方向にある交通量の多いバス通りに面した「全州客舎(チョンジュ
ケクサ)」は、朝鮮時代初期に建てられ、外国の使臣が訪れた際に宴会を催し宿泊させた、
いわゆる迎賓館です。
1975年に宝物第583号に指定されました。
多くあった建物の中から、本館と西翼軒のみが残されていましたが、近年東翼軒も復元
されました。
本館の正面に掛けられた額には「豊沛之館」という草書体の文字が書かれています。
豊沛は漢の高祖(劉邦)の故郷の地名ですが、一般的には建国者の故郷を意味し、全州が
朝鮮王朝を建国した李成桂(イ・ソンゲ)の出身地であることを示しているそうです。
(河出書房新社刊「韓国歴史散歩」および全州市発行パンフレットによる)
と、お堅い話はともかく、全州客舎の東側には、「歩いてみたい通り(걷고 싶은 거리)」と
いう通りがあり、コスメやファッションショップ、飲食店などが軒を連ねる、全州韓屋村とは
全く異なる今風の繁華街が、ちょうど客舎のところから始まります。
初めて全州を訪れたときに、こんな都会的な通りの入口に、歴史的にも意義深い建物が
残されていることにとても驚きました。
現在は、多くの人々が廊下に腰掛けてのんびりと過ごしたり、待ち合わせの場所として
利用するなど、市民の憩いの場と姿を変えています。
全州客舎(전주객사)
住所 全州市完山区中央同3街1(전라북도 전주시 완산구 중앙동3가 1)
開館時間 夏期 09:00~18:00、冬期 09:00~17:00 (無料)