「マンガ」で表示した様々な語彙集:一般に多くの人が間違って理解する日本語とは:

・采配をふる:「采配をふるう」ではない、意味は指揮したり、指図したりすること

・役不足:その人の力量に対して役目が不相応に軽いこと

・姑息:一時の間に合わせ(卑怯なと言う意味ではない)

・かぐわしい:上品ないい匂い

・いぶかる:疑わしいと思う

・おざなり:物事をいい加減に済ませること(なおざり:そのままにしておくこと)

また、下記のような「つなぎ言葉」をうまく利用することで文章が生きる

・だから・しかし・しかも・つまり・それとも・ところで・反対に

更に語彙力を高めるためには「季節用語」、「状態・程度・気持ち」を表す語彙を知ることは大切だ。

・春:おぼろ月・山笑う・春雨・花ぐもり・花冷え・うららか・芽吹く

・夏:炎天・夕立・油照り・五月晴れ・蝉時雨・風薫る・涼風・草いきれ

・秋:秋の夜長・望月・秋晴れ・イワシ雲・小春日和・紅葉狩り

・冬:木枯らし・冬木立・風花・銀世界・初霜・七草粥・春一番

・かつて・自ずと・にわかに・みすみす・やがて

・ごく・はなはだ・はるか・ほぼ・一段と

・むしろ・さぞ~だろう・生憎・よもや・断じて~ない

 

日本は自給率が37%しかなく、世界の有事の時には真っ先に国民が飢える、と言う。実際日本は大国からの食糧輸入を多く手掛け、国内の米を含めた生産農家を衰退させているのが現状だ。その主な要因は財務省の農業に対する緊縮財政と米国の全面服従による日本搾取によるものだ、と言う。で日本は米国にとって「都合のいい同盟国」になっている。また、一見安価な食品等は除草剤や防カビ散布した化学肥料等が使われておりあえて検閲していないものもある、と言う。よって日本は遺伝子組み換え作物(とうもろこし、大豆など)を一番食している、とも言う。

今の資本主義(大国の今だけ、金だけ、自国だけ)は戦争をしても兵士の命を大事だとは思っていないのが現実で、さらに米国は有事にはズバリ援助してくれない、と言う。日本での政変激変は温暖気候による災害と地方自治体の赤字予算からの反論もあるが、やはり世界の有事の拡大からが大だと言える。日本が最も重要視しなければならないのは「食」(食料自給率アップ・自給自足と備蓄の必要性)であり、その危機感を知らされた本書である。

『再会の手術室』

夜勤明けの朝は、いつも手術灯の残像が網膜に焼きついている。僕——明は、総合病院の外科に入って三年目。カンファレンスから回診、そして三件、四件と続くオペの波に呑まれ、気づけば昼も夜もなくなった。白衣の袖口はベタつき、爪の間には消毒液の冷たい匂いがしみこんでいる。

それでも、手術台の前に立つと、世界は細く静かな線になる。モニターの波形、麻酔科医の頷き、器械出しの指先——すべてが滑らかに繋がるとき、僕は自分の手の中にしか存在しない秩序を信じられた。

その秩序は、ある午後、不意に崩れた。

救急外来から術前コール。多発外傷、腹腔内出血疑い。担当は僕に回ってきた。待機室でCT画像をめくっていたとき、救急カートが音を立てて扉を押し開けた。ストレッチャーに横たわる男の顔を、マスク越しに見た瞬間、胸の奥で硬い何かが跳ねる。

——高橋。

高校二年の冬、僕をロッカーに押し込み、口に雑巾をねじ込んだ男。上履きで背中を踏み、笑いながら携帯で写真を撮った男。名前を呼べば呼ぶほど、口の中の布は濡れて重くなり、目の前の天井の蛍光灯は淡く笑っていた。十数年を経て、その光景が鮮やかな色を取り戻す。

「交通外傷。ショック徴候あり。BP 78/40、心拍130。FAST陽性です」

救急医の声が遠い。僕は喉を締め上げる記憶の指を剝がすように、口を開いた。

「OR確保。血液製剤、Oマイナスを先行。腹部正中切開で入る」

声は平静だった。手順も頭にある。けれど、視界の端で男の唇が動いた。「……た、すけ……」その破れた音が、冬の体育館の冷気と重なる。僕の手は震えなかった。代わりに、心臓が、余計なリズムを刻んだ。

手術室の灯が点る。手袋を引き上げる瞬間、僕は自分の掌に目を落とす。ここには、数え切れない縫合の跡が染みついている。他人の肉の温度、血管の拍動、救われた命の重さ。そこに、あの日の僕の呼吸も、混ざっていたのだろうか。助けを乞う声を、僕はどこかで聞いていたのだろうか。

