※幽遊白書少々、ハンタは思いっきりネタバレしてしまいますので、ネタバレ注意。一応魅力とかも書きたいし。
※発想の一部は、「山田玲司のヤングサンデー」の冨樫論を一部から。あんまりハンタ見てないらしいけど笑。そこら辺を付け加えたい。てか、山田玲司のヤングサンデーマジで面白いからほんとオススメ。
「冨樫、仕事しろ」
もう定番となったこの言葉。長期休載をしている冨樫先生に対する、読者の不満(愛?)だ。
この「冨樫、仕事しろ」だが、まあ間違いなく本人の目には入ってるだろうが、それを漫画から読み取れないか?と言う話。
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まず今回話題にしたいハンターハンターの蟻編を俺がどう思っているかって話だけど、
「完璧」の一言に尽きる。本気で漫画の歴史変えたと思う。長期休載?許します!!!!!!!って感じ。
巨大蟻キメラアントが、人間を侵食し始め、人間はそれに立ち向かうために討伐隊を結成する…と言う、設定だけならすげえありそう。
ちなみにラストのメルエムを倒す方法について、賛否が分かれているけど、自分の意見としては、「物語のテーマを考えれば必然の選択だが、少年ジャンプの文脈からは大きく外れている」って所。
ジョジョの荒木先生の少年ジャンプ論に「とんでもなく強い敵が出てきた時は、それよりも主人公サイドの奴らがどうにか強くなって勝つ!これだけでいい!!」的なことを述べてる。つまり、少年ジャンプに、リアルはいらないということ。
わかりやすいのはやはりドラゴンボール。フリーザとか、ブウとか、どんなインフレして敵出ても、こっちもインフレして勝つもんね。最近はもう少し多様化しててこの限りではないけど、歩むべき道は変わってないという。
確かにそう考えると、ハンタのメルエム討伐方法は、かなりジャンプにおいて異端であり、ある種叩かれても仕方ない。逆にいうと、「アンチ少年ジャンプ」を掲げている人ほど、ハンタは刺さる可能性が高い。
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んで討伐方法はと言うと、ご存知の人も多いとは思うけど、「核」と「細菌」を蟻側に送り込む。ですよね。
物語序盤は、「人間は脳が美味い」と言うことで、容赦なく頭から食事していく、圧倒的に非人道的な行為を蟻が行い、人間サイドを恐怖に陥れる。
ここで問題なのが、人間を食うことで、人間の知能を蟻が手に入れ始めたこと。
こうなると、「あの強さで人間の知能なんてやべえよ・・!!」的なありがち展開にいくと思いきや、全く別方向へ。
人間の知能を手に入れたことで、蟻側が社会について考えれるようになってしまう。要は、人になっていくんですよね。我々と人間は、共存できるのではないかと蟻の王が考え始めてしまう。「辿り着いた進化は、確実に以前より物事を難しく考えるようになっていた」
ここの蟻→人化の悩み、葛藤がとても上手。人なんてただの食べ物だろ!?と、蟻の中で反乱が起きてしまうのも、社会だよなあって。
最終的に、蟻の王が、人(討伐隊)側のトップに提案をする。圧倒的強さを持った蟻側から見ても、尊敬するべき人間の存在がいることがいることをまず教え、
「たとえば お前達の社会には国境という縄張りに似た仕切りがあるだろう
境の右では子供が飢えて死に
左では何もしないクズが全てを持っている
狂気の沙汰だ
余が壊してやる そして与えよう
平等とはいえぬまでも 理不尽な差の無い世界を」
蟻の王なりに悩んだ結果がこれ。蟻側から見て、人間の一番愚かな点に見えたのは、「武も智も才もない人間がコネクションと言うものだけで国のトップに立っていること。」これだった。それ故の発言だと思う。
これは討伐隊トップ、ネテロ会長はかなり刺さったはず。なぜなら、会長だって、そんな愚かな人間に半ば強制的に依頼され、今蟻の前に立っているのだから。
結局人間側はそれに応じず(個人の心情よりもお偉いさんからの任務を優先するのは、ハンターとしては有能かもしれないが・・?という疑問も残しつつ)、蟻の王と全面的に戦う。
