「トランスジェンダーになりたい少女たち」について | トランスの子どもの育児、エラーのブログ

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話題になっているヘイト本、「トランスジェンダーになりたい少女たち」について、既に多数が検証し問題を指摘しているが、私自身も刊行当時から原書を読み検証を行ってきて、大まかには以下の様な問題があることを、まずは指摘しておきたい。

 

多数の誤情報/引用されている学術データの殆どは著者の主張を裏付けない/インフルエンサーと称され登場するトランスの当事者達は言っていないことを無断で書かれたと訴えている/突発性性別違和-ROGDは科学的に立証されていないばかりか「突発」の定義すら不在/トランスに反対する親の話しに偏り、実際に性別違和に苦しむティーン当事者からの聞き取りが皆無/著者が主張する様な、未成年でブロッカーやホルモンを利用して実害を受けたり後悔したという当事者が一人も登場せず、登場人物達は成人してから医療を受けている/著者はトランスの当事者たちをミスジェンダーしている/トランスの女性達に纏わる話を挙げ、性別違和の存在自体を否定している/著者が訴える様に学校や医療者が手伝い未成年者が容易に医療を受けているという事実はない

 

著者は若い女性達のことを非常に軽視し、彼らの判断力や自己決定力を否定するといった反フェミニズム的な思想を持ち、パターナリズム、家父長制を推奨している。

 

 

 

そこで今日のブログでは、同書籍の著者であるアビゲイル・シュライアーについてと、ヘイト本の執筆から刊行、刊行後に至るまでを時系列で簡単に記しておこうと思う。

 

 

アビゲイル・シュライアー Abigail Shrier

 

共和党支持者/プロ・イスラエル/祖父、両親が裁判官

イェール大学の法学部を卒業/クラスメイトだった仲良しが極右支持者の共和党議員Josh Hawley氏(トランプ当選の鍵を握る人物)

 

結婚と共にノン・オーソドックスのユダヤ教徒からオーソドックスのユダヤ教徒に転向

 

*ノン・オーソドックスのユダヤ教が比較的リベラルなのに対して、オーソドックスはより厳格で保守的で、性役割が重要視される

 

オーソドックスのユダヤ教徒でありながらも、福音派キリスト教の思想や価値観に共鳴するという記事を執筆 https://www.wsj.com/articles/the-new-jewish-christian-amity-1536356083

 

*福音派キリスト教は非常に保守的で家父長制を重んじ、反人口中絶、反LGBTQ+に力を入れている

 

2014年からフリーランスライターとしてユダヤ教雑誌やフェデラリストでコラムを執筆する様になり、その後ウォール・ストリートジャーナル紙から引き抜かれる

 

2018年に”The Transgender Language Warートランスジェンダーの言葉戦争”という記事を執筆し、「学校では「性別は二つではない」と教え、神の創造を否定するような教育が行われている」と訴え、シュライアの元に子供が性別違和を訴えると悩む親から手紙が来る https://www.wsj.com/articles/the-transgender-language-war-1535582272

 

2019年に”When Your Daughter Defies Biology 娘が生物学に逆らう時”という記事で、既に検証され多くから否定されていたLisa Littman博士(ブラウン大)の性別違和の社会的伝染説ROGDについて書き、トランスに批判的、懐疑的な親たちから大反響と感謝の声が上がる https://www.wsj.com/articles/when-your-daughter-defies-biology-11546804848 

 

 

Regnery Publishing 出版社から契約のオファーを受ける

 

*同出版社はクリスチャン・ナショナリズム運動を推進する為に的確な人物を選び、過去にはドナルド・トランプ、テッド・クルスといった、他の出版社が扱わない様な人々の書籍も販売することで知られている。また、創始者のRegnery氏はナチスシンパでアメリカに右翼思想を広げようとしていた。

https://www.washingtonpost.com/news/reliable-source/wp/2017/10/05/ann-coulter-and-fellow-conservatives-celebrate-the-most-dangerous-publisher-in-america/

 

2020年3月にAmazonの社員がIrreversible Damageの内容がトランス差別であるとして、発売禁止を求める署名運動が行われ500名が署名したものの発売中止とはならず、刊行直前に有料広告キャンペーンの中止が決定した https://en.wikipedia.org/wiki/Irreversible_Damage

 

2020年6月にRegnery Publishing よりIrreversible Damage 刊行

 

*書籍の内容はティーン年代の女性についてであるのに、カバーの絵は幼稚園児と思われる様な年齢の女児で、腹部は大きく丸くくり抜かれており、少女達の生殖が脅かされていることを示して恐怖やパニックを誘う様に見える

 

極右メディアで絶大な人気を誇り、Facebookで最も影響力の高いDaily Wireの創設者であるBen Shapiroのショーに出演し、自著のプロモーションを行う

https://www.youtube.com/watch?v=9uSlmfp7euo

 

ポッドキャストで最も影響力を持ち、「コロナワクチン危険説」を流布したJoe Roganのショーにて自著のプロモーションを行う

https://www.youtube.com/watch?v=6MYb0rBDYvs

 

2021年5月に、極右団体PragerUの教育動画”Why Girls Become Boys”「女の子が男の子になる時」に自ら出演する https://www.youtube.com/watch?v=F7bMJd_QAXs

 

ニュース番組では全米で最も視聴率の高いFOXニュースのTucker Carlsonの番組に出演

 

*Tucker Carlsonは以来トランスに執着し、2022年には3週間の間に170ものトランスに関するセグメントを放映した

 

2023年12月に、”This Is Not a Drill -   The Anti-Semitism Epidemic これは訓練じゃないー反ユダヤ主義の蔓延” を執筆し、トランスの活動家、LGBTQ+などの左翼はハマス信奉者で、反ユダヤ主義であると訴えている https://www.commentary.org/articles/abigail-shrier/hatred-unites-leftist-activists/

 

 

ご存知の通り、アメリカでは同書籍は多数売れ、その結果として書籍の中で著者が、性別違和を訴える子供に対して行うよう提案していることを、実際に行った親達の犠牲になったトランスの若者達が出ている。性別違和を否定され、携帯やネットから取り上げられ、友人から引き離され、隔離され、転向療法を強制され、人生を滅茶苦茶にされた若者達が後に訴えている。おそらく今もネットから遮断されていて訴えられぬ人もいるだろうし、命を失った人もいるだろう。

 

そう、人命を危険に晒す可能性を持つ書籍なのだ。あんなにも必死で私たちが発売中止を求めたのには、その様な理由があったのだ。