今晩は…リコです。
今日は翡翠の森の物語の続編を書き始めました。
毎日ではありませんが…今しばらく書き続けたいと思います。
毎日出会う事で…みんなが助け合いながら前に進んでいるのを見て…
ここの世界もいいなぁって…思わせてくれた人たちです。
正直…アバターとはいえ、人が操っているのです…心があると思います。
傷つくことも悲しいこともあると思います。でも…心を合わせながら前に進んでる。
私に感動を与えてくれたこと…感謝します。
そしてこの物語を朝会の皆さんに捧げたいと思います。
…翡翠の森の物語…
深い深い森のその奥には、翡翠が眠る泉がある。
その泉を守るのドワーフの村人たち…。
翡翠を守るため…仲良く助け合って生きている…優しい仲間たち。
そう…私は風の精のシルフ…村人をずっと見守っている。
今日も村人のろくさんとサクちゃんを守るため…2人の周りを見守っていたの。
この場所はドワーフの村から離れていて、森への出口に誘い込むための鏡が設置されている。
森の中では高い木々の葉が揺れあう、その隙間から陽が差し込み…陽だまりのスポットを作る。
スポットの当たった所から明るくなり、森の中の様子がキラキラと輝いているのが見える。
小さな妖精のドワーフたちには、小さな草むらでも大きな森のように見える。
その草むらの中で、草が動く一角があった。私が風を起こしているのではないの。
そこで、ろくさんとその弟子サクちゃんが何か忙しそうに動いている。
どうやら昨日の大雨と大風の嵐のせいで鏡がずれたらしい。それをろくさんとサクちゃんは直しに来ていたのだ。
2人は発信機と本部にいる社長と話すためのインカメの付いたヘルメットを被っている。
発信機がついているのは、2人にもしもの事があった時探すための物。
インカムで本部にいる社長からの指示により、ろくさんとサクちゃんは動いていた。
『ろくさん、目の前の鏡の位置…右の鏡1個分ずつずれているから直してくれ』
「目の前って…これですかねぇ」ろくさんは目の前のずれた鏡を見つけ…直し始めた。
鏡は1つ1つ裏に、細くて固い針金のような物が4か所に止められ…その一つ一つを引っ張ったり、押したりすることで自由に角度を動かせるようになっている。
針金のような物は、地中の中に埋め込まれている管の中に収められ…地上には出ていない。
そんな鏡が置かれている場所は、道から外れた場所の森の中に何十か所もある。
鏡の点検には定期的にろくさんとさくちゃんが回っているのだが、今回は昨夜の嵐の為に修理が必要な場所にやってきた。
ろくさんとサクちゃんの目の前には、人から見ると新聞紙1枚くらいの鏡が、綺麗に100枚程並べられている。
その中で大きくずれた鏡を元通りに直した後の今は微調整中。
ここの鏡は葉の下から上を映すために、敷き詰められている。
所狭しと置かれた鏡を、微妙に動かしながら迷い道を作ったりする場所なので修理や点検も神経を使う。
「こんなもんかねぇ…」ろくさんが調整すると…
『あぁ…いいね』と社長が答えてくる。
「サクちゃん…ろくさんが直した鏡の下が、少し光り過ぎて見えにくのから位置をずらしてみて」
社長の注文に…
「ここですか?」そう言いながらサクちゃんも器用に鏡を直していく。
「こんなもんですかねぇ?」調整しながらサクちゃんが聞くと…
『それでOKね』社長が笑顔で答えてくる。
「じゃぁ、ここはこれで終わりね」と…ろくさんの言葉に、
『はい。ご苦労さん…2人とも気を付けて帰って来いよ』
社長の言葉に…ろくさんとサクちゃんは顔を見合わせ、安堵したように微笑み合う。
荷物を片付け終わった頃、うさぎさんがヒロさんの作った元気が出る木の実で作ったお茶を冷やして持ってきてくれた。
「お疲れ様…ろくさん…サクちゃん」うさぎさんはにこにこ笑ってる。
「ありがとう。でも、この道を1人で来たの?」ろくさんは驚き、うさぎさんに思わず聞いた。
「うん。この道は従妹が住んでいる近くだし、いざっていう時の為に見ておきたかったの」
明るく屈託なく答えるうさぎさん。
「だめだよ。こんな薄暗い道を一人で歩いてくるなんて…とっても危険だよ」
サクちゃんは心配そうに答える。
「そうだよ。お茶を持ってきてくれたのは本当に嬉しいけど、ここは大きな犬が徘徊してるからね。今度からは1人で来ないようにしなさいよ」ろくさんの言葉も心なしか厳しい。
黙って聞いていたうさぎさんは、うなずきながら笑っている。
2人が心底心配してくれるのが、涙が出るほど嬉しいうさぎさん。でも…笑って誤魔化す。
「笑い事じゃないって…」サクちゃんは心配そうにうさぎさんを見つめる。
そうなんです…この森で一番危険なものは、野犬なんです。
森の奥の動物たちと村人はみんな仲良しなのだが…人に飼われていた野犬は中々なじめないのだ。
うさぎさんは持参したカップに、冷たいお茶を注いで2人に渡す。
ろくさんもサクちゃんもカップを受け取ると、おいしそうに一気に飲んだ。
「あぁ…生き返るな。夕べの雨で地面が湿っていて…むせ返るようだった」
冷たいお茶を飲んで、ほっと一息ついたろくさん。
「ご苦労様。村の中は快適だけど、ここは違うもんね」
うさぎさんの言葉に、ろくさんもサクちゃんも頷く。
「さぁ…帰りましょ。ヒロさんが美味しい夕飯を作っているし…翠さんやかずよさんが待ってる」
うさぎさんの声掛けにろくさんは嬉しそうに頷きながら…
「そっか…じゃぁ、サクちゃん帰ろうか」
頷くサクちゃんも荷物を背負い…3人で歩き始めた。
私は後姿に爽やかな風を送った…。
…つづく…