まずは男子シングルの順位から。
ユヅリストさんたちの主張
・羽生選手は「不正なジャッジ」で負けた
・羽生選手は「ハードスケジュール」を強いられて調子を落とした
・全日本の会場は羽生選手にとって「アウェイ」だった
前編では
まず、ジャッジについて
下の数字はショートプログラムのPCS（左からJ1～J9)です。二人ともノーミスの素晴らしい演技だったのでものすごい高得点。（＊宇野選手は4T-3Tの予定を4T-2Tに変更したため基礎点は下がっているがきれいに着氷しているのでPCSに影響はなしと思われる）
宇野選手
羽生選手
2人の差（羽生ー宇野）
点差ごとにまとめると
採点は10点満点で0.25点刻みですが、羽生選手は9.25～10.00、宇野選手が8.75～9.75。ジャッジ９人×５項目、それぞれ45個の数字が並んでいますが、宇野選手が上は一つもありません。大差ならわかるのですが45個中32個が0.25以内というものすごい僅差なのに一つもないのです。これは、二人ともノーミスならPCSは羽生選手の方が上という暗黙の了解、つまり格付けがジャッジ側にあるということではないでしょうか。
ショートの基礎点差は1.6点（羽生選手が上）。ジャッジの裁量で調整できるGOEとPCSを合わせるとその差は５点にまで広がりました。ここには作為的に宇野選手を勝たせようというジャッジの「意図」は見えません。フリーの出来次第ではありますが、この時点では明らかに羽生選手が有利でした。同程度の出来なら格上の羽生選手の勝ちということ。
私はショートもフリーも現地で見ましたが、宇野選手のフリーが終わった後、優勝は羽生選手だろうと思いました。ショートの点差、採点傾向を見る限り、宇野選手が羽生選手に勝つには完璧な演技をした上で羽生選手のミス待ち。それなのに宇野選手の演技は完璧ではなかったからです。ところが、羽生選手がミスを連発し、予想外の崩れ方をしたので宇野選手に優勝が転がり込んだ。
フリーはぼっち観戦で、私は前後左右を羽生ファン（プーさんグッズや手作り紙バナーを持っていたので判別可能）に囲まれていましたが、羽生選手がミスをする度に応援する人たちのテンションも下がるのを肌で感じました。特に最後の３Aの転倒（コンビネーションをつけられなかった）は得点を大きく失うミスで、演技終了後は本人もファンも「今日は負けたな」という雰囲気でしたよ。ネット上でも「不正で負けた」などと言う人は見かけなかったと思います。なぜ半年も経って「不正で負けた」などと言い出すのか理解に苦しみます。
この記事を書くために、宇野選手と羽生選手の演技をフジテレビの公式動画とプロトコルで再確認しました。基礎点は羽生選手の方が2.75点上、PCSは宇野選手がちょうど1点上ですが、GOE合計で大きな差がつきました。宇野選手は13.59点、羽生選手は0.03点。ちなみに鍵山選手は４T２本の構成ですが、19.36点ものGOEを稼いでフリーの技術点だけならトップです。羽生選手の敗因はジャンプのGOEのほとんどがマイナスだったこと。
宇野選手のミス
３Loでお手付き。
３Aオイラー３Fの予定が１F（着氷などはきれいだったのでGOEは＋）
羽生選手のミス
単独４Loと４Tでステップアウト
単独ルッツが２Lzに
４Tオイラー３Fの３Fが回転不足でステップアウト
３A ３Tの３Tが回転不足（GOEは＋）
３Aが回転不足転倒でコンビネーションに出来ず
四回転ジャンプの基礎点が大きく下げられ、GOEの幅が５段階になった今のルールでは、同じ構成でも出来次第で点数に大きな差がつきます。高難度ジャンプをきれいに決めればものすごい高得点になりますが、失敗するぐらいなら低い構成でも完璧に決めた方がいい。高難度ジャンプはハイリスク・ローリターン（バンクーバーごろまで）→ローリスク・ハイリターン（回り切れば転倒しても高得点）を経て今はハイリスク・ハイリターンの時代になったということですね。
最後に宇野選手のジャンプに難癖をつけているユヅリストさんたちにぜひ見ていただきたい動画があります。フジテレビ公式にある宇野選手のショートの４Fのマルチアングル動画（PC画面を撮影したもの）。元動画はこちら。
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