私の予想の遥か上空で大騒ぎになっている「テラスハウス」の件。
木村花ちゃんの件に関しては
お悔やみ申し上げますとしか言いようの無い状況でありまして
”番組内での花ちゃん”をあまり好意的に見ていなかった私ですら
彼女が自ら死を選択し、この世を去った日からずっと考えてしまっています。
悲しいとも違うし、寂しいでもない。
言葉にしづらい喪失感に付きまとわれたまま数日が過ぎました。
まだ全然まとまっていないのですが、思いついた端からつらつらと書きます。
他人の不幸に託けて、「かつて自分もやられました!」と
殺しても死ななそうな芸能人が名乗りをあげていたり
現代の武田鉄矢かよみたいな口ぶりで
薄っぺらい正義を語る筋肉バカとか、色んな人が湧いて出てきています。
花ちゃんの死を利用しているという点では、
彼ら(彼女ら)もこの件に”あいのり”してるわけですよね。
フジテレビ繋がりで上手いこと書きましたけど、私はそんな人達のことも、
花ちゃんのSNSに連日突撃していた奴らと同じように嫌悪しています。
今回の件は本当にたくさんのメディアが取り上げていて
テレビ、雑誌、Webとありとあらゆるところで報道されています。
Netflixは全世界配信ですから、海外のニュースでも取り上げられましたし
花ちゃんや他のテラハメンバーのSNSには
日本語ではないお悔やみのメッセージもたくさん寄せられています。
花ちゃんの名誉を傷つけるつもりは毛頭ありませんが
人がひとり死んで、ここまで色んな世代、立場の人たちが
喧々諤々に意見を闘わせることって、
かなり昔まで遡って考えても多くないんじゃないでしょうか。
花ちゃんの死が、トップアイドルだった岡田有希子の自殺にも匹敵する
インパクトを社会に与えたとすれば、「テラスハウス」という番組の、
ひいてはリアリティーショーという形式の功罪を考えざるを得ません。
リアリティーショーって功も罪もとてつもなく大きいんですよね。
卒業間近な女子大生のSNSフォロワーが何万人にもなったり
気の良い大学院生の兄さんがアイドルと結婚したりといった
正のミラクルをいくつも起こす反面、番組内での行動が原因で
激しいバッシングが起こることも一度や二度ではありませんでした。
正のカードを引けば天国、負のカードを引けば地獄の
ハイリスクな同居生活に志願する人の多くは
俳優の卵かグラドルといった、いまいち殻を破れない有名人でしたから
叩かれる痛みと知名度アップを天秤にかけてじっと耐えていたんでしょう。
今回の場合は、花ちゃんの引いた負のカードが強過ぎたのに加えて
コロナ禍により不要不急の外出や3密を避ける生活を余儀なくされ
諸問題を彼女がひとりで背負わなければならなくなった。
友達とご飯を食べながら愚痴ることも試合で発散することも出来ず、
SNSを開けば罵詈雑言の嵐が吹き荒れている毎日で
心が疲弊しきっていったことは容易に想像がつきます。
「テラスハウス」は収録から配信までに2ヶ月のタイムラグがあり
SNSの反応を見て彼女が「辞めたい」と思ってもあとの祭り、
録画済みの番組は予定通りに配信され続けます。
ネットの悪口なんて便所の落書きと割り切ることも
毒を以て毒を制するほどの老獪さも持ち合わせていない花ちゃんは
本来ならばかすり傷ひとつも与えられないはずの言葉に
プロレスで受ける身体的な苦痛以上のものを感じ
自分で自分を葬り去ってしまった。
リングサイドからタオルを投げ込んでくれる人のいないコロナ禍では
それしか手段が無かったのかもしれません。
花ちゃんが死を選択したことは大変残念ですが
「死ぬより辛い現実」を少しだけ経験しているひとりの人間として
「やっぱり生きていたい」と思えるだけの希望を
周りから得られなかったのであれば、仕方ないかなと思う部分は正直あります。
リストカットの跡の多さからしても
周囲の人間が全く気づいていなかったとは考えづらい。
全ては団体の知名度アップのためと
運営が見て見ぬ振りをしていたのかは知りませんが、
必ず誰かにはSOS信号を出していたはずなんです。
それを受け止めてできる限りの救済策を講じた上で
今回の結果があり、そのことで無力感に苛まれているなら
「あなたのせいではないよ」と声をかけても良いですが
何もしなかったのならば、やれ訴訟だのやれ追悼公演だのと
商売っ気を出す前に、まずは組織の在り方を
根本から見直せと思ってしまいます。
ネットでは今回の件について
・リアリティーショー全滅しろ
・テラスハウスの演出担当が悪いだろ
・炎上を扇動していた山ちゃんが主犯だろ
というのが、Yahoo!掲示板・5ch・はてブあたりを
見回った上での3大勢力となっています。
しかし、山ちゃん主犯を推す人の多くは視聴者でしょうが
残りの2つの意見を主張する人の多くは
そもそも「テラスハウス」を見ていないんじゃないでしょうか。
そこで、ひとつ聞いていいですか?
