下心丸出しのタイトルって恥ずかしいね、ちょっと後悔。

さて、ここ最近スピリッツ廃刊しろとか小学館潰せとかぎゃあぎゃあ五月蝿いこと。
五月の蝿と書いて五月蝿いとは良く言ったもんです。
でも、本当に困ってるのはあの中の極一部で
大半はただ火事をデカくして遊んでるだけの、愉快犯っていう名の蝿でしょ?
祭りに参加してる人の多くは、STAP細胞・小保方ちゃんの会見に飛びついたり
オバマが招待された寿司屋「すきやばし次郎」のメニューをググったり、
ニュースの中身よりも白ぶちの眼鏡に突っ込みが集中したフッくんについても
あーだこーだ言ってそうな、「ふわっとした正義」を掲げた
困ったちゃん達なんでしょうけども、バカッターひとりを血祭りにあげるのとは
訳が違いますから、こんなことで小学館潰せとか笑止にも程があると思うわけでございます。
ここぞとばかりに腕まくりして能書き垂れてる橋下徹なんて
支持率急落から挽回するチャンスぐらいにしか思ってないのがミエミエ。
金魚のフンの松井も含めて、お前らもっと先に解決することあるだろう。暇人か。

長いって思われるとアレなんで先に表題の質問もしとこうかな。

「美味しんぼ」を叩いている方々は、では今すぐにでも福島に移住して
地産地消の精神で地元で収穫された野菜や水揚げされた魚を食べて生活できますか?


妊娠中の奥様やその旦那様、小さなお子さんのいる方などに特に聞いてみたいですね。

で、件の「美味しんぼ」が掲載されたスピリッツ、私も買いました。
実を言うと「美味しんぼ」は100巻ちょっとぐらいまでは集めていて
長風呂のお供として長年愛読してたんですが
究極と至高の対決が豪華食材から「米」だの「水」だのと基本重視の傾向が強まり、
雄山も「それを言っちゃあおしめえよ」的な発言が増え始めたあたりから
少しずつ距離を取り始め、ついに買わなくなりました。
山岡さんがオーストラリアに出向いて蜜蟻にかぶりついたり
芋虫を焼き始めた頃から、もうグルメ漫画ではなくなってきたなと感じてたんですが
惰性というのは恐ろしいもので、しばらくは買い続けたんですよね。
別れるのも面倒な、関係の冷えた夫婦のように。

今回久しぶりに読んだ私の感想は
ホント正直に「お変わりないようで」ぐらいしか無かった。
「美味しんぼ」歴の長い人なら、みんなそう思ってるんじゃないかな。
原作者の雁屋哲って人は、昔から大阪弁で言うところの一丁噛みな人なんですね。
:何にでも口をはさむ人、何にでも首を突っ込んでくる人、またその行為)
捕鯨(鯨食)問題、残留農薬問題、食品添加物問題、
さらには米不足によるタイ米の輸入拡大、いじめ問題にも言及し
チェルノブイリやオーストラリアの白豪主義についてまでも
食に絡めて一説ぶつような人なんです。
特に自然破壊については頻繁に取り上げられてきました。
山岡さんや雄山の矛先は常に「国」です。
暇と金を持て余す美食家の戯言で済まさず「食と安全」を追求する姿勢こそが
「美味しんぼ」がこれほどの長寿マンガになった最大の理由と言って良いでしょう。
じゃなきゃ、虫だの水だの言い始めた時点で打ち切られてますよ。
人情劇として見たら「深夜食堂」の足元にも及ばないレベルですしね。

雁屋氏本人も編集者も、何故今回だけこれほどの騒ぎになっているのか
実は良くわかっていないんじゃないかな?
「美味しんぼ」歴ン十年の読者である私から見れば
それほどの平常運転ぶりですから、火消しに動いた小学館の対応が
後手後手に回っているのも仕方のないことかも知れません。
「え?先生っていつもこうだよ?」みたいな。
本題から逸れていっちゃうとマズいんでここでもっかい聞きますね。

「美味しんぼ」を叩いている方々は、では今すぐにでも福島に移住して
地産地消の精神で地元で収穫された野菜や水揚げされた魚を食べて生活できますか?


私の返答は「NO」です。

放射脳とでも何とでも、好きなだけの蔑称を使って
罵っていただいて構いませんよ。

私の返答は、断固「NO」です。

これって動物に備わった防衛本能みたいな部分での話なので
政治家がポーズで福島の野菜を食べようが
どこぞの学者先生が安全だと太鼓判を押そうが「NO」なんです。

騒動が起こり始めた最初の頃こそ小学館や雁屋氏が
一方的に殴られまくるサンドバッグ状態でしたが
ここ数日は揺り返しのように「いや、実際体調不良がありましたけど」
「体調不良があったとしても口外できない空気がある」なんていう声も出始めて
まだしばらく「ないに決まってる!風評被害!」
「あったっつーの」の綱引きは続きそうです。

専門知識を持たない一般人にとって、放射能やSTAP細胞は「良くわからんもの」です。
割烹着姿の阿呆方が涙目で「ありまーす」って宣言すれば
何割かは「あるかも」って思っちゃう程度の知識しかないわけですよ。
そこに科学的見解なんてものはひと欠片もなくて
「小保方ちゃん可哀想」「悪い人には見えない」っていう
自分の中にある物差しを無理矢理あてはめて、善悪と真偽をごちゃ混ぜにしてしまう。
唯一の手がかりは専門家の先生なんでしょうが
これがまた色々なことを色々な立場から言うじゃないですか。
どっちを信じればいいんじゃい、みたいな。

