もう、着いてから一時間近く経っているだろう。
窓の外には相変わらず仁王立ちしながら、こちらを睨みつける二人のコーチ。

「やはり、とんでもない事が起きてるんやな」

入ってからの経緯、中での事など全てを駐在のI氏に打ち明けた。
「取り敢えずここにいても落ち着かんだろうから所轄署へ行こう」

「はい。」
「では、行こう。」
お巡りさんの後ろに隠れるように歩きながら、外へ・・

「おい、コラッ!」腕をつかまれた。
「なにをしとる!公務執行妨害やぞ!」

手が離れホッとする。

「早く返して下さいや!うちの子を!」
「今から所轄署で取り調べや。終わったらの。さあ乗れ。」

パトカーの後部座席に乗せられる。

去り際にコーチたちの怒鳴り声が聞こえたが、振り返ると渋々合宿所へ戻る姿が見えた。
 

所轄署までは30分以上掛かった気がしたが、遠ければ遠いほど安心する。
二人のお巡りさんに先程と同じ話を簡単に伝えた。
「今夜は遅いからこちらで横になって寝ていきなさい。」
「ありがとうございます。」
ソファーに薄手の毛布を掛けて横になった。

殆ど眠れなかった。

「おはよう。目が覚めたかい?」
「あ、おはようございます。」
「もうすぐ、ご両親が来てくれるから安心しなさい。」
な、何て事を!
「親に連絡したんですか!親は絶対信用出来ないんです!又連れ戻されます!」
「君は、未成年だから保護者に引き渡さなければいけないんだよ。」
「でも、親は絶対信用出来ません!お願いです!もう行かせてください。」
「大丈夫だって、あそこがどういう所かしっかり説明したし、お父様も息子と話し合うと言っていたから。」
「でも・・・」
「大丈夫。お巡りさんを信じなさい。」
「車で来るんですか?」
「ああ、車で来るって言っていた。」
少しでもおかしな動きをしたらぶち殺してやればいいか。どの道二人とも絶対に許さないのだから。
「わかりました。」
「その後の事は、ご両親と良く話しあって。」


別の警察官が入って来る。

「着いたようだよ。」

怒りを鎮める。

顔を見た瞬間爆発しそうだ。

警察署の出口に一台泊まっている車が遠くに見えるが、ウチの車の色ではない。
近づくと見覚えのある車。思い出した。叔父の車だ。


一瞬、嫌な予感がした。

 

なるほど。
両親だけだと怒り狂う思い、叔父を仲裁に呼んだのか・・
 

外に出た。運転席に叔父、助手席に父、母はいない。
直ぐには車に乗らず周りを良く見る。他に車や人の気配はなさそうだ。

車から父が降りてくる。
こちらを見て「大丈夫か?」という。無言で睨み返した。

「すみません。お世話掛けました。」警官に頭を下げる父。
「良く、話あって解決してください。じゃあな。」と言ってこちらを見る。
会釈して後ろの座席に乗り込む。
叔父は前をむいたまま何も言わない。

父も乗り込み車がゆっくり動きき出す。
警察署を出て約1分後、200メートル位か?

 

悪い予感は的中した!