昨年(2023年)拝観した仏像を取り上げるのは、やっとこさ、本像でラストとなる。
東京国立博物館(以下、東博と略記)の常設展で展示されていた、イケメンの毘沙門天立像である。

※写真は全て現地で展示を撮影。

日本画家・川端龍子(1885~1966)の旧蔵品としても知られる像で、現在の京都府の最南部に位置する「南山城」と呼ばれる地域の、こんにちの奈良県側にかつて存在した中川寺(現在は廃絶)に安置されていたと云う像だ。

像内に納められていた「印仏」と呼ばれる仏像版画に銘文があり、平安時代最末期の応保2(1162)年頃の造像と云うことが判明している。

全体に動きが控えめで穏やかな印象を受けるのは、平安時代の仏像の特徴だが、彩色や截金で全身を飾り、目は玉眼で表すなどの写実表現は、鎌倉時代の仏像の先駆けとも云えるだろう。
そして、天部の像を見るときの個人的な楽しみの一つ、「邪鬼の踏まれっぷり」もなかなかのものだ♪

東博所蔵の仏像の中でも、屈指のお気に入りの像である。

 

【拝観の記録】
木造毘沙門天立像/重文/東博蔵
平安時代・応保2(1162)年頃/像高=102.5㎝/木造・彩色・截金/川端龍子旧蔵
拝観日:2023年11月17日
於:東博・本館1階11室(常設展示)