「巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災」
永幡 嘉之
定価: ¥ 1000


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東日本大震災の津波は、仙台湾に点在する干潟に生息する生物種に大きな影響を及ぼしました。

しかし、その後、これまで経験したことのないほどの大きな変化を経験した沿岸生態系が、どのように回復していくのかはわかっていませんでした。

東北大学大学院生命科学研究科、国立環境研究所、東北大学大学院農学研究科、埼玉県環境科学国際センターおよび宮城県仙台二華中学校・高等学校を中心とする研究グループは、延べ500人の市民ボランティアの協力を得て、仙台湾に点在する8つの干潟を対象に、東日本大震災後10年にわたる生物多様性調査を実施しました。

その結果、多くの干潟において震災7年後には震災前の生物種が戻り、干潟生態系が津波による生態系撹乱から回復したことが確認されました。

これらの結果から、東北沿岸の干潟はレジリエンス(大きな変化からもとに戻る回復力)に富んだ生態系であることが分かりました

この研究成果は、2022年11月10日付けで、Wiley社から刊行される『Limnology and Oceanography Letters』電子版に掲載されました

この研究は、将来的な気候変動に備えて、沿岸生態系が強い回復力を持っていることを示しており、自然災害が生じてもやがて生物群集は元に戻ることを示唆しています。