切皮。皮下組織が開き、腹膜を裂くと、暗い赤が溢れた。吸引。視野を確保。脾門部からの出血。鉗子、クランプ。意識は刃の先に集中する。高橋の顔は布の向こうに隠れ、ただ肉体としての彼だけが、僕の前に横たわっていた。

「圧迫、もう少し。止血ラインここ」

器械出しの看護師が、僕の声に合わせて正確に器具を手渡す。麻酔科医が「血圧、少し戻りました」と告げる。僕は頷き、脾臓摘出の決断をする。温存は難しい。時間は味方ではない。

縫合糸が、組織を拾うたびに、あの日の笑い声が糸の摩擦音に似てくる。やめろ。ここは外科だ。僕は独り言のように胸の内でつぶやく。僕の役目は、切り、結び、つなぐことだけだ。復讐は刃を鈍らせる。恐怖は手を冷やす。どちらも患者を殺す。

「明先生」

助手の研修医が、小さく呼んだ。視線を上げると、彼の目が揺れている。僕は短く言う。「大丈夫。やることは決まってる」

やることは決まっている。そう言い聞かせるたびに、僕の中に別の声が生まれる。——本当に? 本当におまえは、彼を救うのか。あの冬、おまえが助けてと叫んだのに誰も来なかったときの、あの静けさを、いま返すことができるのに。

クランプを追加。ガーゼの枚数を確認。止血面が乾くのを待って、再度洗浄。プロトコル通り。僕は、まるで自動機械のように動く。けれど機械ではない証拠に、胸の内側が熱い。喉が乾く。唇が、マスクの内側でひび割れた。

——人生は、どこでまた交わるか分からない。

父が言っていた言葉を思い出す。小さな町の整形外科医だった父は、酔客に絡まれても、翌日にその男の骨折を整復した。「仕事はな、相手が誰でも同じ。手が覚えてる」そう言って、ゴム手袋を弾いて見せた。あの音が、いま、たしかに僕の指にも残っている。

「閉創に入ります」

糸が皮膚を寄せる。僕は最後の結び目を作りながら、彼の名を、声に出さずに呼んだ。高橋。血の匂いの中で、あの冬の体育館の床板の匂いが混ざる。僕はよく磨かれた木の冷たさを、指先に思い出す。あの時、僕は誰にも触れられたくなかった。なのにいま、僕の指は、誰かを救うためだけに動く。

手術は終わり、彼はICUへ運ばれた。予後は、運と時間が決める。家族への説明を終え、僕は廊下の壁に背を預けた。肩が、どっと重くなった。僕は初めて、手袋を外す前に、目を閉じた。

数日後。ICUのカーテンの向こうから、かすれた声がした。「先生……」

僕はカーテンを開け、ベッドサイドに立つ。彼は痩せ、管に繋がれている。だが目は覚めていた。僕を見ると、彼は焦点を合わせようともがき、やがて苦笑した。

「俺、……覚えてるか」

「ええ」

言葉はそれだけだった。彼は乾いた唇を舐め、息を整える。「あの時は……悪かった」

謝罪は、長い廊下を歩いてきた足音のように、小さく遠かった。僕は頷くしかなかった。胸の中の何かが、砂のように崩れる。怒りでもなく、同情でもなく、そのどちらも名前を持たない重さが、静かに形を変える。

「仕事なんで」

ようやく出た言葉は、あまりにありふれていた。だが、その平凡さに、僕は救われた。仕事だから。僕の手は、誰かの過去を裁くためではなく、誰かの未来を繋ぐためにある。父の言葉が、僕の背中を支えていた。

彼は目を閉じた。機械の音が一定のリズムを刻む。僕はカルテにサインをして、ベッドから離れた。そのとき、小さく呼び止められた。

「先生。……生きるわ」

震える声で、そう言った。僕は振り返らなかった。ただ、歩きながら、心の中で一つ結び目を作った。ほどけないように、しっかりと。

季節は春へ傾き、病棟の窓から見える街路樹が、若い葉を揺らしていた。外来では新患の列が続き、救急ベルは気まぐれに鳴る。日常は、容赦なく僕を前へ押し出す。だが、僕はその流れの中で、自分の中の小さな空洞に風が通ったのを感じていた。

悪い記憶は、消えない。消えないからこそ、形を変える。僕はそれを胸の奥で確かめ、手を洗い、次の手術に向かう。今日も、手術灯が明るい。白い光の下で、僕はまた、細く静かな線になる