今回の「美味しんぼ」についてだって、作中に登場するのも先生、
ネットやニュースで腕まくりして否定しているのも先生。
私から見ればどちらも「難しい研究をしている人」でしかありません。
どちらの言っていることが正しいかなんて、これから数十年の歳月をかけて
福島に住んでる方々、将来生まれてくるお子さん、お孫さん達が証明していくまで
誰にもわからないんじゃないですかね。
少なくともチェルノブイリには「チェルノブイリ・チルドレン」っていう言葉が
生まれたほどの影響が出たわけですし、あの規模を超えたと言われている
今回の原発事故に対して、得体の知れない不安を抱いている人は山ほどいるでしょう。
「美味しんぼ」を潰そうがスピリッツを廃刊に追い込もうが、この不安は消えません。

じゃあなんでそんなに不安なのかっていうと
移ろい易い国民感情を利用して、「実はこうでした」方式で
隠蔽していた事柄をチョロチョロと小出しにする東電や
好都合と不都合によって声の大小をコロコロ変える政府のせいですよ。
「深刻な風評被害を起こす漫画は看過できない」としゃしゃり出てきた背後では
福島第一原発付近の地下水に含まれるトリチウム濃度が過去最高値を更新し
汚染水を浄化する装置「ALPS」が機能停止していたりするわけです。

地下食品売り場で買い食いしたり「笑っていいとも!」に出演する映像は垂れ流すくせに
原発の管理体制が震災後3年経っても問題山積みなことは口にしない。
「美味しんぼ」の内容を非科学的だと批判する学者先生に発言の場は設けるけど
福島県の子供を対象にした甲状腺検査で、癌と確定した子が50人、
癌の疑いとされた子が39人もいたことはほとんど報じられない。
「消費増税の影響は軽度」とドヤ顔で言ったかと思えば
4月から国家公務員の給料が年間420万円も引き上げられたことには知らん顔を決め込む。
プロモーション施策と隠蔽工作を使い分けるその狡猾さこそ
国民の間に漠然とした不安が広がる元凶であり
今回の「美味しんぼ」はその不安をクリティカルに刺激しただけでしょう。

「美味しんぼ」がノンフィクションとフィクションを混同しているという指摘は正しい。
でも、そんなことが問題なら連載開始から何年経ってるんだという話ですからね。
ここでマイケル・ムーア監督を引き合いに出すのが妥当かは分かりませんが
ドキュメンタリー映画であっても、監督の政治思想は作中に色濃く反映され
ある種のプロパガンダに利用されます。
エンターテイメントを楽しむ側は、作者の立ち位置を理解した上で
結果として面白ければOK。そういうものじゃないんですか?
雁屋氏がバイアスのかかった作家であることなんて
「美味しんぼ」の読者なら30年前から知ってます(笑)

作品にバイアスかかっていると責められるってんなら、
特攻を英雄として描いちゃってる「永遠の0」だってアウトでしょう。
私はあの映画の中で三浦春馬が
「特攻と自爆テロは全然違うよ。自爆テロは関係ない一般人を巻き込むけど、
特攻のターゲットは間違いなく敵国の兵士だからね」って言った時に
この映画はダメだと思いましたけどね。
敵国の兵士が皆喜んで戦地に出向いて人を殺してるってなんで思うんだろうって。
でもあの映画は累計70億円もの大ヒットになりました。
あんな駄作を見る前に、他にいくらでも戦争モノの傑作はあるのにね。

おっと、また話が逸れました。

チェルノブイリの近隣住民に深刻な影響が表れ始めたのは
事故発生から4~5年後からだと言われています。
日本でどのような影響が出るのかは、現時点ではまだ誰にも分からない。
万が一、フクシマ・チルドレンのような子供が生まれたら
そこから大騒ぎしたのではもう遅い。
自分の家族や生まれくる子が、原発の被害データを集積する材料にされる前に動け。
野生動物だって本能で子を守るのに、なんで人間が子を守るために動かないんだと、
私が読んだ今回の「美味しんぼ」の核心はそこではないかと思いましたが
どんなもんでしょうか。
そもそも、読んだ上で批判してる人がどれぐらい居るのかな。
著作権違反でTwitterや2chに無断アップロードされた一部分だけ見て
「これは許せん、潰せ!」って息巻いてる連中がたくさんいるんでしょ?
お前等に何か語る資格なんてないっつうの。

最後におまけ。
しばらく休載すると発表されたことに対してうだうだ言っている人もいますが
「美味しんぼ」はもともと、長編を描く前に取材のため休載し
連載にひと区切りがついた時点で再び休載に入るスタイルをずっと取って来ました。
何も今回だけが特別なことじゃない。
だから小学館も「以前から決まっていたこと」って言ってるのに
勝手に裏読み(しかも外してる)して「言い訳が見苦しいwwww」とか
書いちゃってるバカはそれこそ重度の放射脳。
ASKAの大好きなアンナカでもやってんのか。
と、最後に旬なワードが出たところで〆たいと思います。