「明日の広告」について振り返ったところで「戦略PR」について内容をまとめてみた。
まず始めにこの「戦略PR」が「明日の広告」のPR版として書かれている点について、
「戦略PRによる空気作り(=カジュアル世論)こそ、再び広告を「モテる」状態に
押し上げる役割を担っている。」としており、ラブレターを渡す作業は広告の仕事、
PRはその前の作業、つまりラブレターを渡す女性をその気にさせる手法と位置づけている。
そして、商品を売るためには「商品パワー」や「宣伝パワー」ではなく「空気をつくるパワー」、
つまり「カジュアル世論」が重要であり、そのためには「戦略PR」が必要と説いている。
「カジュアル世論」の役割は、消費者に商品の気付きではなく「ニーズへの気付き」を与え、
「買う理由」を生み出すことにある。また、「カジュアル世論」の形成に必要な要素は3つある。
・公共性(おおやけ感)を生み出すために・・・マスコミの活用
・偶然性(ばったり感)を生み出すために・・・クチコミの活用
・信頼性(おすみつき感)を生み出すために・・・インフルエンサーの活用
「戦略PR」実施の流れは、メディア、ひいては消費者の関心を最大化できるテーマを設定し、
そのテーマを広げることで商品の売上に貢献するという「シナリオ」を描き、そのシナリオを
具現化させるための綿密なチャネル設計を行い、設計にもとづき情報の伝播を仕掛ける。
「戦略PR」のテーマ設定をステップにすると以下の通り。
1、商品の便益に関連しそうな、世の中の「関心事」を調べる
2、商品の便益を世の中や消費者の関心に合わせて翻訳する
3、その二つを結びつけ、テーマを設定する
4、テーマを「ニュース」にするための材料を用意する
5、テーマを広げるための具体的なPRプランを策定する
「戦略PR」のチャネル設計については「カジュアル世論」の形成に必要な要素で触れた通り
「マスコミ」「クチコミ」「インフルエンサー」の3つのチャネルを戦略的に組み合わせる。
しかし、「カジュアル世論」を作り出すだけでは、モノは売れない。
あくまで「カジュアル世論」はラブレターを渡す女性をその気にさせる手法だから、
「カジュアル世論」によって生まれたニーズを広告を使って刈り取る必要がある。
広告手法の特性によって様々だが、基本的にはニーズを掘り起こすのが「カジュアル世論」で、
解決策を訴求するのが「広告」という連動がもっともうまくいくように思う。
最後に、「カジュアル世論」の効果測定だが、そもそも「カジュアル世論」の役割は、
「買いたい気分にさせる」ことだったり、「買う理由に気付かせる」ことだったり、
つまり、消費者の認識変化である。それが「カジュアル世論」のゴールであれば、
認識変化を定量的に調査することで評価はできる。(例:インターネット調査 等)
以前、著者であるブルーカレント・ジャパン本田氏のセミナーに参加したことがあるので、
内容は十分理解していましたが、「明日の広告」と結びつけて書かれている点が新鮮でした。
また、一番おもしろいなと感じたのは佐藤氏と本田氏の「戦略PRの明日はどっちだ!?」という対談。
特に「本来のPR」が広告の上位概念になり、「コミュニケーション・デザイン」も、いづれはPR
という概念に内包されていくのかなと思っているというさとなおさんの発言は衝撃です。
この対談は「広告とPRのあり方」について非常に深い視点で切り込んおり、一読の価値ありです。
戦略PR 空気をつくる。世論で売る。(アスキー新書)