見てないのに何で語るの?
「私は見なくても下らないとわかる優れた人間である」と
謎の上から目線でテラハ視聴者を見下すような発言をする人もいて
激しい違和感を覚えてしまいます。
見なくてもわかるって、お前はエスパーかよ。
「たまたまテレビでやっていて数分だけ見ましたが
下らなくてすぐチャンネルを替えました」とかもね。
お前はドラマや映画を数分見て判断すんのかと。
しかもたまたまザッピングで見かけた、冒頭からですらない途中からの数分で。
大した能力だなおい。
「テラスハウス」は2012年から8年、
1stシーズンの後日談として制作された映画は1位を獲得し
Netflixにフィールドを移してからも
最新回は再生回数1位になるほどのドル箱コンテンツです。
ネトフリでの配信になったことで世界中にファンが増加し
海外にロケに行った先で声をかけられることが増えたと
YOUや山ちゃんが番組内で言っていました。
ジャニーズの曲やジャニーズ主演の映画やドラマはつまらないと
十把一絡げにして語る人の多くが、実は曲も映画も大して知らないのと同じように
テラハを見てもないし関心もない人が、生理的に受け付けない、
嫌いだと言う感情を正当化するための理由として花ちゃんの死を利用し
「ほーら見ろ、人が死んだぞー!」と得意げに語る姿は
SNSに突撃したアンチと大差ないように私には見えます。
美味い不味いを語るならまず喰ってから。
面白い面白くないを語るならまず見てから。
当たり前の話じゃないですか?
テラハについてあまり知らない人が
「どうせやらせでしょ?」とか「全部台本あるくせに」と書いてるのも
良く見かけますが、私はその意見を読んだ時点で
「ああ、この人は見てないな」とすぐにわかります。
「リアリティーショー」とは「リアルっぽい」+「ショー」であって
「完全なリアル」でもなければ「完全なフィクション」でもありません。
「花ちゃんの名誉のためにやらせだって吐けよ」と
番組側に迫る意見も何度か見かけましたが
私が番組のスタッフでもすぐには回答できないと思います。
だって、半分がノンフィクションで、半分がフィクションなんですから。
テラハのメンバーは芸能事務所所属のタレントの卵や
パッとしないミュージシャンやグラドルが多いのは事実です。
100%完全なオーディションで入居者が決められているとは私も思っていません。
おそらく事務所からの売り込みがあり、キャラクターを吟味した上で
面白いと判断した人が選ばれているんでしょう。
中には卒業間近の大学生が入ってきて
本当に2ヶ月でパッパと出ていった人とかもいますから
芸能関連からの選出8割、一般2割ぐらいの比率で構成されていると予想します。
1stシーズンからサーファー繋がりのメンバーがずっと出ていたりもするので
「笑っていいとも!」のテレホンショッキング的な感じで
メンバーからの紹介で入居した人も一定割合でいそうですよね。
何が言いたいかと言うと、
結局みんな素人同然
ってことなんです。
わかりますか?この意味。
全て台本の上で展開しているドラマだとしたら
この番組は金の卵だらけということになります。
だって、彼ら(彼女ら)が番組内で見せる仲睦まじい姿や
時に真剣に言い争いをしたりする姿は造りものには見えないから。
舞台やシチュエーションは造りものでしょうが
そこで起こる会話や出来事の全てがフィクションだとは
私にはどうしても思えない。
もし仮に全てが演出されたものならば、
メンバーは全員日本アカデミー賞にノミネートされるレベルの俳優として
とっくの昔に大ブレイクしているはずです。
しかし、テラハを卒業した後も役者やモデルとして
生き残っているのは僅かしかいません。
菅谷哲也、島袋聖南、岩永徹也、筧美和子、永谷真絵(Chay)、
丹羽仁希、奥山春花(春花)。
現在もたまに芸能界で名前を見かけるのはこんなもんかな?