喰らい付くが、やはり人間側は勝てない。蟻側はさらに人間側にリスペクトを送る。「強さでは圧倒的にこちらの優勢なのに、全く攻めれない時があった。人間はすごい。」と言った具合に。
蟻の王は最後にもう一度人間側に提案をするが、会長は任務を全うするべく、核と細菌を起動させてしまう。
結局これで蟻側は滅びる。何がミソって最終的な締めが、「核」と「細菌」という、我々人間が思いつく限りの圧倒的非人道行為で、蟻を制圧してしまうこと。蟻が人へ、人はかつての蟻のように、この移り変わりが本当に丁寧に描かれている。しかも、盲目のため王が蟻だと気づかない人間が、種族間を超えた愛を見せたり…もういろいろ完璧!!!これで1割も説明してないなんて!本当素晴らしき。
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大変なことに、ただ蟻編の感想を書いてる人になってしまっているので、そろそろ本題へ。
結論からいうと、冨樫先生は「冨樫仕事しろ」を確実に見ているし、それに対するアンサーも散りばめているということ。
冨樫先生は漫画に自分の心象風景を入れるのが美味いという考察がある(まさに山田玲司ヤンサンチェック)。
例をあげると、幽遊白書の、暗黒武術会(とぐろ出てくる所)編。途中、幽助がさらなる強さを得るために、会場から抜け出して、修行を始めるというシーンがある。その間は幽助以外で大会を乗り越えることに。
会場は、大ブーイング。「怖くなって逃げたんじゃねーのww」的な罵倒が、会場中に湧き上がる。現場で地獄のような特訓をしている幽助のことなんか、誰も想像しないで思いやりのない言葉をどんどんと投げかける。
要はこの、「観客→幽助」に対するブーイングの構造は、そっくりそのまま「読者→冨樫」に当てはまるじゃないか!ということ。冨樫という作者の「現場でしかわからない辛さ」を幽助のあの地獄の特訓で表現し、読者に突きつけている。非常に面白い。
そして全く同じとも言っていい状況が、実はハンタの蟻編でも見ることができる。
蟻編で、モラウ(討伐隊の一人)がネテロ会長の秘書(名前忘れた、マメーンみたいなやつ)と通話しているシーン。
秘書は、現場にいないので、いわゆる「おエライさん」の立場から、モラウにアドバイスを投げかける。
するとなんとモラウはそれに反論し、「外のお前らのその机上の空論は確かに正しいかもしれないが、リアルな現場にはそこでしか通用しない理屈があるんだよ!」的なことを言ってしまう!!(手元に本がないので、曖昧なの失礼)
こんなのまさに、「もう休んだだろ、冨樫仕事しろ」という読者からの声に対するアンサーにしか見えなくなってくる。このシーン、すげえいいとこなんだけど、最悪削っても本筋には影響さなそうなんだよね。まさに、入れたくて入れてるんだろうなと…。
というわけで、冨樫先生はちょくちょく我々読者に対して、漫画で答えてくれている説がかなりあるので、そこもまた、魅力の一つとして楽しむのがいい・・・あ、今も休載中か・・・・。ゆっくり休めよ・・・。
ちなみに、山形育ちなのもかなりこの説に拍車をかけていると山田玲司先生は言っていたけど、うーんそれはどうなんだろって感じ。
山形は田舎だったし、学生の時に上京していきなり缶詰で週刊連載だから、彼には漫画しか本当になかった。つまり、読者から届けられたストレスも、漫画でしか発散できないから、こういうシーンが生まれるんだという流れ。
面白い話だが、山形大学のパンフのインタビューとか、他の最近のインタビューとか見る限り、ん〜意外に多趣味!wとは思っちゃったから、どうなんでしょう。まあでも、大学時代は漫画描くかファミコンやるかだったみたいなんで、グリードアイランド編は明らかそこからでしょうね・・・。
久々漫画の話でした。次漫画の話するなら、おそらく鬼頭莫宏『ぼくらの』についてな気がします。
死が近いことがわかっていたら、おいそこの気になってるお前!!セックスさせろ!!って思考回路、男の人はわかるわかる!ってなるのか、そうでもないのか、気になってます。
はいおわり