下村博文文科相時代に奨学金制度は有利子から無利子へ比重が高められ、
更には今後は貸与型から給付型へと変化していく。
そもそも奨学金制度には、4つの論点が存在する。
1つ目は、受給基準だ。「ニードベース(奨学)」と「メリットベース(育英)」の2つがある。「ニードベース」とは、学生個人の必要性に応じて奨学金の受給や金額を決定することを指す。例えばアメリカ連邦奨学金制度では以前、受給の判断に「資産テスト」として持ち家の有無を判断していたが、これはニードベースの受給基準と言える。一方、「メリットベース」は学生個人の能力や特性で受給基準を定めることを指す。学業成績が最も一般的な例だ。
2つ目は種類で、「給付」と「貸与」に分けられる。貸与は一般に「学生ローン」と呼ばれ、「有利子」と「無利子」に分けられる。ローンとはいえ、他のローンとは特色が大きく異なる。例えば住宅ローンと比較すれば、
・担保がない
・金額が少ない(貸し手の利益も少ない)
・収益が上がる保証がない
といった特徴が浮かび上がる。借り手もリスクを負うことになるため、教育の社会的意義も鑑みれば、公的制度が必要になることが分かる。
3つ目に受給決定時期が挙げられる。大学決定以前であれば進学決定に奨学金は大きな効果を持つが、大学決定以後の場合、奨学金をあてにすることのリスクが大きくなる。
最後は、対象と金額である。限られた予算の中で、広く浅く支援を実施するか、狭く深くにするかは、政策的な判断が大きい。
この4つの論点に加えて、教育費負担の問題も重要な観点となる。教育費負担は大きく「公費負担」と「指摘負担」に分けられる。私的負担は、更に「家計負担」と「民間負担」に分かれる。
このように論点が多岐にわたるため、各国の奨学金制度は全く異なる様相を示している。さらに、同じ国の中でも、時代によって制度は異なる。
その根拠として最も大きく反映されるのは、各国の「社会環境」だろう。例えばヨーロッパは、近代大学の多くが国家のエリート養成がその任務と考えられていたことから、無償ないしは低授業料政策からスタートしている。また、学生を「家族の庇護を受けている子ども」と考える東アジア諸国は家計負担の割合が大きく、「責任ある市民」とみる北欧諸国は公的負担の割合が大きい、といった研究もある。
下村博文議員の大臣時代から引き継ぎ、今後の更なる変化を望みたい。学生に貸与を負わせるのは国としてどうだろうかと心から想う。
