今回から数回に亘って、今年4月の末に東京国立博物館(以下、東博と略記)で見学して来た『特別展 法然と極楽浄土』で拝観叶った仏像について記す。
その初回となる今回は、展覧会のタイトルにもなっている本展の主人公・法然上人をあらわした奈良・當麻寺奥院の御本尊を取り上げる。


※写真は、現地で購入して来た図録より

像の容姿は、二尊院や金戒光明寺に伝わる有名な法然上人の肖像画に通ずるところがあるが、それらに比べると若い感じに造られているのが特徴の一つ。
展示会場での光りの当たり方からそう感じたのかも知れないが、とてもやさしい顔立ちに見え、どんなことでも聞いてくれ的確なアドバイスをくれそうな、そんな印象を持った。
衣紋の彫刻が特にリアルに感じたのだが、分けても、背中側の袈裟を吊っているあたりの皺がなくなっている表現をはじめ、後ろ姿が秀逸という感想を持った。
中世から伝わる法然像として、貴重な作例である。

 

【拝観の記録】
木造法然上人坐像/重要文化財/奈良・當麻寺奥院蔵
鎌倉時代・14世紀/像高=75.8㎝/木造・彩色
拝観日:2024年4月30日
於:東博「特別展 法然と極楽浄土」(東博平成館)