2018年9月20日。
母が亡くなる前日のこと。
その日も雨がしとしと降る、どんよりとした
朝を迎えました。
母の病室での寝泊まりも、ずいぶん慣れてきて
息子は病院から高校へ登校。
娘は大学がまだ夏休み中なので、なにかと
私を支えてくれる毎日でした。
疲れた私は、母のベッドの足元に広げた簡易ベッドに横たわり、鉛色の空を眺めていました。
すると、黒い影が右から左へ流れ、今度は左から右へ流れたように見えたのです。
何事だ?と思い、ベッドから起き上がって母の近くの椅子に座り、外を眺めていると、
黒い影がすうっと窓の外の手すりにとまりました。
カラス?!
なんて不吉な……と思いきや、
実は、ハトでした。
雨に湿った羽根が黒く輪郭を際立たせて、彫刻のようなハト。
背中をこちらに向けながら、長い間、私達の様子をジッと伺っていました。
5分ほどすると、何かを思いついたかのように、ふわりとどこかへ消えて行きました。
公園で見かけるハトとはまるで異種の、男っぽい、ちょうど30年前に亡くなった父を思わせる
鳥でした。
あれは父だったのでしょうか。
その日、母は相変わらず片目を開けたまま、浅くはなったものの、しっかり呼吸を刻んでいました。
