それは、保育園の赤組(年中)さんのときに起こった。
お昼寝が終わり、おやつも食べた後、お迎えまでの時間(放課後?)、園庭で自由に遊ぶのが常だった。
その日も、いつものように遊んでいた。
下足場の傍に足洗い場があり、コンクリート製の囲いに、デザインで50〜60cmの丸い穴がくり抜かれていた。
そこをくぐり抜けるのも、一つの遊びになっていた。
行列ができる程の、〝人気アトラクション〟だった。
僕もハマっていた。
何回目かのチャレンジの後、順番を待っていた。
いよいよ、僕の番が回って来た。
くぐり抜けようと、穴のフチに手をかけた、その時だった。
突然、背中を押された。
コンクリート製の足洗い場に、頭から突っ込んだ。
救急車で病院へ運ばれた。
<写真はイメージです>
骨折はしていなかったが、タンコブが出来た。
その日、背中を押した子と、そのお母さんが家にお詫びに来たことを覚えている。
平謝りだった。
僕の両親は道徳心が高く、誰に対しても心優しい人間だったから、文句を言ったり、責めたりしなかった。
その子は、僕の後ろで順番を待っていた訳ではなかった。
そう、突然僕の後ろに割り込んできて、僕を突き飛ばした。
何でこんなことが起こったのか…
理由は分からないまま。
今も、額に残る石灰化したタンコブに触れると、あの日のことを思い出す。
ここに書いたことで、この出来事にまつわる感情のすべてを〝かいほう〟します。