CMとかでちらっと見かけるレベルでも良ければもう少しいますが
いずれにせよ一般の人もそこそこ知ってるのは
比較的女優業も安定している筧美和子か、「プレバト」に出ている岩永徹也か
「やすらぎの刻」の「道」に出ていた哲ちゃんこと菅谷哲也ぐらいでしょう。
その3人だって、大きく成功した作品があるわけじゃない。
哲ちゃんなんて、テラハにいた時は未熟さも含めて魅力的な人間でしたが
役者業になるとただの田舎もんの青年しかできません。
はっきり言って大根です。
テラハであれだけの芝居ができたのに、
卒業したら下手になるとか、一体何の冗談なんでしょうか。
番組に出たからと言って、実力の伴わない中途半端な芸能人は
中途半端な芸能人のまま。
だからAKBグループのように、卒業するとほとんどは生き残れない。
それこそが、この番組が「リアルっぽいショー」である証拠です。
告白ボーナスが5万円、キスボーナスが10万円なんて暴露話もありましたから
番組側が出演者をその気にさせるために盛っているのは間違いないでしょう。
大まかな設定だけを決めておいて、あとは各自よろしくねなんていう
指示も出ていたでしょう。
そこは私も認めますし、そんなことはテラハを見ているほとんどの視聴者が
理解した上で、YOUのお決まりの文句「台本は一切ございません」を
言いっこなしの様式美と捉えて聞いてるんですよ。
「本当にあった呪いのビデオ」を「本当にあった」と思いながら
見ている人が一体どのぐらいいます?ほとんどいませんよね?
デートに行く道中の車の映像を目的地の方向から撮影するとか
暗闇で告白するシーンなのにキスする瞬間花火がドーンで綺麗とか
全員が思いつきで行動してたら撮れるわけないですもん。
舞台装置が素晴らし過ぎて、本人達も予想していないほど
「その気」になった瞬間をカメラが捉える。
生意気にも演技をしようとしてた出演者が、ふとした瞬間に見せる素を切り取る。
これこそが「テラスハウス」の真髄だと私は思っています。
聖南さんのキャラとか、あんなの芝居できるはずないじゃんね。
できたらとっくに小沢真珠の後を受け継いで「牡丹と薔薇」のリメイクやっとるわ。
念のためお断りしておきますが、ここまでダラダラ書いたからと言って
私は番組の存続を希望しているわけではありません。
終わって当然だと思っています。
ただ、花ちゃんの件は非常に多くの不幸が重なった上での出来事であって
戦犯が誰であるかを特定するのは困難だということです。
ここ数ヶ月、山ちゃんのいじりが度を超していたのは事実ですし
鎮火しかけていたウェア洗濯事件の後日談を、わざわざ3本立てにして
YouTubeに配信した番組スタッフに悪意がなかったとも思えません。
複合的な要因が考えられる状況で、花ちゃん本人による戦犯を名指しした
遺書でも見つからない限り、これ以上犯人探しをしたところで
不毛な争いを生むだけです。
Amazonプライムビデオで配信中の「バチェラージャパン」で
3代目バチェラーを務めた人とその彼女との顛末は
全視聴者を唖然とさせ、SNSは荒れに荒れましたが
すぐさまコメントをクローズしていつの間にか鎮火しました。
花ちゃんにそういうしたたかさが伴っているか
そうアドバイスしてくれる人がいれば、
もしかしたらこんな悲劇は防げたのかもしれません。
何の結末も用意せず勢いで書き始めたのでこんなところで。
木村花さんのご冥福をお祈りいたします。
まさかこの記事をアップした直後にこんなのが。
まぁ、大筋において予想してた通りの内容なのでさして驚きもありません。
「人が死んでから言うなよ」とは思いますがね。
生きてるうちに言ってやれよ。
死んでからもらう国民栄誉賞じゃあるまいし。